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新しい感覚

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今回のコラムは他者サイトに対する批判・批評が多く含まれています。そのような単語に賛同できない方、まともな思考が出来ない方、そもそも意味が分からない方はブラウザの「戻る」ボタンを押して下さい。

なんてね。


基本的に同人系(特に自称女性の人の所謂“やおい系サイト”)等のサイトのトップページに頻繁に見られる「○○を理解されない方の入場はお断りします」的な注意書き、どうにもこうにも気になります。(あくまでも注意書きが気になるだけで、やおいが悪いとかそういう事は全く思ってません。いや、“言ってません”。)実際にどれくらいのサイトでそのような注意書きをしているのか、googleでやおいサイトを検索し10個ほど見てみましたが、全てのサイトでトップページにそのような記述がありました。例えばこんな感じです。







ここで気になるのは、このような記述をするというのは、当人達が自分達の趣味を“異端である”とはっきりと認識している事です。そして「自分の趣味の邪魔をしないで」との意思表示の意志も明確に感じられます。一方ではそのように他者を拒絶するような反応を見せておきながら、他方ではサイトを公開するとか、また高確率で複数の『同盟』なるWEBRINGのような集団を形成していたりとか、仲間集めには非常に積極的です。この辺の心理は全く理解出来ない人もかなり多いような気がしますが、まぁ今回の話とはあまり関係ないのですね。「こっちは良い気分でいるんだからグダグダ言う奴はどっかに行けよ、うぜーんだよ」って事でしょう、多分。

だから「○○(この場合はやおい)が嫌いな奴は入ってくんな。(こっちはそれに浸ってるのが良いか悪いかなんて考えたくも無いんだ、例え正当な批判であっても聞く耳持たん!)」とか書いてあるのは、一応理解は出来るんですよ。僕個人としてはそれすらネット上でのマナー(世界に向けて公開された場所にサイトを開設する、という事の責任)に反するんではないかとは思いますけど、“そうは思わない人がいる事”は理解出来る、と。いや、それよりも何よりもダントツで奇異なのはこっちですよ。







“嫌いな人”だけじゃなくて“何も知らないニュートラルな人”までを拒絶している、というのが興味深いんですよ。なんていうか……所謂“マニア”と彼ら(彼女ら?)は、この点が決定的に違うと思うんですよね。例えば僕とかまぁ“マニア”とか“オタク”とかそういうカテゴリーに属する資格は充分なんですけど、こういう人種って基本的には『自己を増殖させたがる』んですよ。嫌がる相手に延々と自分の趣味を語ったり。僕もそう。このサイトで何回も何回も作家の高畑京一郎やゲームの街を薦めたりしてるわけです。でも彼ら(彼女ら?)にはその傾向が全く見られないんだなぁ。最初からある程度一定の規模の世界が有れば、それを拡大させるという事をしない。それで平気。“オタク”は駄目ですよ。自分の好きな物の良さを他人に知って貰いたいと思ってしょうがないから。

この差はどっから出て来たんだろうなぁ、と考えると、やっぱりそもそもこのインターネット自体の存在が大きかったような気がしますね。インターネットを使うと自分と同類な人を簡単に見つける事が出来る。だからわざわざ仲間集めをしなくても、必要最低限(自分が居心地に困らないくらいの規模)の社会を形成出来てしまう。だから、こういう注意書きっていうのは近年に初めて発生した感覚じゃないかなと思うんです。

強いて言えば、この感覚は所謂“自分(自己)の拡大”と言われる現象に似ているのかな、と思います。“自分の拡大”はアイデンティティを確立する、という効能もある行為ですが、この場合は一方で他者を排除し過ぎてしまっている為に、仕方無しに一部の他者を“自分”に取り込み、拡大しているのではないか、と。

――と、ここまで書いて、何かエヴァンゲリオンの劇場版のラストシーン(シンジがアスカの首を絞めるシーン)を思い出しました。『もう一つの結末』って奴ですね。あれって要はシンジが“自分だけの世界”を望んだわけじゃないですか。でも何故かそこにはアスカがいた。コレってシンジが無意識の内にアスカの一部を自己に取り込んでいたって事じゃないでしょうか? でも取り込んでいたのは一部に過ぎなかった。だからアスカは普通の状態では現れなかった。シンジは自分だけの世界を望んだのに、そこにアスカという他者の存在がある事が許せなかった。だから首を絞めた。と考えると最期のアスカの名(?)台詞である「気持ち悪い」はシンジの気持ちを表している、と言う事が出来ると思います。シンジの心情がアスカから発せられるのは不思議ではありません。この場合のアスカはシンジの一部ですから。

あぁ、でもそうだとしたら全然“新しい感覚”じゃないですね。残念。


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