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クレオパトラの溜息

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「嫌いな人と同じ空気を吸わない」という事は、不可能である。

誰にだって、自分と合わない人間が1人や2人はいるものだ。それが高じると「嫌い」になるし、さらには「コイツなんかと同じ空気を吸いたくない」という事まで考えたりするようになる。しかし、それは不可能である。

例えば、ここに縦横20m・高さ5mの、密閉された大きな部屋が有ったとする。そこで、A君が一回だけ呼吸をしたとしよう。人間の1回の呼吸量は、約500mlだ。そしてA君は部屋を出て行き、充分に時間が経った後に、今度はB君が入って来て、同じく1回だけ呼吸をしたと仮定してみる。

この時にB君が吸った空気の中で、A君が吐き出した空気の分子の数は、3×10の15乗個も存在する。実に3000兆個である。限定された空間とは言え、A君とB君はお互いに1回だけ呼吸しただけなのに、3000兆個もの空気分子を共有しているのである。B君がA君の事を「同じ空気を吸いたくない」とまで嫌っていたとしたら、彼にとっては何とも気味の悪い話だろう。

これは何も“同じ部屋”という狭い範囲だけの話ではない。地球規模で考えても、同様なのである。

有名な話に『クレオパトラの溜息』が有る。クレオパトラが死ぬ直前に溜息をしていたら、それから2000年以上が経過した現在、その溜息は地球上全体に拡散していると考えられる。すると現代の僕達が呼吸している空気の中には、数個〜数十個のクレオパトラが溜息で吐いた空気分子が含まれている、というのだ。

以上より結論。

「嫌いな人と同じ空気を吸わない」のは不可能である。精々、「好きな人と同じ空気を共有している、とも言えるんだ」と思って、我慢するしかない。


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