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チャイナドレス考

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チャイナドレスにスリットが入っているのは何故だろうか?

サークルの後輩の女の子が、ステージ衣装としてチャイナドレスを着ていた。そうしたら飲み会で「スリットが短過ぎる!」とか、「せっかくチャイナドレスなのに、どうしてストッキングなんだ!?」(≒「生足を見せろ!」)とかいう意見が続出。しかも何故か僕がチャイナドレスに関するテキストを書く事になった。よく分からないが、仕方無くチャイナドレスについて調べてみた。仕方無く。

そもそもチャイナドレスを作り始めたのは、清の時代の満州族らしい。チャイナドレスは中国語で『旗袍』(チーパオ)と言うが、『旗』とは17世紀に漢民族を侵略した「八旗」と呼ばれる満州族の軍隊を意味する。ちなみに『袍』は長い服の意味。

つまり『旗袍』というのは、「満州族の軍隊の服」という意味だが、別にチャイナドレスは軍隊の制服だった訳ではない。地位による多少の規制が有ったものの、チャイナドレス自体は女性に広く着られていた衣服だった。

ところが当時のチャイナドレスは、現在のような女性の身体のラインを見せる、という機能は無かった。というのも、チャイナドレスはロングコート代わりに着られていたからだ。従って、自然と体型が隠されるようなデザインとなる。

これは、満州族が生活していた地域が冬にはマイナス30度にもなるような極寒の地で、どうしてもロングコートを着込む必要が有ったからだ。しかし、満州族は狩りや放牧が中心の生活を行っており、冬でも馬に乗る事が必須であった。

となると一つ、困った問題が起こった。ロングコートを着ていると、馬に乗り難いのである。そこで満州族はロングコートの両脇に切れ込みを入れる事で、この問題を解決した。これがチャイナドレスにスリットが有る理由である。

以上より結論。

チャイナドレスにスリットが有るのは、馬に乗り易くする為だった。別に男に足を見せる為じゃない。

それにしても、チャイナドレスと言えば、スリットである。スリットと言えば、(現代では)足を魅せる為のものである。足を魅せると言えば、やっぱり生脚だろう。そう、チャイナドレスを着る人は、生脚にすべきなのだ。ストッキングなど、邪道だ。

――というような話を友人達としていた。が、実はチャイナドレスとストッキングとの間には、意外な関係が存在した。

チャイナドレスはロングコート代わりに着られていたと書いた。従って元々のチャイナドレスは、脚が全て隠れるようなロング丈の物しか無かった。

ところが1930年頃から中国に西洋文化が浸透してくるようになると、まずは生地が西洋からの輸入品である派手な物に変化した。さらにはミニスカートの流行やストッキングの普及により、女性が脚を魅せる文化が根付いた結果、チャイナドレスも膝上までのミニ丈が作られるようになったのである。

以上より結論。

チャイナドレスのミニ丈が出来たのは、ストッキングの普及の成果である。だからストッキングを目の敵にしてはいけない。

さらにイイタイコト。

だが敢えて言おう。それでもチャイナドレスには生脚が似合う、と。


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