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阿刀田高

HOBBY MAIN

タイトル 出版社 初版日 勝手な採点 通販
ギリシア神話を知っていますか 新潮文庫 1984年06月25日 ★★★ 購入
旧約聖書を知っていますか 1994年12月25日 ★★★ 購入
ショートショートの広場10 講談社文庫 2000年01月15日 ★★★★ 購入
ショートショートの広場11 2000年08月15日 ★★★☆ 購入
ショートショートの広場12 2001年05月15日 ★★★ 購入
ショートショートの広場13 2002年02月15日 ★★★ 購入
ショートショートの広場14 2003年02月15日 ★★★ 購入
ショートショートの広場15 2004年02月15日 ★★★☆ 購入
ショートショートの広場16 2005年02月15日 ★★★ 購入
ユーモア革命 文春新書 2001年10月20日 ★★☆ 購入

ギリシア神話を知っていますか

一言

ギリシア神話のダイジェスト。

目次

T トロイアのカッサンドラ
U 嘆きのアンドロマケ
V 貞淑なアルクメネ
W 恋はエロスの戯れ
X オイディプスの血
Y 闇のエウリュディケ
Z アリアドネの糸
[ パンドラの壺
\ 狂恋のメディア
] 幽愁のペネロペイア
]T 星空とアンドロメダ
]U 古代へのぬくもり

梗概

聖書と並ぶ古典中の古典、ギリシア神話は、世界の思想、芸術、文芸に多大の影響を及ぼしている。本書では、多彩豊富な物語の膨大な枝葉を巧みに整理し、著名なエピソードを取り上げてわかりやすく解説する。
エロス、オイディプス、パンドラ、アンドロメダ……神話中のヒーローとヒロインの運命を、作家的想像力で興味深く語ったこの一冊で、あなたはもう“ギリシア神話通”。
   ――裏表紙より

感想

僕はギリシア神話を全く読んだ事が無いのだが、恐らくギリシア神話のダイジェストを紹介してくれたのだろう。各エピソードは興味深く面白い。
話の順番も理解のし易いように配慮してくれたのだと思うが、後半になるに連れて前章との関連事項が増えて行き、最終的には頭の中で整理が追い付かなくなってしまった。熟読に向いた本と言う事ができるだろう。


旧約聖書を知っていますか

一言

旧約聖書を知ったつもりになれる本。

目次

第1話 英雄アブラハム
第2話 子沢山のヤコブ
第3話 奇蹟の人モーセ
第4話 有能なヨシュア
第5話 サムソンの謎
第6話 ダビデの熱い
第7話 ソロモンの光と影
第8話 アダムと肋骨
第9話 逃亡者ヨナ
第10話 ヨブは泣き叫ぶ
第11話 預言者二人
第12話 エピローグするめ風味

梗概

「旧約聖書」を読んだことがありますか? 天地創造を扱う創世紀あたりはともかく、面倒なレビ記、申命記付近で挫折という方に福音です! 預言書を競馬になぞらえ、ヨブ記をミュージカルに仕立て、全体の構成をするめにたとえ――あらゆる意味での西欧の原点「旧約聖書」の世界を、枝葉末節は切り捨て、エッセンスのみを抽出して解説した、阿刀田式古典ダイジェストの決定版。   ――裏表紙より

感想

旧約聖書のダイジェスト的な位置付け。作者による大胆な解釈により、出来る限り平易に面白い箇所を読ませよう、という意図が感じられる。
個人的には多少分かり難くなっても、聖書に書かれた順番に紹介して欲しかった。個々としては覚えてる箇所も多いのだが、前後関係がアヤフヤになってしまった。
それにしても昔の物語の荒唐無稽さは、現在の作品には無い要素だと思う。その辺りが興味深かった。


