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“オナニー”の本来の意味

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“オナニー”という語句が示すべき行為は、「自慰」ではなく「膣外射精」だった。

古代社会に於いて、“レビレート婚”という制度が有った。“レビレート婚”とは、夫婦に子供が生まれる前に夫が亡くなってしまった場合、その亡くなった夫の兄弟が、未亡人である妻を娶って子作りをしなければならない、という制度である。亡くなった夫に兄弟が居なければ、なるべく近親の親戚の男が選ばれる。“レビレート婚”の目的は「血を絶やさない事」だったから、新しい夫が近親者から選ばれるのは必然とは言え、想像してみると物凄いシステムである。

この“レビレート婚”はイスラエル民族などが実際に行っていたが、旧約聖書の中にも“レビレート婚”をした人物が登場する。その中の一人が、“オナニー”の語源となったとされるオナンだ。オナンはユダの次男で、ユダの長男はエルと言う。このエルはタマルという女性と結婚したが、エルは子供を残さずに亡くなってしまった。さぁここで“レビレート婚”の登場である。エルの弟であるオナンは、タマルに子供を生ませる事が義務となったのだ。

ところが“レビレート婚”の厄介な処は、例えオナンとタマルとの間に子供が生まれたとしても、その子供は「エルとタマルとの子供」とされてしまう事だった。遺伝子的には父親なのに、戸籍には父として名前が記載されないようなものである。この辺りは気にしない人も居るかも知れないが、オナンは気にする人だった。わざわざ自分の精子で兄の子供を生ませるくらいなら、精子を無駄に消費した方が良いと考えたらしい。

旧約聖書『創世紀』の第38章には、オナンが「子種を地面に流した」という記述が存在する。これが「オナンが“オナニー”の語源である」と言われる所以である。

ところで“オナニー”は一般的には「自慰」を意味するが、ではオナンは「自慰」を行う事で「子種を地面に流した」のだろうか? 作家の阿刀田高は著書『旧約聖書を知っていますか』の中で、オナンが行ったのは「自慰」ではなく「膣外射精」だったのではないか、と語っている。

確かにオナンが兄の為に子作りするのが嫌だったからと言って、そこで「自慰」を行う理由は何も無い。そもそもタマルが黙っていないだろう。きっと「規則に従って私と交わってよ」とか言って、オナンに性交を迫ったに違いない。となるとオナンが本当にすべきなのは、タマルを騙す事だったと考えられる。

子作りを迫って来る女性を騙すには、これは最早「膣外射精」しか考えられない。膣中に精液を出したフリをして、実際には絶妙なタイミングで男性器を女性器から抜き、「子種を地面に流した」のである。

つまりオナンは、「自慰」など行っていない可能性が高い。“レビレート婚”に於いて、この行為は無意味である。恐らくは巧妙に「膣外射精」をする事で、タマルを騙したのだ。となれば“オナニー”の語源がオナンである以上、「オナニー=自慰」という見方は誤っていると言える。本来ならば、「オナニー=膣外射精」だったのだ。

以上より結論。

“オナニー”という語句が示すべき行為は、「自慰」ではなく「膣外射精」だった。これは“オナニー”の語源となったオナンが、“レビレート婚”に対して否定的な態度を取った事が原因である。


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