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受験校の決め方

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小学生の教え子の受験が終わりました。結局1校目に合格した後は全て落ちてしまいました。第一志望校は学習院だったのですが、本人曰く「出来は良かった」そうなので今年は平均点が高かったのでしょう。何にせよ残念な事に変わりは無いのですが。

とても野球が好きな少年で、中学に入ったら6年間、野球に打ち込みたいそうです。部屋にはイチローや松井、松坂などの選手の大きなポスターが貼られています。プロ野球は球団に関係なく好きで、そして高校野球にも異常に詳しく、実は高校野球の名門・常総学院を受験しようとしていた時期もありました。日本人は野球が好きな国民ですが、此処まで好きな奴を見たのは初めてです。(特定の球団が異常に好き、という人は何人かいましたが)

それにしても受験というのは難しい。自分の受験が終わり、家庭教師として働くようになって強く感じます。家庭教師を始めて4年近くになり、常時3人前後(最大5人)の生徒を持って来たので、かなりの受験生を教えてきた事になります。しかしながら残念な事に第一志望校に合格出来た生徒は殆ど居ません。

僕の指導が悪い、という事もあるでしょう。しかしもう一つの側面として、概して皆さん、第一志望校のレベルが高過ぎると思います。(今回の小学生の生徒はそうでもありませんでした。)何故、高過ぎる偏差値の学校を第一志望にしてしまうのか?

大きいのは受験校が複数ある事です。中学受験にしろ大学受験にしろ、殆どの受験生は5校程度、若しくはそれ以上の数(人によっては10を超えます)の学校を受験します。この中には当然『滑り止め』という学校なども含まれています。ですから僕の生徒も第一志望校に合格出来た人は殆ど居ませんが、全ての学校に落ちた人は一人も居ません。

『滑り止め』の学校に受かるだろう事は事前に分かっています。(だからこそ『滑り止め』な訳ですね。)しかしそれが、「取り合えず行ける学校は有るから」という事で第一志望校を少し無理な偏差値の学校に定めてしまう原因になっているように感じます。勿論、「偏差値の高い学校を受験するな」とは言いませんが、第一志望校は最も行きたい学校の筈です。という事は最も合格出来るようにしなければなりません。

また、中学受験であれば学習塾、大学受験であれば高校がこの傾向に拍車を掛けています。受験校を決める際に、必ず『チャレンジ校』(自分の偏差値よりも5程度高い学校を指す事が多いようです)を受験するように言われます。この辺は既に有名な話ですが、塾にしろ学校にしろ、より良い進学実績が欲しいからです。これは合格者数は公表されるが合格率は公表されない事に問題が有ります。学校や塾としては生徒が何校落ちようが関係無いのです。例え合格率が5%しかない層でも100人受けさせれば合格数が5人増えます。95人の不合格者は公表データに出て来ません。

また、生徒に対する受験指導も充分とは言えないようです。各学校の特色の紹介などには力を入れているようですが、例えば今年大学受験中の僕の教え子(北区の女子高、文系)は、受験科目に数学を選ぶべきか日本史を選ぶべきかで学校の教師に相談に行った所、日本史の教師からは「(文系なんだから)わざわざ数学なんか選ぶことは無い」と言われ、数学の教師からは「あなたは数学が出来る方だから、数学にしなさい」と言われていました。日本史の教師からは厭な顔をされたそうです。

しかしこれでは日本史の教師は勿論、(言い方は優しかったですが)数学の教師だって“受験指導”にはなっていません。数学で受けた場合と日本史で受けた場合の合格最低点の違い、平均点の違い、必要勉強量の違い(日本史はどちらにしても必要だったので、数学を取ると負担が増す)、数学や日本史は大学に入ってから必要なのか、などを示さずに単に「○○で受けろ」と言うのは教師の主観でしか有りません。いや、単に自分の担当する科目を薦めただけだったとしたら(多分、そうなんでしょうが)、それは教師のエゴとすら言えます。

問題なのは生徒やその家族が意外にも簡単そうした教師・講師の話を鵜呑みにしてしまう事です。中学受験はその傾向がかなり強いです。塾の講師から「○○中学を受けたらどうでしょう」とか言われると簡単に従ってしまいます。とすると益々第一志望校の偏差値を高める結果となるわけです。

この辺り、自分自身で判断を付けられる分析力が必要ですね。


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