| タイトル | 出版社 | 初版日 | 勝手な採点 | 通販 |
|---|---|---|---|---|
| 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 虚夢回路 | 徳間デュアル文庫 | ２００４年０１月３１日 | ★★★☆ | 購入 |
| 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 凍れる機械 | ２００４年０７月３１日 | ★★★★ | 購入 | |
| 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 眠り男の棺 | ２００５年０２月２８日 | ★★★ | 購入 |
アニメの小説化としては大成功。
虚夢回路 THE LOST MEMORY
西暦２０３０年。極度に人々の電脳化が進む中、電脳犯罪を未然に防ぐために設立された攻性の組織。それが「攻殻機動隊」こと公安９課だ。今、９課が相手にしているのは少年たちだった。ある日突然、世界への憎しみに駆られ、凶行に走る通称≪目覚しテロリスト≫たち。だが彼らは、なぜ自分がテロを行ったのか、事件後には覚えていない。捜査のため、一人の少年の電脳に侵入した草薙素子が体感する謎の記憶。少年たちをテロに導いた者の狙いとは……？ 大人気ＴＶアニメの本編スタッフがオリジナル・ストーリーで贈るもうひとつの「攻殻S.A.C.」、登場！ ――裏表紙より
事件の構造や小説ならではの表現など、極めて『攻殻機動隊』の世界観とマッチしている。上手い。
例えば作中に“笑い男事件”との関連を匂わせたり、アニメだったら超能力にしか見えないだろう電脳の使い方を提示するなど、ファンにとっては充分に納得出来る仕上がりになっているのではないだろうか。
一方でアニメを全く知らない場合は、電脳などの設定を理解するのは苦しそうだ。やや置いてけぼり感を喰らうかも知れない。そこが惜しい。まぁ何も全く知らない状態で、この小説を手に取るとは思えないが。
ノベルス化としては完璧。
魔弾の射手 DOUBLE TARGETS タチコマの恋 FIRST LOVE, LAST LOVE 凍える機械 REVENGE OF THE COLD MACHINES
西暦２０３０年。電脳化・義体化が進む一方で、癒されぬ人々の心の闇は、さらに凶悪な犯罪を呼ぶ。新人のトグサが招慰難民居住区で掴んだ暗殺計画。その標的は、なんと公安９課課長の荒巻大輔だった！ 黒幕の正体を暴くため、あえて暗殺者の前に我が身をさらす荒巻。そして草薙素子ら９課メンバーの前に現れる最強義体。その正体とは……。大人気アニメシリーズ『攻殻機動隊S.A.C.』の本編スタッフが書下しで描くオリジナルストーリー第２弾、中編「タチコマの恋」も収録して、ますます過激にヒートアップ！ ――裏表紙より
前作同様、アニメ『攻殻機動隊』の世界観や雰囲気をよく保っている。他メディアのノベルス化という点に於いては、全く非の打ち所が無い。
物語自体もまずまずで、『虚夢回路』ほどは練りこまれていないものの、３つの中編が密接に関係し合いながらも独立した作品として成立している所は、益々アニメ版を思い起こさせる。
またタチコマの登場シーンが増えたのは、純粋にファンとして嬉しい所だろう。あのキャラクターでシリアスな雰囲気をぶち壊しにしないのは凄いと思う。
これまでとは敢えて路線変更。しかし結果は奮わず。
眠り男の棺 WHITE MAZE
人々の義体化、電脳化が進む２０３０年に、新浜で起きた≪吸血鬼≫連続殺人事件。その被害者の首には、二つの禍々しい傷跡が残されていた。≪吸血鬼≫のひとりと接触した公安９課の草薙素子は、少女の脳内にダイブ。その脳に残された記憶映像を手がかりに、事件の謎を追う。かつての大戦で水没した旧首都・東京に、ただひとりで潜入した素子を待ち受ける罠。一切の支援を断たれた≪戦場≫の地で、素子は何を見ることになるのか。大人気ＴＶアニメーションの本編スタッフが描くオリジナル小説、待望の第３弾！ ――裏表紙より
今作ではアニメで詳しく描かれる事が少なかった旧東京が舞台。その所為か、やや今までと雰囲気が変わったように感じる。
全体的な出来はイマイチだった。一番の問題点は序盤の謎である吸血鬼事件の一番の謎が、さっさと解き明かされてしまう事だろう。ここを引っ張って荻窪という舞台を描けば、さらに興味を惹かれるストーリーになったと思われる。
小説版『攻殻機動隊』シリーズは、これまでアニメの雰囲気に上手く乗せた作品が多かったが、今回は敢えてそれを外した事が、結果として裏目に出てしまったようだ。