ショートショートの広場10

一言

選者が変わり、傾向にも変化の兆しが見て取れる。

目次

大うそつき
悩み
好ききらい禁止法
爽やかな目覚め
裸で走る正当性
ヨッちゃんの将来
ゴミ地獄
果て
仕事熱心
催眠術師
ついでの男
末端の戦士
ビューロクラシー
自己主張
もめごと
愛の深さ
タクシー
生まれ変わり
ジ・オリエンタル・トイレット・オブ・ホラーズ
桃太郎
幸運がやってくる
先客
ペテン師
応募要項
半透明人間
最終バスにて
冥海
多重人格
せんべい蒲団
散歩の途中で
死人に、首なし
一徹返し
天狗の住む山
暗示効果
深爪
ニュー・コンセプト
えんぴつと消しゴム
名人芸
彼女の付帯状況
自供
最期のいたずら
十円もうけ
ペット
うそ発見器
かくれんぼ
泳ぐ女
週末はやってくる
非常識な電話
火葬場にて
大食いコンテスト
光介のお勉強
おいしい記憶
誤解がまねく
酢鳥焼きそば
記憶喪失
救いの神
解決手段
儀式
食事中には読まないで下さい
恐怖の殺人鬼
分離独立
思いやり
ピシャリ!
ホームセキュリティ
早すぎた春
混線
再会
雨男
野菜談義
まだ夢の中
石(終わりの無い話)
生中継
とおせんぼ
共同開催
企業戦士
1/3
液体X
イタズラ電話
北風と太陽
十三番目の客
電車が来る!

梗概

わずか原稿用紙7枚以内で描かれた、無限にして魅惑の小説世界。それがショートショートだ。優れた文章、キラリと光るアイデア、巧みな構成が三位一体となった傑作ばかりが大集合。意外な仕掛けにワクワク、ドッキリの全82編。おもしろさ保証付きの超人気シリーズ待望の第10弾が登場。全作品への選評付き。   ――裏表紙より

感想

星新一が8点以上を付けた「大うそつき」、「悩み」、阿刀田高が8.5点以上を付けた「十円もうけ」、「非常識な電話」、「火葬場にて」、「記憶喪失」、「救いの神」、「思いやり」、「ピシャリ!」、「野菜談義」、「まだ夢の中」、「石(終わりの無い話)」、「1/3」、「液体X」についてのみ。
「大うそつき」、「悩み」、「思いやり」、「まだ夢の中」は模範的な出来。文句の付けようが無い。
「十円もうけ」はリアリティ充分。有りそうで、なかなか無いタイプのショートショートだろう。
「非常識な電話」は伏線も張ってあり、オチもなかなか。逆に「火葬場にて」は伏線がマイナスに働いてしまった。難しい所だ。
生まれたばかりの頃は、前世の記憶を持っているという話が有るが、「記憶喪失」はそれを元に作られたのだろうか? どちらにせよ、まずまずの出来。
「救いの神」は先が読めてしまう。もう一捻り欲しい。
「ピシャリ!」はナンセンスな感じが受け入れられるかどうか。僕的にはイマイチ。「石(終わりの無い話)」も作者の意図がよく分からない。「1/3」もナンセンスなのだが、奇妙な世界観と納得出来るオチで、こちらは楽しめる。
「野菜談義」は途中は面白いが、喰い足りない感じがする。
「液体X」は、あらゆる点で平凡。


ショートショートの広場11

一言

一部、理解し難い作品が有る。

目次

額縁の中
エレベーター
助ける男
マサル
ヨーグルト
思い込み
銀幕
幸運
仲間外れ
願い
ストーカー
不発弾
おじいちゃん
流行作家
時代
日本製
メイク・ラブ
ピエロのゲンさん
清涼飲料水
タクシー
公害防止策
サングラス
酒とワープロと男と女
幸運ローン
死期
アドバイス
キャッシュレス
パパの愛情
相性
ダイエットの神様
調査員
二番打者
take it easy
悩みの種
次から次
僕のドラエモン
お茶菓子
手紙
「死なせて」
こっちにくるな
犬のトレーナー
バイリンガル
内科受診
手話
旅心
発病
赤い糸
ふし穴
手紙
デジャ・ヴ
ハイテク戦争
人助け
男と女
刷り込み
予告
ニュース(童謡付)
世界中の『長い人』に贈る
三ヶ月コース
悪運のジョー
願望
早い者負け

梗概

気軽に読めて楽しめるショートショートこそ娯楽の王様だ。理屈不要の爆笑話から、毒気たっぷりのブラック・ユーモア、思わず考えさせられる風刺譚まで。小説界のマエストロ・阿刀田高氏が選びに選んだ「超」短編小説のオンパレード。読みだしたら止まらない極上の63編。全作品に選評を付けてお届けします。   ――裏表紙より

