婚約指輪に給料3ヶ月分も掛ける必要は無い。
婚約指輪の歴史は紀元前まで遡る事が出来るらしいが、それが広く伝わったのは西暦2世紀くらいだと言われている。19世紀までは婚約指輪と結婚指輪に差異は無く、1つの指輪で兼用していた。しかしキリスト教が婚約指輪を「邪教の慣習」とした為に、婚約指輪を贈るという慣習は一旦廃れる事となった。
再び婚約指輪が広まったのは、キリスト教が結婚指輪の交換を許可した10世紀になってからである。現在では一般的な、ダイヤモンドの婚約指輪が流行し出したのは15世紀後半からで、主にヨーロッパの貴族が好んで贈っていた。しかし当時はまだまだダイヤモンドの婚約指輪は高級品で、一般庶民に普及したのは、南アフリカでダイヤモンドの産出量が急増した19世紀後半からだと言われている。
日本でダイヤモンドの婚約指輪が流行したのはかなり遅く、1970年代になってからである。ダイヤモンド原石市場をほぼ独占しているデ・ビアス社が、「婚約指輪は給料3ヶ月分」という、あまりにも有名なフレーズで宣伝し始めたのである。ちなみにデ・ビアス社は、アメリカでは「婚約指輪は給料2ヶ月分」というフレーズで宣伝しており、何か日本がカモにされている印象を受ける。
では実際に「婚約指輪は給料3ヶ月分」は幾らくらいなのだろうか。人口動態統計月報年計概数(平成9年)に拠れば、日本の男性平均初婚年齢は28.5歳であり、賃金構造基本統計調査報告(平成9年)に拠れば、25〜29歳大卒男性の平均月収は25万9600円だった。となると婚約指輪の相場は、約78万円という事になる。
これは大変な価格である。この上に結婚指輪も買ったりする訳である。簡単に100万円を超えてしまう。結婚式にも膨大な費用が掛かるのに、一体どれだけの出費が強いられるのか。
ただ日本人も強かなもので、デ・ビアス社の「婚約指輪は給料3ヶ月分」というキャッチフレーズを鵜呑みにしていないデータが存在する。1998年のシチズンの調査では、「結婚指輪はいくら位が妥当と思われますか?」というアンケートを実施しており、この全回答の平均数値は57万円であった。これなら給料2ヶ月分ちょっとである。
一方でこのアンケートは男女差が際立つ結果となった。男性平均は45万円だったのに対し、女性平均は63万円だったのである。予想通りと言うか、やっぱり女性は高い貴金属が欲しいものらしい。
しかし現実は女性に厳しい。ゼクシィの調査に拠れば、実際の婚約指輪の平均購入価格は約37万円で、これは給料1.5ヶ月分程度である。僕はもっと安くても良いと思う。
以上より結論。
婚約指輪に給料3ヶ月分も掛ける必要は無い。婚約指輪の平均購入価格は給料1.5ヶ月分程度である。