日本の農業従事者数は少なくない。
2000年度の日本の食料自給率はカロリー換算で40%だった。特に主食となる穀物自給率は28%と低く、世界175ヶ国中128番目、特に経済協力開発機構(OECD)の中では30ヶ国中29番目という低さだ。
穀物自給率が低いのは、日本は米こそ自給できるものの、小麦など他の穀物自給率が著しく低いのが原因である。ただ小麦に関しては、日本の高温多雨な気候が合わないなど、仕方の無い部分も存在する。
ところが2000年の国勢調査に拠れば、日本で第1次産業(農業・漁業・林業)に携わる人口比率は全体の5.3%であり、これは他の先進諸国と比べると非常に高い数値なのである。例えばアメリカは2.6%、イギリスは1.5%、ドイツは2.8%である。
しかし、これらの国々の食料自給率は日本の数値(40%)を遥かに上回る。アメリカは125%、イギリスは74%、ドイツは96%だ。日本は先進国の中では農業に従事する人の割合は高いのに、食料自給率は低いという事態に陥っているのである。
以上より結論。
日本の食料自給率は低いが、農業に従事する人数が少ない訳ではない。
日本の食料自給率は低いが、農業に従事する人数が少ない訳ではないと書いた。では何故、農業に従事する人の割合は多いのに、食料自給率は低いのだろうか?
答えは簡単だ。日本は人口が多いのに、国土が狭いからである。日本は人口では世界の2.09%を占めるが、国土面積は僅か0.28%を占めるに過ぎない。
さらに日本の国土は67%が森林で占められている事も大きい。これはフィンランドの76%、スウェーデンの70%に次ぐ第3位の高さであり、日本は森林大国であると言える。森林が多い事自体は素晴らしいのだが、これにより利用出来る農地が減っている事は否めない。
これは農地価格に諸に反映されている。10メートル四方、つまり100平方メートル当たりの農地価格は、日本が約20万なのに対し、ドイツは約2万円、イギリスは6400円、アメリカは1500円でしかない。アメリカの農地など、10メートル四方なら子供のお小遣い程度で買えてしまう。
結果として、日本の農家1戸当たりの農地は1.5ha(ヘクタール)しかなく、ドイツの28.1ha、イギリスの67.3ha、アメリカの189.8haと比較にならない。日本は人口比で他国の2倍程度の農業従事者がいるにも関わらず、1戸当たりの農地面積で数十倍から100倍程度の差が有る為に、食料自給率が低いのである。
以上より結論。
日本の食料自給率が低いのは、人口の割に国土面積が狭い為に、農家1戸当たりの農地が少ないから。森林が多い事も、農業には痛手だ。結果として、日本の農地は異常に高い。(農地じゃなくても日本の土地は高いが。)