感想

9点以上の「額縁の中」、「仲間外れ」、「願い」、「ストーカー」、「不発弾」、「酒とワープロと男と女」、「幸運ローン」、「数」、「次から次」、「ふし穴」、「予告」、「ニュース(童謡付)」、「世界中の『長い人』に贈る」、「三ヶ月コース」についてのみ。
「額縁の中」、「世界中の『長い人』に贈る」はイマイチ面白さが理解できず。こういう作を読む度に、自分の理解力の低さが心配になる。
「仲間外れ」は極めて素晴らしい。着眼点も良いし、ちゃんとショートショートにもなっている。ただ手元にトランプが無いと確認が出来ないのが難点か。「幸運ローン」、「数」、「次から次」も良い。あれよあれよ、という間にオチまで繋がる。
「願い」は悪くないがアリガチである。人類が滅ぶなら、主人公の願いが叶えられなかったのもおかしい。「ストーカー」もちょっと納得出来ない部分が有るが、まぁ許容範囲か。「不発弾」は巧い。これも専門家にすれば違和感が有るのかも知れないが。
「酒とワープロと男と女」は奇妙な話、と思わせておいて実は全て照れ隠しだった訳か。
「ふし穴」は如何にも前例が有りそうだが、無いならマズマズだ。
「予告」は、やや分かり難さが有るが、悪くない。課長がどんな人物なのか気になる。
「ニュース(童謡付)」は駄洒落。下らないと見るか、許容するか……。
「三ヶ月コース」は着眼点が良い。実際のビジネスにも応用出来そうだ。


ショートショートの広場12

一言

奇妙な雰囲気を持った作品が多いが、評価はマチマチ。

目次

ちょっとかなしい日記
彼女の翼
公共事業
手紙
ありそうな話
やっちまった!
大への挑戦
ホワイトメモリーズ
十三回忌
おとといマニア
浮気
嫁探し
しりとり
慣れてくると……
壊れ始めた電化製品
虫の知らせ
ライバル
バイトに夢中
熱闘大一番
ノア計画
かさぶらんか!
幸せな病気
どうぶつむらのぎんこう
友情
温かい猿の手
わかれ
悪魔
ショートショート
「不自由な時間」
思い込み
親愛なる娘へ
カイダン
ライダー
親心
覗き見
テレビ
運の尽き
たずねびと
小部屋
領収証
エレベーター
ボイスコントロール
信じられない
環境保護
ゴーストタウン
水筒
倖せな結末
職業病
悪夢クラブ
斬られ役
脇道
ポスト
毛髪
女心
以下省略
旧盆の出来事
新薬剤
少しだけ未来
群馬県から来た男
家庭環境
写真
ベルリンからの手紙

梗概

ほんの数ページのストーリーに、面白さのスパイスをたっぷりきかせたショートショート。誰も考えつかないような突飛な設定、読みだしたら止まらない意外な展開、ラスト1行でのドンデン返し。日常の喜怒哀楽とはひと味違う感動が人生観を変えるかもしれない。短編小説の名手が厳選した全63編への選評付き。   ――裏表紙より

感想

9点以上の「ホワイトメモリーズ」、「十三回忌」、「おとといマニア」、「かさぶらんか!」、「幸せな病気」、「ショートショート」、「不自由な時間」、「思い込み」、「エレベーター」、「ボイスコントロール」、「倖せな結末」、「職業病」、「ポスト」、「少しだけ未来」、「群馬県から来た男」、「家庭環境」についてのみ。
「ホワイトメモリーズ」、「倖せな結末」は感動できる話であり、それでいて軽く笑えるオチが有り、それらが見事に融合したストーリーである。秀逸。
「十三回忌」は巧い。短さも一役買っている。「ボイスコントロール」、「職業病」は多少長いが、やはり巧さを感じる。
「おとといマニア」は奇妙な話。悪くない。「かさぶらんか!」、「ショートショート」は、さらに奇妙さが滲み出ており、それでいて読後感がスッキリしている。「ポスト」は奇妙なのだが、それが楽屋オチと巧く密接していないように感じる。同様に「群馬県から来た男」は奇妙さと時事ネタが結び付いていない。
「幸せな病気」、「不自由な時間」は、まぁまぁ。悪くは無い。
「思い込み」は前半と後半の繋がりが巧くない。イマイチな印象を受ける。
「エレベーター」は、ほのぼのとしたストーリーかと思いきや、なかなかにブラックである。驚いた。
「少しだけ未来」は、もう少し長い話が読みたかった。何でも短ければ良い、という訳でもないようだ。
「家庭環境」は笑ってしまった。よく考えたものだ。何処までも突き詰めていけば、人類は皆こうなるんだろうな。


