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怖い思いをしました

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まぁ何ていうか、世の中困った事だらけですなぁ。

そもそもの始まりは、僕がお風呂に入って「さて、語学の予習の前に複素解析の定理の証明を一つくらい理解しておくか」と取り掛かって2時間近く経った頃でした。
外の方で何やら大きな声が。正確に言うと聞こえて来る音は小さいけれども、それなりに遠くから聞こえて来るので、大元では大声なんだろうなぁ、という声。
こういうのは偶にある(酔っ払いが叫んでる、とか)事ですが、そのような時のウチの家族の反応は様々です。

僕:無視
父:そもそも音に気付かない
弟:そもそも家に帰って来ない
母:嵐の様に家を出て行き現場を見に行く


近くで救急車でも停まろうものなら、必ずその場所まで走って見に行くタイプですね、母は。
というわけで、その時も母は家を飛び出していったわけです。いつもの様に。

しかし、その日はいつもと違いました。しばらく時間が経っても声が途切れません。それどころか、発生源が近くなっているような・・・。
そして、いきなり自宅の玄関のドアが開き、そこから飛び込んでくる三人の人影。
一人はウチの母親で、後の二人は40歳くらいの茶髪で若作りっぽい女性と60過ぎくらいのお婆さん(と言うには少し若かったが)。何か母親は必死になってドアの鍵を閉め、チェーンも掛けています。
すると直後にドン! ドン! と乱暴にドアを何度も叩く音が。同時にピンポーン! ピンポーン! と繰り返し鳴らされるインターホン。ドアの外では男の声で何やら叫んでいます。
「警察を呼んで下さい! 早く!」と捲し立てる茶髪女性。僕は何やらさっぱり分かりません。分かりませんが、





「取り合えずパンツ1枚だけというの自分の格好はマズイのではないか?」という事は分かりました。

(「おいおい風呂から上がって2時間も経ってるんだろ?」とかいう突っ込みは、あまりにも容易に予想されますのでご遠慮下さい。)





父親が110番してる間に僕はシャツを着てズボンを穿きました。これでばっちりです。例え外へ逃げ出さなきゃならないような状態になっても、何の憂いもありません。
さて、話を訊いてみると、どうやら初老の女性が自宅で夫に暴力を振るわれて外に逃げ出した処、夫が追い駆けて来てさらに暴力を振るわれ、それをウチの母親や茶髪の女性(実はウチのマンションに15年以上住んでる人らしい。知らなかった・・・)が助け出し、ウチまで逃げて来た、と。
さらに、その夫は先月まで精神病院に8ヶ月間入院をしており、今でも通院している状態で何をしでかすか分からないとの事。


おいおいマジかよ。確かに尋常じゃないのは、ドアを叩く様子とかから分かりますが。


しかし、こういう状況ってのは漫画やテレビや映画では比較的よくある状況と言えなくもありません。その影響からか、僕は非常に酷似した状況の夢を見た事が何度もあります。そして夢だと、大抵相手の侵入を許してしまうんですね。


突然インターホンやドアを叩く音が止まりました。こ、これは、まさか夢で見て来たように何処からか無理矢理侵入して来るつもりなのでは?
冷静に考え、僕はベランダ側のガラス戸の鍵を閉めに行きました。ウチは2階なので、頑張ればベランダには入って来れてしまうんです。侵入路としては、ここが一番怪しい。鍵を閉めておけば相手はガラスを割る必要が出て来ますから大きな音ですぐに分かりますし、大人が通れるくらいの穴を開けるにはそれなりに時間が掛かります。そうすれば充分に玄関から逃げる時間が作れると思ったからです。何か妙な処で冷静です。

鍵だけでなくカーテンも閉め、その隙間から外を窺います。どうやら人がいる気配はありません。杞憂だったか。

一先ず安心して玄関に戻ると、突然再び鳴らされるインターホン。
全員に緊張が走ります。


「○○警察署の者です」

ドアの向こうの声はそう言っていました。初老女性の夫がそこまでの芝居はしないだろうとは思いつつも、ついつい疑ってしまいます。まぁドアを開けないわけにもいかないので、父親がチェーンを外し始めました。僕は初老女性の近くにいたのですが、彼女と玄関ドアの間に立ち、身構えました。
彼女は今更「夫は包丁とか、凶器を持ってるかも知れない」とか言ってます。内心ただひたすらに「勘弁してくれよ」と思いつつ、「精神○○者如き、侵入して来たら本気でぶっ○してやる!」と考えて何とか意識を奮い立たせました。


来るなら来い! 返り討ちにしてくれるわ!!(←どう考えても悪役の科白)





いやぁ、本物の警察官でほんとに良かった。

それにしても早かった。父親が通報してから2分も経っていないのではないでしょうか? 流石、レスポンスタイム世界一ですね(今は違ったっけ?)。
その場にいる全員に安堵感が広がります。警察官がいるというのは、やはり心強いものですね。線は細いですがかなりの高身長(185cmはあった)で強そうだったし。

しかし僕はハッとしました。夢では、こういう気が緩んだ時が逆に一番危険なのです。思わず「鍵!」と叫びました。父親が「なるほど」と思ったのか、再び鍵を掛けようとした、その時です。

ドアが開かれました。

そこから見えるのは見知らぬ初老の男性。こいつが犯人だ、間違いない!(←長井秀和っぽくはなく。)
父親が慌ててドアを閉め鍵を掛けました。あ、危ない・・・。

そして所謂事情聴取が始まり、初老女性の住所を聞いた警察官が「もしかしてそこの角を曲がったトコの2階に住んでる方?」「は、はい、そうです」「以前にも何回も警察呼びましたよね?」「ええ」すると警察官はバタンと手帳を閉じ、何やら納得した様子で「分かりました、ちょっと待っていて下さい!」と力強く言い放ち、ウチから一旦出て行きました。どうやら警察では相当の有名人らしいですね。

どうやら夫の方は他の警察官に取り押さえられているようです。これで取り合えず一件落着。

ところで、ですね。老女は夫から逃げてたわけなんですけど、最初はタクシーで逃げようと思ったらしいんですよ。こういう場面では確かに誰しもが考える手段だと思うんですが、タクシー運転手に乗車拒否をされたそうです。
男に追いかけられているのを見て、「車を傷付けられたくない」という理由だそうです。皆さんもイザという時はタクシーに頼らない方が良いのかも知れません。

そういえば映画『ビューティフルマインド』で似たような描写がありましたが、精神関係の薬というのは患者にとっては飲みたくないものらしいですね。今回の夫の人もそうらしく、医者に薬の量を減らすように頼んでいたとか。で、医者も言われるままに処方量を減らしたそうですが・・・って、おいおい。

警察官が帰って来ると、どうやら取り合えず警察署で話を訊く、という事になったらしく、茶髪女性が付き添いで行ってしまいました。
どうやら夫の方は再度入院だそうです。入院は良いんですが、退院して来たら逆恨みとかされないかが不安で仕方がありません。


最後に。
今回の夫婦は夫側が再婚だそうで、奥さんの方は昔はどうだったか、とかはよく知らないそうですが、少なくとも姑(夫の母)には暴力を振るっていたそうで、数年前に亡くなったんですが、どうも、なんていうか、その、『あやしい』らしいんですね。その事で親類と裁判にもなっているとか。
いやぁ世の中には本当に色んな人がいるものですね。困ったものです。


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