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チョコレート考

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意外にも日本のチョコレート消費量は少ない。

何故だか知らないが、女性というのは常にお菓子を携帯しているイメージが有る。サークルに行くと、休憩時間中に誰かしらお菓子を食べていて、目が合ったりすると「一つ、どうですか?」なんて言って差し出してくる。こっちはダイエット中だ。

彼女達は特にチョコレートの菓子類を好んでいるようだ。実は僕もお菓子好きなのだが、チョコレートの持つ苦味は苦手である。生クリームも駄目なので、どちらかと言えば和菓子が好きだ。まぁそんなに頻繁には食べないが。

ところで、あれだけ日本人女性がチョコレート菓子を食しているのだから、その消費量は相当なものなのではないかと思い、『日本チョコレート・ココア協会』の「世界主要国チョコレート生産・輸出入・消費量(2001年)」を調べてみた。

すると、日本人のチョコレート年間消費量は1人当たり1.9kgで、これは調査20ヶ国中16位だった。年間1.9kgというと、1ヶ月で160gである。こう考えると大した量ではないように感じるが、チョコレートを殆ど食べない小さな子供や老人、そして僕のような男性の存在を差し引けば、実際の日本人女性のチョコレート消費量は、もっと高い数値になるだろう。

しかし世界の壁は厚い。最もチョコレートを食べるのはスイス人で、彼らは1人当たり年間10.6kgもの量を消費している。日本人の5倍以上だ。他にもアメリカは4.9kg、ドイツは8.2kg、イギリスは7.8kgと、先進諸国のチョコレート消費量は、日本の数倍程度にもなっている。

以上より結論。

日本人女性はチョコレートを食べ過ぎだと思っていたが、実はそうでもなかった。まぁ食べるのは自由だが、ダイエット中の人間に勧めるのは勘弁して欲しい。


チョコレートからは、宗主国と植民地との構図の名残を窺う事が出来る。

「2002年版FAO農産物貿易年報」に拠れば、チョコレートの原料となるカカオ豆の最大輸出国はコートジボワールで、世界全体の45%程度を占める。以下もアフリカ諸国が上位となっており、世界のカカオ豆の輸出量の70.2%がアフリカ、16.0%がアジアである。ヨーロッパは7.2%を占めるに過ぎない。

一方、チョコレートの輸出量を見ると、カカオ豆を大量生産している筈のアフリカは僅か世界全体の1.0%でしかなく、一方でヨーロッパは72.7%を占める。

つまり、アフリカはチョコレートの原料であるカカオ豆をヨーロッパに輸出し、ヨーロッパは輸入したカカオ豆でチョコレート製品を作り、それを輸出している訳だ。このように、「原材料を外国から輸入し、国内で加工した物を輸出する貿易」を加工貿易と言う。

そもそも加工貿易とは、産業革命以降にイギリスが植民地であるインドなどから綿花を輸入し、逆に綿糸や布を輸出したのが始まりであると言われている。つまり宗主国が植民地から安く原料を輸入し、それを高価格な製品に加工して、逆に植民地やその他の国々へ輸出するのが加工貿易だ。

宗主国が植民地に対して加工貿易を行うのは、それが確実に利益を生み出すからである。事実、アフリカのカカオ豆の輸出量とヨーロッパのチョコレートの輸出量は、重量で比較すると殆ど同じなのに対し、金額比で見ると2倍以上の差が存在する。

現在の加工貿易は、必ずしも宗主国や植民地といったネガティブな背景を持つとは限らない。例えば日本は、鉄鉱石を輸入し自動車を輸出する、という加工貿易を行っている。しかしカカオ豆とチョコレートの関係は、旧来の植民地時代から続く構図を色濃く残していると言えるのである。

以上より結論。

カカオ豆とチョコレートからは、以前の宗主国と植民地との構図の名残を窺う事が出来る。


日本のチョコレート業界に於いて、バレンタインデーの存在は貴重である。

バレンタインデーに「女性が男性にチョコレートを贈る」という習慣が出来たのは、日本のお菓子メーカーの戦略だったという話は有名だが、果たしてバレンタインデーはチョコレート全体の売上げに、どのくらい貢献しているのだろうか?

というのも、2日前に書いたように、僕には多くの女性がバレンタインの時期に限らず、年中チョコレートを買い漁っているように見えて仕方ないのである。実はバレンタインデーなんて無くても、チョコレートは売れてるんじゃないか?

そもそも「バレンタインデーにチョコレートを!」という謳い文句は昭和10年代から行われて来たらしいが、実際に定着したのは1970年頃だと言われている。所謂“義理チョコ”の発生はもっと遅く、1980年代に入ってからだと言う。意外に歴史が浅い。

『日本チョコレート・ココア協会』の「バレンタインデー統計表」に拠ると、チョコレート自体の売上げは1982年から殆ど横ばい状態で、増えてもいないし減ってもいない。

対してバレンタインシーズンのチョコレートの売上げは、1970年の調査開始以降、34年間で6回しか前年の売上げを下回った事が無い。その6回の内、5回はバレンタインデーが土曜か日曜の年で、学校や会社が休みの所為で義理チョコの必要性が低かったものだと考えられる。残る1回は1995年で、この年はバレンタインデーは平日(火曜)だったが、1月に阪神大震災が発生した為に、その影響を受けたと考えられる。

つまり、バレンタインシーズンのチョコレートの売上げは、曜日や国内情勢に左右されてはいるものの、基本的には順調に伸びていると言う事が出来る。実際、1970年と2002年のデータを比較すると、チョコレート全体の売上げは4倍程度だが、バレンタインシーズンの売上げは10倍近くまで増加しているのだ。

以上より結論。

チョコレート業界に於いてバレンタインデーは、益々その重要性を増して来ている。

それにしてもバレンタインシーズンのチョコレートの売上げは伸びているのに、その恩恵を全く受けていない気がするのだが、それは気のせいですか。そうですか。まぁホワイトデーの御返しをしなくて良いのは楽だけどね!


年齢が低いほど、“手作り”という魔法に魅せられ易い。

『Food's-Foo 推進機構』の2004年の調査では、女性に対する「本命チョコとして贈るなら、どんな物にしますか?」というアンケートで、以下のような結果となった。

意外と「チョコレートケーキ」と答える人が多い。知らなかった。ところが、このアンケートを10代女性に限ると、結果は以下のようになる。 圧倒的に「手作りチョコレート」と答える人が多くなった。10代女性の4人に3人は、「本命には手作りチョコを」と考えている訳だ。ちなみに20代女性も40%が手作りチョコ派で、全体平均よりも大きくなっている。

一方、男性に対する「本命チョコとして貰うなら、どんな物が良いですか?」というアンケートの結果は、以下の通りだった。 「欲しくない」という人が9人に1人も居るとは驚きだ。本命チョコばかり貰うような男性だろうか。確かに幾つも本命を貰えるような立場なら、そう思うかも知れない。(僕には一生、思う機会は無いだろう。)

さて、これも10代男性に限ると、「手作りチョコレート」と答える人は56.1%にもなる。女性ほどではないが、男性も低年齢者ほど、手作りチョコに拘る傾向に有るようだ。

以上より結論。

性別に関係無く年齢が低いほど、手作りチョコレートに価値を感じている。逆に言えば、加齢に伴って手作りチョコは価値が下がって行く。

手作りチョコの価値が下がって行くのは何故だろうか? 多分、市販されているチョコの方が美味しいと気付くからなんだろうな。

よって、さらにイイタイコト。

“手作り”というのは、一種の魔法。一定時間を経過すると、効果は消える。


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