ショートショートの広場13

一言

ちょっと不満が有る作品が多い。

目次

残金ゼロ
命日
クリスマス・プレゼント
愛を忘れたカナリア
どう見える?
弔問屋
なかみがでちゃう
クリスマスの十ヶ月前
もう一人
ミカエルの卒業試験
蘇生
赤い糸
縁起かつぎ
幼馴染み
愛の行方
どうして犬は
リサイクル
因縁
レストランにて
ちょっとした事
学級委員
父と娘の物語
無人島
正義ノ味方求ム
狭き門
前科八犯
寒い病室
見栄っぱり
理想的な夫
精の出る靴磨き
俺達、ボランティア
月の輝く夜に
時の値段
幸運な家族
どなたか
長寿
いたずら
道を尋ねられる男
やさしい雪に
認定
ある日の目覚め
何か
これなあに
ピノキオ病
テスト・マシン
ミステリー・ガーデン
アルマゲドン
御御御付
貯金箱
フリー
強制勉強禁止法
妻の話
キャッチ・アンド・リリース
燃える闘魂
幽霊
僕はエリコじゃない
逆夢
少子社会
たまご
フェロモン
デートでデジャ・ヴュ
危険がいっぱい

梗概

こんなに短いのに、大満足のおもしろさ。ショートショートこそ、究極のエンターテイメント。ワサビの利いた小話から、ほのぼの甘いラブストーリーまで。短編小説の名シェフ・阿刀田高氏が選びぬいた全63編のフルコースを、ぜひお楽しみください。全作品の選評も掲載した、人気シリーズ第13弾。   ――裏表紙より

感想

9点以上の「残金ゼロ」、「命日」、「轍」、「クリスマスの十ヶ月前」、「もう一人」、「ミカエルの卒業試験」、「どうして犬は」、「無人島」、「見栄っぱり」、「理想的な夫」、「時の値段」、「幸運な家族」、「ある日の目覚め」、「貯金箱」、「フリー」、「強制勉強禁止法」、「妻の話」についてのみ。
「残金ゼロ」は典型的な展開かと思わせて意外な結末。素晴らしいが、少しブラックか。「命日」も少し暗い結末。ショートショートとしては悪くないが、立て続けなのがちょっと……。「理想的な夫」も同様だが、ここまであからさまだと逆にスッキリする。
「轍」は明るいオチだ。悲壮的な状況の中で、こういう終わり方を出来るのは貴重。
「クリスマスの十ヶ月前」はタイトルが「クリスマスの八ヵ月後」とかの方が良かったような気がするのだが。
「もう一人」は主人公が真実に気付かないのは不自然かな。「ミカエルの卒業試験」は話としては良く出来ているが、終わり方が納得出来ない。
「どうして犬は」は、これまでになかった新しい傾向。謎めいた電車の女と他国での飛行機墜落ニュースと犬の鼻が利く理由という、全く関係の無さそうな三つの出来事が有機的に結び付いているのが見事。最後のプラスアルファも悪くない。
「無人島」は現代的なオチだ。多重構造世界というワケ。ただ、あまり巧くない。「見栄っぱり」も現代的と言えるが、少し弱いかな。
「時の値段」は友人の女性の存在が活かされていない。
「幸運な家族」は、ほんわかとした雰囲気が良い。ちょっと説明調なのが気になるが。「ある日の目覚め」もほんわか系だが、印象はかなり異なる。「妻の話」は、ちょっと印象が薄過ぎるか。
「貯金箱」は現実に有る商品を土台としている所が良い。
「フリー」は同じような作品が有った気がする。その分オチも読み易くなってしまった。
「強制勉強禁止法」は奇想天外な展開がテンポ良く進む。星新一も書きそうな話だ。


