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有川浩

HOBBY MAIN

タイトル 出版社 初版日 勝手な採点 通販
塩の街 wish on my precious 電撃文庫 2004年02月25日 ★★★★☆ 購入
空の中 メディアワークス 2004年11月20日 ★★★★☆ 購入
海の底 2005年06月30日 ★★★★★ 購入
図書館戦争 2006年02月10日   購入

塩の街 wish on my precious

一言

ヒロインの魅力と独自の世界観が傑出。

目次

Scene-1 街中に立ち並び風化していく塩の柱は、もはや何の変哲もないただの景色だ。
Scene-2 それでやり直させてやるって言ったんじゃねえのかよ。
Scene-3 この世に生きる喜び そして悲しみのことを
幕間
Scene-4 その機会に無心でいられる時期はもう過ぎた
Scene-5 変わらない明日が来るなんて、きょう世界は約束してくれないのを知っていたのに。
Scene-6 恋はもっと幸せで甘いと思っていた。
Scene-7 君たちの恋は君たちを救う。

梗概

塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。
その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。男の名は秋庭、少女の名は真奈。静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた。
そして――「世界とか、救ってみたいと思わない?」。そそのかすように囁く男が、二人に運命を連れてくる。
第10回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作。圧倒的な筆力で贈るSFラブ・ファンタジー!
   ――表紙裏より

感想

これは凄い。世の中にSFと恋愛モノを絡めた作品は多いが、その双方を見事に調和させ活かし切っている。この『塩の街』は大雑把に言って二部構成と言えるが、前半も後半もテーマが片方に偏り過ぎず、上手くバランスを取りながら違ったニュアンスの物語に仕上げている。
圧倒的にヒロインが良い。主人公もまずまずだが、このヒロインの前では霞んでしまうくらいだ。ヒロインは自己犠牲的なキャラクターだが、そこから発せられる言葉の一つ一つには「可哀想」と思わせる要素が無い。彼女は決して“悲劇のヒロイン”ではないのだ。
ただ残念なのは後半の主要人物である入江が、結局は“良い人”っぽく描かれてしまった事だ。米軍との連絡関連はまだしも、少なくともヒロインと同じ場所で主人公を待っていたのは納得が行かない所だ。彼には最後まで悪役でいて欲しかった。


空の中

一言

未確認生命体に、人類はどう挑むのか。

目次

プロローグ 早春
第1章 子供たちは秘密を拾い、
第2章 大人たちは秘密を探し、
第3章 秘密は高度二万に潜む。
第4章 人々はそれを裏切って、
第5章 子供は戻れぬ道を進み、
第6章 誰も彼もが未来を惑う。
第7章 混沌は不意に訪れるも、
第8章 秩序の戻る兆しはそこ、
第9章 最後に救われるのは誰か。
エピローグ 盛夏

梗概

すべてを孕む深淵の中にかれはいた。
かれはその深淵に存在することを望み、
かれの望みを阻む物事は深淵に存在せず、
かれはこれから先にかけても既定の事実のように、
何らかの齟齬も瑕疵もなく存在し続ける。
――そのはずであった。
   ――本文4ページより

感想

巨大浮遊生物やら航空自衛隊やら国産飛行機やら多重人格治療やら、その辺りの要素をごちゃ混ぜにして再構成したような小説。子供同士、大人同士の淡い恋愛劇を混ぜながら、巧みに物語を展開していく。非常に上質な作品だ。
未確認生命体に対する、人類が現実的に採り得る様々な対処が描かれ、それらが連鎖し結末に至る。
強いて言えば、準ヒロインの真帆の描き方に、もう少し工夫が欲しかった。それが読後感を僅かに悪くしている。しかしそれを差し引いても、充分に楽しめる小説だと言って間違い無い。


海の底

一言

怪物が出て来るが、紛れも無く人間たちのドラマ。

目次

一日目、午前。
一日目、午後。
二日目。
三日目。
四日目。
五日目。
最終日。――そして、

梗概

春、寧日。
天気晴朗なれど、波の下には不穏があった。
   ――本文5ページより

感想

既刊の『塩の街』『空の中』と登場人物や世界設定こそ違うものの、正統的に進化させたような物語。今度の敵は巨大甲殻類だ。
海上自衛隊の潜水艦に立て籠もる事を余儀なくされた少年少女たち。有効な対策が取れずに苦戦を強いられる警察機動隊。なかなか出動する事が出来ない陸上自衛隊。強硬に軍事介入して来ようとする在日米軍。ネットを駆使して全国の米軍の動向を監視する軍事オタクたち。何としてもスクープが欲しいマスコミ。
この無茶苦茶な要素を上手く繋ぎ合わせて、最後には例によって恋愛物にしてしまう手腕は見事。しかも別に「愛は地球を救わない」所が良い。
作中の描写にはゲーム『地球防衛軍』を彷彿とさせる箇所が多いが、作者はプレイした事が有るのだろうか。


図書館戦争

一言

目次

梗概

図書館、推参。――公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館! 狩られる本を、明日を守れ! 敵は合法国家機関。相手にとって、不足なし。正義の味方、図書館を駆ける!
図書館戦争、近日開戦!!
   ――電撃ブートレッグより

感想


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