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数字のトリック2 〜癌と診断されたら癌なのか?

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今回は実生活に潜む確率に関する陥穽についてです。問題です。

的中率90%の検査で癌だと診断された人は、「90%の確率で癌だ」と言えるか?

答えは“NO”です。

なぜ答えが“NO”なのか? それは、癌患者は全人口の半分よりもずっと少ないからです。シミュレートしてみましょう。

ある村の人口は1100人です。この中に癌患者は100人いるものとします。(これはあくまでも『神様の視点』です。人間には、ある人物が癌かどうかを絶対的に判定する術がありません。的中率90%の検査を何回やった処で、確率が100%になることはないわけですから。そうすると厳密には『癌患者は全人口の半分よりもずっと少ない』という前提も意味を為さないのですが、ここでは純粋数学をやるわけではないので、その反論は敢えて無視します。)つまり1000人は健常者(正確には非癌患者)というわけです。

この村の人たち全員に的中率90%の癌検査を行ったとします。的中率は90%なので、逆に言えば、10%は外れる、ということです。よって1000人の健常者には、900人には「健康」と診断され、100人には「癌」と診断されることになります。また、100人の癌患者に対しては、90人に「癌」と、10人に「健康」と診断されるわけです。すると、この村には「癌患者」と診断される人が全部で190人いることになります。ところがすでに計算したように、この内、実際に癌である人は90人しかいません。したがって、的中率90%の検査で癌と診断された人が、本当に癌である確率は190分の90――約46%であるということになるわけです。

今のは癌検査に関する考察でしたが、実はもっと深刻な問題があります。それは「エイズ」です。

エイズ検査は慎重を期すため、仮に99.9%の的中率を持つとします。日本では何人のHIV感染者がいるか、よく知らないのですが、ここでは10000人としておきます。(もちろん、神の視点からの話。)で、国内の非感染者数を100000000人とすると、先程と同じ考えから、この内、100000人はHIV感染と間違われることになり、9990人がHIV感染と診断され、かつ、実際にそうである事になります。すると検査では109990人がHIV感染とされますが、本当にそうである確率はわずか9%ということになります。

したがって、大病の検査にひっかかった場合、すぐに悲観的にならずに、再検査をすることをお勧めします。

それにしても、では的中率の「90%」とか「99.9%」というのはなんだったんでしょうか? これはつまり、的中させる側の確率であって、被対象者にとっての確率ではないということです。

同じような話で有名なのが、「クラスの中に同じ誕生日の人がいるかどうか?」です。例えば50人の集団の中で同じ誕生日の人がいる確率はなんと、99%を超えます。でも僕たちはどうしても直感的に「365分の50」と考えてしまいがちです。ではこの「365分の50」とは何か? これは推測に過ぎませんが、おそらく自分と同じ誕生日の人がいる確率が365分の49なので、それと勘違いしているためではないでしょうか?

【追記】(2005年1月30日)
“的中率”という言葉の使い方を初めとして、このテキスト中に幾つかの論理的欠陥が指摘されました。詳しくはリンク先を読んで下さい。

参考リンク:「おいおい、そりゃ違うぞ」『医学都市伝説』


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