ショートショートの広場14

一言

全体的なレベルが落ちて来ている気がする。

目次

性病
静かにしてくれ!
売りつくし
月面兎がえし
未来日記
感じの悪い店
あれ?
幸運
書き出しの問題
手紙
餅は餅屋
ぶぶぶ
不幸の四索
当選
コウショク選挙法
詐話師
買物上手
特別調査班
そんな職業
アメリカの大統領
立体映写機
或る会話
マイムマイム
画廊にて
学歴詐称
高座
伊藤聡講演会ニュース
北風と太陽と……
発信暗号くまくまくま
大安吉日
ショートショートを書かなくちゃ
アンドロメダの女王様
日本人間
ジェネレーション・ギャップ
偽札
神は存在するのか
ある列車にて
午前三時のくしゃみ
介護ロボット
芸術家
プリクラ
死ぬ前に
砂漠
効力
完全な殺人
ひかりを超えろ
つく女
姿勢の良い若者
SSの妖精
スーツケース
おばあちゃんの耳は、どうしてそんなに……
審査
うわさ
問題なし
往復書簡
リックの店
痛み
便利なファックス
星占い
車内にて
飛行船
引き分け
蛇のしっぽ
観察ノート
モナリザは二度微笑む
五番テーブルの男
浮気の代償

梗概

「あっ」と驚くアイデアと、技ありの文章。わずか2800字の世界に物語のおもしろさを凝縮したエンターテイメント、それがショートショートだ。短編小説の名匠阿刀田高氏が選びぬいた傑作・67編に全作品の選評も収録。いつでもどこでもすぐ楽しめる人気シリーズ、第14弾が登場!   ――裏表紙より

感想

9点以上の「性病」、「書き出しの問題」、「手紙」、「餅は餅屋」、「詐話師」、「買物上手」、「マイムマイム」、「画廊にて」、「学歴詐称」、「高座」、「大安吉日」、「ショートショートを書かなくちゃ」、「アンドロメダの女王様」、「つく女」、「姿勢の良い若者」、「往復書簡」、「リックの店」、「痛み」、「飛行船」、「引き分け」についてのみ。
「性病」は良くも悪くもある。まずは妊娠を“性病”と表現するのは面白い。しかし、このような世界で遺伝子の多様性や人口を保てるのかどうかが疑問。
「書き出しの問題」、「アンドロメダの女王様」、「引き分け」は巧い。構成が似たのなら見た事が有るような気がするが、その中でも抜きん出てるんじゃないかな。
「手紙」はもう一押し欲しかった。これくらいのオチなら少し冗長だ。「高座」も少し弱い。
「餅は餅屋」は展開は楽しいが、少し子供っぽい感じがする。
「詐話師」は作りがやや歪な形をしている。冒頭の文章もイマイチ効果的でない。
「買物上手」、「画廊にて」は王道のショートショートだ。巧い。「ショートショートを書かなくちゃ」は王道とは言い難いが、よくある手法。ただ肝心な部分が目立たないような気がする。「往復書簡」も良いが、ラストが少し不可解。
「マイムマイム」はオチ自体は簡単に読めるが、タイトルがシュール。
「学歴詐称」は現実的なような、そうでもないような……。
「大安吉日」は、よくやったものだ。ココまでの長さにするだけでも大変だっただろう。
「つく女」は、ここまで短く出来るのが凄い。ダラダラと延ばさない処に好感が持てる。「姿勢の良い若者」も同様に、短いのが良かった。オチは少し唐突な感じがしなくもないが。逆に「痛み」は、もっと短ければ良かったのに、という例。
「リックの店」は少し表現が分かり難い。ショートショートとしては致命的な部分だと思う。
「飛行船」は話が大きくなり過ぎている。


ショートショートの広場15

一言

編者と読者との間に好みの差を感じる。

目次

妻を待つ
パンスカリン
脱出
以心伝心
写真
やまぶき
遠い昔の贈り物
成金ワラシ
偉人たちの憂鬱
タイムマシン
短くて長い夜
公平な方法
拾いもの
魔法のランプ
列車
悪友
国中の女性と愛しあった王様
かつ丼
洗濯の日
まばたき選手権
工事中
白ヤギさんからのお手紙
うれしい大発明
ヘッドハンティング
母さんのぐち
酢豚弁当
告知
恩返し
昔年の想い
善意の裏返し
ひとときの思い出
声恋慕
やめなさい
ペット
道を教える
家に帰ろう
Eメール
彼からのプレゼント
依頼
予感
運のいい人
異物混入
ままごと
掃除嫌い
獄門台の首
少年と熟女
贈り物展示館
新興宗教
愛を叫ぶ声
第二回まばたき選手権
一年の孤独
セミの声
DNA
ある投稿川柳
チキン
夫の帰宅
駆除
平和の諧謔的帰結
十パーセント
論理的な幽霊
大道廃れて仁義あり
誰であろうと
反省文

