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サイト論と悪魔物ショートショート

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“サイト論”は、ショートショートの悪魔モノに似ている。

最近の僕の日記は、“サイト論”の割合が多い気がする。今回は“サイト論”に関して書くので、『“サイト論”論』という事になる。

日本を代表するショートショート作家である星新一は、自身を選者とした素人対象の『星新一ショートショートコンテスト』を定期的に開催していたが、1982年度のコンテストに於いて次のように書いている。

このところショートショートに悪魔との取引きを扱ったものが、いやに多い。今回の応募のなかにも、何作もあった。ということは、それだけ競争がきびしいことになる。よほどひねらなければならず、ひねりすぎも困る。
「自分でも書いているくせに」と言われるかもしれないが、日本で書きはじめたのは私であり、数にして全作品の一パーセント以下のはずである。悪魔物は既成作家が、案に困ってどうしようもない時に使う手段ではなかろうか。


ショートショートの悪魔モノは、素人にも書き易いジャンルである。「何かのキッカケで悪魔が出現し、願い事を1個〜3個くらい叶えてくれる。しかし願いそのものは叶うが、主人公はその利益以上の不利益を被るという、皮肉な結末となる」というように、ストーリーの骨組みが決まっているからだ。

勿論、上記の形式に当て嵌まらない悪魔モノも、数多く存在する。が、素人が書くショートショートは型に嵌まったストーリーが多いだろうし、星新一が批判したのは、そのような形式に縛られた悪魔モノの事だろう。

要は、ショートショートに於いて悪魔モノは安易なのだ。それなりのオチを考えるのは難しくなく、そして取り敢えずオチさえ有れば、ショートショートとして格好も付く。だから沢山の人が書いている。

しかし悪魔モノは、それまでに誰も考えた事の無いようなストーリーを組み上げられる事が少なく、既存作品の単なる模倣に成り易い。そういう意味で悪魔モノは、そんなに頻繁に書けるモノではないし、書くべきでもない。

テキストサイトに於ける“サイト論”も、これに近い構造を持っている気がする。“サイト論”というのは様々なサイトで、今までに無数に書かれて来た。僕が書いた“サイト論”の中に他サイトを模倣したテキストは存在しないハズだが、それは僕の勝手な意識の中だけの話であり、期せずして模倣となってしまっている可能性は充分に有る。

もっと言えば、このような“サイト論”に関して語った『“サイト論”論』も、何処かのサイトの模倣となっている可能性は充分に有る。“サイト論”同様、『“サイト論”論』も数多く書かれているからだ。

ただ、だからと言って“サイト論”を書くのを躊躇う必要が有るか否かは、微妙な問題だと思う。所謂“パクリ”は絶対にマズイが、ホームページというのは基本的に趣味のレベルだし、結果的に模倣となってしまうくらいは許されて良いのではないか。あまりストイックに考え過ぎると、何も書けなくなってしまう。

以上より結論。

“サイト論”は期せずして他者の模倣に成り易いという点に於いて、ショートショートの悪魔モノに似ている。この『“サイト論”論』も同様だ。しかし結果的に模倣となってしまうくらいは、許されて然るべきだと思う。


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