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エリート重視教育の妥当性

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日本でエリートを重視した教育を行う事は、必ずしも間違っているとは言えない。

関連リンク:「学力低下がゆとり教育の目的」『憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向な日々』

Yasさんは「ゆとり教育は学力の低下を狙った国家の教育方針」という過激な書き方をしているが、もう一方で主張している「ゆとり教育=エリート教育」という構図に注目してみた。そもそも学力低下論で取り上げられるのは、学力的に平均的な層の国際順位である。では、日本の天才(エリート)達の学力は、世界でどの程度通用しているのか?

国際数学オリンピック(IMO)という世界大会が、毎年夏に行われている。各国高校生以下の学生6名による国別の数学対抗戦だと思って貰えば良い。制限時間4時間半で3問を解く試験を2日間行い、国毎の全代表選手の総点により国際順位が決定される。ちなみに僕も中学・高校時代に日本代表を決める国内大会に挑戦したが、残念ながら一度も日本代表にはなれなかった。

『数学オリンピック財団』の記録に拠れば、日本が国際数学オリンピックに初参加したのは1990年の中国大会で、その時の順位は54ヶ国中20位だった。お世辞にも“世界トップレベル”とは言い難い。この時の成績は北朝鮮にも劣っていた。(しかし後に北朝鮮は不正が発覚して、メダル剥奪という事件を起こしている。流石、北朝鮮。

日本は1992年のモスクワ大会で、56ヶ国中8位という好成績を収めるが、その後は少し低迷する。後にベスト10に入ったのは、1995年・2003年・2004年の3回だけである。今年2004年のギリシャ大会は85ヶ国中8位で、参加国数を考えると“過去最高”と言って良い成績だった。

しかしこれは確かに“成績上位”ではあるが、まだ“世界トップレベル”とは言い難い。というのも日本は、アメリカ・中国・ロシア・ブルガリア・ルーマニア・ベトナム・韓国・台湾といった国々よりも上位になった事が、殆ど無いからだ。日本はこれら多くの国々に完敗しているのである。(2004年はルーマニア・韓国よりは上位だった。日本が韓国よりも上位になったのは1994年以来、実に10年振りである。)

日本人の学力が低下したとは言っても、通常の学力調査で日本が世界のベスト10から外れるというのは、まず有り得ない事である。しかし、世界の天才少年少女達が集う国際数学オリンピックでは、日本はベスト10に入るのがギリギリの状態なのだ。(「参加国数が違うじゃないか」という意見は有るだろうが、成績上位になるような国々の殆どは、両方のランキングに顔を出している。)

以上より結論。

国際順位だけを見れば、日本は学力的に平均的な層よりも、エリート(天才)層の方が順位は低い。ゆとり教育がエリート教育として役立っているかは定かではないが、エリート層の学力を上げようという考え方は、あながち間違ってはいない。


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