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両性具有願望

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人間には『ふたなり』願望が存在する。

芸能界では昨年辺りからオカマブームだ。正直、勘弁して欲しい。ところが成人向け漫画の中には以前から『ふたなり』というジャンルまである。

『ふたなり』というのは所謂『両性具有』の事で、一つの個体に男性器と女性器が両方備わっている事を言う。女性を妊娠させる事も出来れば、自分が妊娠する事も出来る。もっと言えば、自己受精(他者との性交無しで、自分単独で妊娠する事)も可能だ。カタツムリは全て両性具有である。

成人向け漫画では両性具有は大抵が“(外見上の)美少女に男性器が生えている”というシチュエーションで描かれている。“不細工なおじさんに女性器が付いている”という表現は絶対に為されない。これは商業上の(「そんなの誰も買わねーよ!」という)理由からだろう。

両性具有の起源は非常に古く、ギリシャ神話には既にその存在が記載されている。有名なのが哲学者プラトンの著書『饗宴』だ。これによれば人間は元々、男性と女性の他に両性具有という第3の性別が存在していたが、異性には全くの無関心だった。そして両性具有は能力的に非常に優れていた為に神に恐れられ、身体を半々に引き裂かれる事になり、男性と女性に別れた。だから強制的に別れさせられた男性と女性は互いの半身を取り戻す為に恋愛(性交)という行為を行うようになった。一方で元々男性や女性だった存在は今でも異性には無関心で、これが今日でいうホモやレズとなっている――という事らしい。

ここで興味深いのは、両性具有が通常の男女よりも優れた存在である、と考えられていた事だ。似たような考え方は広く見られる。例えば原始社会では成人式の行事の中で“男性が女装する”というイベントが含まれている事が多かった。これは優れた存在である両性具有願望から来ていると考えられる。

しかしそれならば逆に“女性が男装する”という文化が広く伝わっていても良さそうなものだが、そのような事実は僕が調べた限り存在しない。これは「禁忌の中に聖なる存在を認める」という考え方に拠っていると思う。女性は長い間、“不浄の存在”とされて来た。しかし、だからこそ女性の内部には男性には無い聖なる存在が内包されていると考えられていた訳だ。

以上より結論。

両性具有は人間の理想形と考えられて来た。人間には両性具有願望が存在する。

正直な話、現在では男性の方が圧倒的に不浄だと思う。成人向け漫画で美少女の外見をした“ふたなり”が描かれるのは、今や不浄な存在と化した男性の中の聖なる存在を美少女に付加する為なのかも知れない。(男性の中に“聖なる存在”が有るのかは疑問だが。)

という事でもう一つ結論。

女性が不浄とされる社会(昔)ならば男性的な両性具有(或いは女装)が求められ、男性が不浄とされる社会(今)ならば女性的な両性具有(或いは男装)が求められる。

関連リンク:「女性の男装が認められる理由」『憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向日記』


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