タイトル | 出版社 | 初版日 | 勝手な採点 | 通販 |
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しあわせの書 迷探偵ヨギガンジーの心霊術 | 新潮文庫 | 1987年07月25日 | ★★★★☆ | 購入 |
11枚のとらんぷ | 創元推理文庫 | 1993年05月31日 | ★★★ | 購入 |
泡坂妻夫の怖い話 | 新潮文庫 | 1998年08月01日 | ★★★ | 購入 |
未読の人に種を明かしてはいけない。
しあわせの書 迷探偵ヨギガンジーの心霊術
二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊会”。超能力を見込まれて信者の失踪事件を追うヨギガンジーは、布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。41字詰15行組みの何の変哲もない文庫サイズのその本には、実はある者の怪しげな企みが隠されていたのだ――。マジシャンでもある著者が、この文庫本で試みた驚くべき企みを、どうか未読の方には明かさないでください。 ――裏表紙より
ミステリーとしては出来は悪くはないが平凡なもの。しかし作中に登場する宗教本『しあわせの書』と連動する仕掛けが読者に襲い掛かった時には――
これはもう凄いと言うしかない。作者がどれほどの苦労をしてこの作品を仕上げたか、どれだけ想像しても足りないだろう。
読むステージマジック。
T部 11の奇術 1 奇術――マジキクラブ 2 バレエ――サンジョーバレエグループ 3 人形劇――模型舞台+サンジョーバレエグループ U部 『11枚のトランプ』 内贈 凡例 第一話 新会員のために 第二話 青いダイヤ 第三話 予言する電報 第四話 九官鳥の透視術 第五話 赤い電話機 第六話 砂と磁石 第七話 バラのタンゴ 第八話 見えないサイン 第九話 パイン氏の奇術 第十話 レコードの中の予言者 第十一話 闇の中のカード V部 11番目のトリック 4 蚤の市――三階ロビー 5 コンテスト――ニューメラル劇場 6 クロースアップマジックショウ――U会議室 7 奇術講義室――Σ会議室 8 ディナー――展望レストラン 9 マジキクラブ控室――浮舟の間 10 ビッグショウ――ユーディット劇場 11 お別れパーティー――鳳輦の間
奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、マンションの自室で撲殺死体となって発見される。しかも死体の周囲には、奇術小説集『11枚のとらんぷ』で使われている小道具が、壊されて散乱していた。この本の著者鹿川は、自著を手掛かりにして真相を追うが……。奇術師としても高名な著者が、華麗なる手捌きのトリックで観客=読者を魅了する泡坂ミステリの長編第1弾! ――裏表紙より
マジシャンでもある筆者が贈る、マジックストーリー。まさかステージマジックを丸ごと描いてしまうとは恐れ入った。マジック経験の有る人間なら、思わずニヤリとしてしまう場面が満載である。
勿論マジックを知らない人が読んでも楽しめる内容になっている。基本的な用語は解説してある。そして何と言っても『11枚のとらんぷ』は推理小説なのだ。
大掛かりなトリックというよりは、細かで繊細なトリックが散りばめられているという印象だが、読後感は悪くない。取り敢えずマジックに興味が有る人にはオススメ。
後になって尾を引くような怖さ。
毒 ハートのQ 解坂中毒 ミュージシャン 階段 ねずみ穴 雨の銀座 大仕事 固い種子 虫の知らせ 影人形 鳥が 実用の品 お助けおばさん 悪夢 唇紅 大欲は無欲 排水口など 御徒町 黙祷 自然食 わんわん鳥 分身 社丹記 永日 面 女護の島 妻恋おきみ キジマくんの話 吉田御殿 妖香
夫の態度が急に変わったのは浮気、それとも? 美人女優とキスした夢から喜んで目覚めると…! 終電間際の駅で連続して死傷事故が起きた理由は? 添加物に汚染されていない究極の自然食品を探したら……。
ドキドキするような艶っぽい話から、ゾッとするような日常の恐怖まで、それぞれ鮮やかな手品のようにトリックを効かせたショート・ショート集。一日一話で1ヵ月を愉しむ膳1篇。 ――裏表紙より
タイトルに「怖い話」と銘打たれているが、ホラー的な瞬間的の怖さではなく、後々になって尾を引くような怖さを扱っている。とは言っても夜に怖くてトイレに行けなくなる程ではないので、その点は“怖い話嫌い”な人でも安心である。
ただ、作者自身がマジシャンなので作中でマジックを扱う事が多いのは納得だが、それ以外では恋愛や性的な出来事を綴った作品が群を抜いて多いのが気になる。僕にとってはショートショートと言えば星新一であり、彼はセックスネタを殆ど扱わなかっただけに、違和感が大きかった。まぁそういう主観は抜きにしても、やはり少し多過ぎるとは思う。