梗概

コメディー、ミステリー、SF、ホラー、ユーモア、etc。一本2800字以内のスペースに、あらゆるエンターテイメントがそろった物語のテーマパーク『ショートショートの広場』! 全64編の傑作をお楽しみください。短編小説の巨匠・阿刀田高氏による選評も収録した人気シリーズ第15弾。   ――裏表紙より

感想

9.5点の「ヘッドハンティング」、「贈り物展示館」、「チキン」についてのみ。
「ヘッドハンティング」は文章がやや硬質だが、「忙しさのあまり身だしなみが崩れがち」などの伏線が絶妙。短いのだがテンポが悪いのが唯一の欠点。
「贈り物展示館」は雰囲気が良い。ややオチを理解するのに時間が掛かるが、現代を舞台に古風な印象。特筆に価する。
「チキン」は読み方を考えないと楽しめない。主人公の気持ちに立ってみる事が肝要だ。


ショートショートの広場16

一言

近年の作品群としては、まぁまぁか。

目次

のっぺらぼう
突き放しの美学
かたづけられない
殺害
眠りたいの? 眠りたくないの?
語り手の条件
国際再雇用研修
ルーツ
宅配便
白やぎさんからの手紙
チャットにはまる
治療
マナー違反
選抜
予知能力
離すな
確認の方法
死線
驚愕
お笑いバブル
完璧な政治コンピューター
身代わり
誕生日
幸せの予約
天気予報
告白
よき妻
吉報
あなたに伝えたい
生きろ
瓢箪
絶叫
せっかちな友人
当選者発表
未来テレビ
嘘つきな猫
リモコン
待つ女
診療室にて
マイミープラヨーツの作り方
うるさくて
調教
物わすれ
助けて!
利口な猿
あなたが好きよ光線
あなた
私の妻
駅前五目ビル事件
翌日の記憶
侵入ルート
受験勉強必勝法
三匹の猫
ありふれた殺人事件
テリトリー
狂った時計
こぶとり
自己責任
歯が痛い
漂流者たち
サッチャン攻略本
夢の中の男……
ある方法

梗概

スウィートな恋物語から、ビターなブラックユーモアまで。磨きぬいた言葉をベースにエスプリを利かせて仕上げたショートショートは、まさに面白さのカクテル。『ショートショートの広場』では短編小説の名匠・阿刀田高氏お奨めの全64編をお楽しみください。選評も付いた人気シリーズ第16弾。<文庫オリジナル>   ――裏表紙より

感想

9点以上の「のっぺらぼう」、「虫」、「突き放しの美学」、「国際再雇用研修」、「ルーツ」、「宅配便」、「予知能力」、「離すな」、「幸せの予約」、「天気予報」、「瓢箪」、「絶叫」、「待つ女」、「診療室にて」、「マイミープラヨーツの作り方」、「利口な猿」、「あなたが好きよ光線」、「受験勉強必勝法」、「三匹の猫」、「自己責任」についてのみ。
「のっぺらぼう」、「マイミープラヨーツの作り方」は途中までの流れは秀逸だが、オチが弱い。なんだ結局そうなるのか、と思えてしまう。「利口な猿」は最後もマズマズ。完璧と言う程でもないが。
「虫」は発端と展開とのギャップが良い。が、この手のネタは既に行われていたハズ。「あなたが好きよ光線」も最初と結末とのギャップが激しい。悪くは無いが。
「突き放しの美学」は、なるほどと思わせるが、後味はあまり良くない。
「国際再雇用研修」は秀逸。最初から引き込まれ、寓意性にも優れている。若者の能力はどうなっているのか気になる。「予知能力」も特に優れていると言える。警察官の苦悩が目に見えるようだ。「待つ女」は意外な結末の上に、妙なリアリティすら感じる。素晴らしい。
「ルーツ」、「診療室にて」は気軽に笑える。こういうオチは有りそうで、なかなか無いのではないか。
「宅配便」は、もう少しメルヘンに合う世界観にした方が良かった。この短さでは至難だが。
「離すな」は少し説明不足かな。
「幸せの予約」は設定は面白いが、それを活かしきっていない気がする。
「天気予報」は短いのにオチが読めてしまうのが致命的。もう少し曖昧な書き方が出来なかったものか。
「瓢箪」は悪くないのだが、ストンと納得出来ないものが有る。間違いなく巧く作っているのだが。「絶叫」、「受験勉強必勝法」も同様。
「三匹の猫」は独特の奇妙さが有る。
「自己責任」はショートショートとして読み難い部分は有るけれど、意図はよく伝わる。たまにはアリだろう。


