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“死”という名の“別れ”

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“別れ”とは、辛いものだ。

『ちりんの部屋』「もう会えない、ってありえない」を読んで、激しく心を揺さぶられた。

僕が記憶する限り、人生最初の“別れ”は4歳の時に祖母を亡くした事で、この時はそもそも“死”が何を意味するのかさえ分からなく、ちっとも悲しくも何ともなかった。葬式の場でも、どうして普段はしっかりした大人達が皆して泣いているのか、さっぱり分からなかった。

しかし、しばらくすると“死=永遠の別れ”なのだと理解する事が出来た。だって、もう祖母には会えなかったから。

次の“別れ”は5歳の時だった。とある事情で2週間ほど入院していた僕は、同じ病室に入院していた6歳の男の子(←年上にこういう言い方もナンだが。)と仲良くなった。その病室には同年代の子供は彼しか居なかったから、自然な成り行きだ。

彼は既に何ヶ月も入院していて、いつ退院出来るかも分からないようだった。僕の方が後に入院し、そして先に退院して行った。

たった2週間の付き合いだったが、その間は1日中一緒にいるような状態だったので、僕達は相当に仲良くなった。だから僕が退院する時は、お互いに泣いた。いや、喚いた。でも最終的に彼が「いつか、また会おうな」と言ってくれて、それで僕は「うん、分かった」と言った。僕には兄は居ないが、あの時の彼は正に僕の理想の兄だった。今でも、そう思う。

僕が退院して1ヶ月ほどした頃、彼が癌で亡くなった、と母親から知らされた。

“死”という“別れ”を前年に理解していた僕は、泣いた。退院時にも泣いたが、それと比べ物にならない位に泣いた。当時は、老人が“死”ぬ事は分かっていても、自分と同じくらいの子供が“死”ぬなんて事は想像すら付かなかった。だから余計に衝撃を受けた。ただはっきりと、「もう彼には会えないんだ」という、言葉だけでは表せ切れない程の悲しさだけを受け止めざるを得なかった。

多分、僕の人生で最も辛い“別れ”を経験してから、18年。僕は、あの時のような“別れ”の辛さを、今では感じずに済むだろうか?

いや、絶対に悲しむだろう。でも後悔のしない人付き合いをして行きたい――強く、そう思った。


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