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フランス式の九九

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どれくらいで九九を覚えられるのが平均的なのかはちょっと分からないが、僕は非常に苦労した方だと思う。丸3ヶ月くらい掛かった。かなり遅い方に入る気がする。幸いな事にそこで算数嫌いにならなかったので今でも数学をやっている。

九九には81種類もの計算が含まれている。それらを全て覚えるのは大変な苦労だ。なんでこんなに沢山覚えなければならないのか? それは僕達が10進法を用いた社会に生きているからに他ならない。10になれば桁が上がるので「そこからは筆算をして、それまでの演算は全て覚えてしまいましょう」という事だ。もし世界が5進法だったら4×4までの16種類を覚えていれば良かった事になる。今の1/5だ。残念。逆に20進法だったら19×19までの361種類となる訳だ。無理。

しかし世界は広いもので、例えばイギリスでは貨幣で12進法を使っていた(1シリング=12ペニー)ので、掛け算は11×11、或いは12×12まで覚えさせるそうだ。お金の計算というのは社会生活で必須のスキルだから頷ける話だ。

これと逆を行くのがフランスである。フランスでは非常に変則的な九九を用いる。今回はその方法を紹介しようと思う。

まずは日本で言う4の段までは覚える。4×9までだ。そして8×3などは3×8と同じだとする。しかし、ここまでだと両方の数字が5以上だと計算できない。そのような場合はどうするのか? 実は両手を使って計算するのである。

例えば7×8という例を取って説明する。まずは両手の指を全て広げておく。そしてまずは左手で親指から折り曲げて数字を7まで数えていく。「1」で親指、「2」で人差し指・・・「5」で小指になる。もう曲げられる指が無い。そこで次は小指から伸ばして行く。「6」で小指、「7」で薬指。

今の処、左手は親指・人差し指・中指が折り曲げられ、薬指・小指が伸ばされている筈である。次に右手でも同様に親指から数字を8まで数えていく。すると、親指・人差し指が折り曲げられ、中指・薬指・小指が伸ばされている筈だ。

ここで伸ばされている指の数の総数を数える。全部で5本有る筈だ。その数字が答えの10の位となる。次に折り曲げている指の数を左右別々に数える。左手が3本、右手が2本になっているだろうか。そこで、その2つの数字を掛ける。3×2=6で、これが答えの1の位となる。
以上より7×8=56.

これがフランス式九九の方法である。他の数値でも出来るかどうか、是非。

以下、この計算が正しい事の証明を。

やりたい九九の計算をa×bとする。この時a≧5且つb≧5とする。この時、左手の指は曲がっているのが10−a、伸びているのがa−5であり、右手の指は曲がっているのが10−b、伸びているのがb−5である。よってフランス式九九より10の位は(a−5)+(b−5)=a+b−10で、1の位は(10−a)×(10−b)=100−10a−10b+a×bである。よって、フランス式九九により導かれる数値は、(a+b−10)×10+(100−10a−10b+a×b)=a×bとなる。これは求める数値である。証明終わり。


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