ユーモア革命

一言

ユーモアが苦手な人にオススメ。

目次

第一章 ユーモアと笑い
子どもたちはユーモリスト
ユーモアは体液だ
徹夜麻雀って健康な遊びだね
ユーモアの三段論法
バナナの皮と校長先生
手をあげて横断歩道で死んでいた
やらせとくり返し
第二章 ユーモアの価値
たくまざるユーモア
デボノ博士の水平思考
ディスク・ジョッキー的手法
江崎博士、笑ってください
金利を二倍にしたかったら
知己料と微苦笑
第三章 セレンディピティを尋ねて
セイロンの王子たちの冒険
幸福を生みだす才能
発明発見はセレンディピティだ
小説家にとってのヒント
ユーモアは軽さが大切
二つの記憶力
第四章 ユーモア、ウィット、ジョーク能力
ユーモアとウィット
現実主義と理想主義?
ウィットと批評精神
人生って捨てたもんじゃないな
食べながらは泣けない
第五章 ユーモア上手への道
まずウィットを狙え
ジロドゥの戯曲から
いつでも、どこでもある笑い
先入観を捨ててみよう
第六章 ユニークな視点
もう一つの理屈
マリリン・モンローの名言
屁理屈いろいろ
第七章 人生の持つおかしさ
鋭く眺め、巧みに捉える
<平太郎殿>を眺める
西鶴のユーモア
第八章 誇張してみる
シベリアの寒さは
NHKのニュースで
そこがダンテで
怪物たちのユーモア
雷電と大袈裟文芸
田虫とナポレオン
嘘の楽しさ
孤狸庵先生が行く
ジョークが匂ってくるぞ
平賀源内の<放屁論>
第九章 比喩を使おう
モノローグの中の比喩
やぼな予習も必要だ
雄ねじと雌ねじ
向田邦子の比喩
二つ折りの恋文が花の番地を捜している
水道方式はなぜ消えた
兵隊の位で言うと……
聖書とするめ味
第十章 エロチシズムと笑い
正気もないこと
とかく高貴なかたがたは
日本人のエロチシズム
第十一章 ブラック・ユーモアの世界
タブーを笑う心理
地の底からの笑い
過激派と穏健派
デーケン先生の死生学
第十二章 言葉遊びとジョーク能力
これまでの復習
言葉じゃれとは
日本語の特質
ジョーク能力を求めて
言葉遊びのおもしろさ
第十三章 批判精神と風刺
ソ連に文化省がある!
ジョークの悪意
散歩しながらクソをする
ワイパーの存在理由とは
チーズの贈り物
コラムニストの企み
ジョークを演ずる能力
第十四章 自分ジョークの実際
三四郎的体験
自分ジョークとは?
犬っこ、雪っこ、タバっこ
向田邦子のスグミル種
阿川佐和子さんのジョーク感覚
第十五章 ユーモア図書室
私の読書案内
映画の中の名台詞
東海林さだお氏の多彩な技
人生そのもののおかしさ
ジョークにもあるお国柄
全然使っていない脳
芭蕉のユーモアを探る
<珍太郎日記>が私の出発点
若者のハンカチ
遊び心からの発見
エピローグ
なぜかフリオ・イグレシアス
ユーモアの二面性

梗概

お父さん、おそば屋さんには三匹動物がいるんだね。うん? キツネ、タヌキ……それから大ザル! 巧まざるユーモアがつくりだす小さな笑いの渦巻は、こころをなごませてくれるだけでなく、ときには、苦しみから脱け出す空気穴ともなってくれます。もしこの世から笑いが消えたら、世界はどのようなものになってしまうのでしょうか。
ユーモア、ウイット、ジョーク――笑いの底にひそむ秘密が、いま解き明かされようとしています。
   ――表紙裏より

感想

ユーモアやジョークを分析的に検討する。用例も非常に多く、ユーモアセンスを養うのに一役買う事は間違い無い。
ただ使用されているユーモアには古さを感じさせる物も少なくなく、その選別の為に或る程度のセンスが要求されるのが欠点。
『ユーモア革命』という程には、革新的な事を語っている訳ではないのが残念だ。筆者にこれだけの知識が有るなら、もっと興味深い内容にも出来たと思う。


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