充分に練り上げられているが、それほどの衝撃が無い。
ダイアローグ 第一章 湖畔の死 第二章 悲しむ者 第三章 彼らのいわゆるアリバイ 第四章 私立探偵 第五章 首のない死体 第六章 迷路の街 第七章 アリバイ講義 第八章 夜の虚像 モノローグ
双子の兄弟が殺人犯? しかし兄の妻が余呉湖畔で殺されたとき、兄は博多、弟は酒田にいてアリバイは完璧だった。やがて第二の殺人。兄弟のどちらかが被害者らしいが、死体からは頭と手首が失われていた。犯人の狙いはどこに?
犯人の大トリック、多彩な伏線が、結末で読者を仰天させる、大型新鋭の傑作。 ――裏表紙より
2つの殺人事件により二部構成的な印象を受けるが、1つ目の事件が解決されるのも物語の最後なので、本来は奥底で結び付いているべきハズだ。が、その結び付きが強くないのが気になる。
トリックは派手な部分が早々に解決されてしまい、地味な所が残ってしまった為に、そこでも損をしている。しかし作中のアリバイ講義は割と凝っており、これは一読の価値が有るだろう。
部分的には秀逸なシーンやアイデアが多い。『マジックミラー』というタイトルも示唆に富んでいる。それだけに全体が構成された際に、それらが上手く融合しなかったのが残念だ。