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家庭教師向け講座4 〜“比”は美しい

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先日、小学5年生の家庭教師の生徒の母親に、「学校や塾よりも先取りして“比”を勉強させたいのですが、何か良い参考書などは有りませんか?」と質問された。

現在の小学校の指導要領では“比”は6年生の後半になってから勉強する事になっているが、“比”というのは中学受験で不可欠なものだし、中学校以後も必要な重要な範囲である。小学校6年生からやるのでは、確かに遅過ぎる。

また、その生徒が通っている塾では、小学5年生の秋から“比”を学ぶらしい。ちなみにその塾は、首都圏の中学受験塾としては非常に難度が高い塾として有名な所である。

しかし僕としては、それでも遅過ぎる気がする。事実、“比”さえ扱えれば簡単に解けるような問題は、既に幾つも出ているのである。それをわざわざ別の、しかもより高度な思考を必要とする解法で教えねばならない。

僕が中学受験をしたのは10年も前だが、その頃の小学校で“比”を何年生でやっていたかは正直、定かではない。しかし学習塾では小学3年生か、遅くとも4年生くらいでは既に習っていたと思う。

“比”は初めて数字に抽象性を帯びさせる、極めて重要な(そして美しい)分野だ。それまでの数字というのは、単位を付けないと全く何の意味も成さない代物だが、“比”は初めて数字そのものに意味を生じさせる。ここが理解出来ないと、より抽象性を増していく中学数学以降が思いやられる事になる。

だからこそ中学受験では、“比”を利用させる問題が頻出する。取り合えずそれさえ出来ていれば、数学の持つ抽象性を理解出来る、最低限の条件をクリアしていると判断されるからだ。

以上より結論。

“比”という単元は、それ自身が持つ抽象性ゆえに重要であり、美しい。よって中学受験では重要視されている。

ところで冒頭の生徒の母親の質問に対する答えだが、一般的な参考書では初習するには難しいと思ったので、「教科書ガイドのような物が書店に並んでいますから、それで“比”が載っている巻を購入して下さい」と言っておいた。そして昨日それを教えたのだが、60分で“比”の単元全体の半分を終えてしまった。

今の教科書は本当に内容が薄い。具体的な例が豊富なのは良いのだが、そこで止まってしまって、“比”の持つ抽象性を説明出来ていない。これでは確かに、教科書の薄さを心配する親御さん達や、学力低下を案ずる専門家達の気持ちも分からなくは無い。

現代は教える側(学校教師・塾講師・家庭教師など)の巧さによる影響が、生徒に如実に顕れる時代なのかも知れない。僕も頑張らなくては。


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