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中学入試日程と入学金との関係

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都内の中学入試が2月1日に集中するのは、高額な入学金が原因である。

現在、日本国内の私立中学は700校にも達し、その内の179校が東京都に集中している。そして、その多くが受験日を2月1日に設定している。

これは受験料収入が学校経営に欠かせない、逼迫した経済状況を抱えている私立校が多い事を考えると、少し腑に落ちない状態である。受験日が分散した方が、受験生が多くの中学を併願できる事となり、受験者数の増加を見込めるからだ。

都内の私立中学校では私学間協定により、入学試験の解禁日を2月1日に設定している。従って都内の私立中は、それ以前に入試を行う事が出来ない。そこで千葉県の私立中学の多くは1月に受験日を設定し、都内の私立中受験者の“練習台”としての役割を担う事で受験者数を大幅に増やし、莫大な受験料収入を得ている。(結果として、募集人数の10倍以上の合格者を出す事も稀ではない。)

ここで2つの疑問が浮かぶ。1つ目は、入学試験の解禁日が2月1日ならば、それよりも受験日を大幅に遅らせる事で受験者数を増やそうとする都内私立中学が殆ど無いのは何故なのか。もう1つは、そもそも何故、入学試験の解禁日を2月1日に設定しているのか、だ。

この2つの問い掛けに対しては、同時に解答する事が可能だ。即ち、入学金に纏わる数々の問題である。

私立中学の入試は、受験日から合格発表までの期間が極端に短い。殆どの学校は受験日の次の日に合格者を発表するし、早ければ即日、遅くても2日後だ。そして合格者に対する入学金の納付期間も、同様に非常に短い。通常は合格発表から数日以内だ。

つまり受験日が遅い中学の合格発表の時期には、受験日が早い中学の入学金納付期限が切れてしまっている可能性が生ずる。

一般的な私立中学の受験料は2万円前後である。この金額は決して安いとは言えないものの、一般的な家庭でも何校か併願する事が可能な金額ではある。

ところが入学金は安くても20万、中学によっては100万円近い事も有り、平均的家庭では複数の学校に入学金を納める事は非常に困難である。入学金に初年度の授業料も加えた“初年度納付金”は、2004年度の平均で99万2000円。最も高いのは慶應義塾湘南中学校で約150万円であった。

さらに多くの私立中学では“寄付金”の名目で、入学時に1口10万円単位の金を半強制的に徴収したりする。私立中学の入学には兎角、金が掛かるのだ。(全ての私立中学が“寄付金”を募っている訳ではないので、誤解の無いように。)

このような状況の中、一般的な家庭が複数の私立中学に対して入学金を払える訳が無い。一昨年から昨年にかけて、大学受験に於いては入学を辞退した場合に、前納した授業料などを返還しなければならないという裁判判例が幾つか有るが、その判例では入学金に関しては大学側に返還義務は無いともされている。これは中学受験の場合も同様だろう。一度納付した高額な入学金は、二度と戻って来ないのだ。

従って、都内の私立中学が受験日を遅くに設定すると、多くの受験生は既に他の中学に入学金を納付した後となってしまう為、充分な受験生を集められない公算が高い。また、私学間協定による入学試験の解禁日を設定しないと、受験日が際限無く前倒しされる結果を招いてしまう。この為に都内の私立中学の多くが、受験日を2月1日にしているのである。

以上より結論。

都内の中学入試が私学間協定による入学試験の解禁日である2月1日に集中するのは、非常に高額で返還される事の無い入学金を、極めて短い納付期間で受験合格者に課している為である。


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