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長谷川眞理子

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タイトル 出版社 初版日 勝手な採点 通販
雄と雌の数をめぐる不思議 中公文庫 2001年11月25日 ★★★ 購入

雄と雌の数をめぐる不思議

一言

冷静な視点から見た性差。

目次

第1章 世の中に雄と雌がいるわけ――性の起源
雌雄異体と雌雄同体
卵と精子
有性生殖はなぜ出現したか?
第2章 どのように雄になるのか、雌になるのか――性の決定機構
性染色体
二つの性染色体による性決定機構
三つ以上の要因によって決まる性決定機構
環境要因による性決定
どういうときに環境性決定になるか?
半倍数性という奇妙な性決定
第3章 性比も遺伝子で進化する
進化とは何か
進化のプロセス
表現型と遺伝子型
自然淘汰の働き
アノールトカゲの脚の長さ
適応度と適応
進化は種のためには起こらない
性比の進化
フィッシャーの理論
頻度依存の淘汰と進化的に安定な戦略
息子と娘に対する投資
死亡率の差と性比
第4章 性比の偏りとさまざまな競争
局所的配偶競争
ハチやダニの奇妙な生活
匙かげんは母親しだい――局所的配偶競争
重複寄生と性比の変化
あとから来た雌はどう振る舞うべきか?
近親婚ではどの性比が最適か?
アゲハチョウの蛹を食い荒らすハチ
局所的資源競争
雄に偏った博物館の標本
母と子の争い――局所的資源競争
鳥類における局所的資源競争
局所的資源競争理論の今後
局所的資源拡充
ヘルパーの役割
セイシェルヤブセンニュウにおける見事な研究
第5章 哺乳類の性比の偏り
配偶競争と資源競争
繁殖のチャンスをめぐる競争
トリヴァース=ウィラードの仮説
順位の高い母親が息子を産むラム島のアカシカ
オポッサムとコイプー
ライオンの兄弟のきずな
ラム島のアカシカのその後
育ちで得するのは娘か、息子か――霊長類の性比をめぐる論争
育ちのよい娘
「女の子いじめ」と局所的資源競争
クモザルの「育ちのよい息子」
混迷するカヨ・サンチアゴのアカゲザル
性比の偏りは存在しない
また別の理由による性比の偏り?
霊長類の性比論争の今後
子育ての負担――息子と娘はどちらが手がかかる?
大きな息子を育てるコスト
コストのかからない大きな息子
第6章 息子がいいか娘がいいか――ヒトの性比と子育ての性差別
ヒトの性比に偏りはあるか
どちらかの性の子を欲しがる悲劇
ヒトの出生性比はおよそ105対100
戦争の直後には男の子が多く生まれるか?
トリヴァース=ウィラードの仮説とヒト
母親の健康状態と出生性比
19世紀のモルモン教徒の一夫多妻
近世ポルトガルの農民たち
性比の偏りは悪い社会をもたらす
子育てにおける女児差別
子殺しの進化
ヒトにおける子殺し
北西インドの上流階級における女児殺し
19世紀中国での女児殺し
女児に偏った中絶
女児の養育差別
過去のヨーロッパにおける女児の高死亡率
戦前日本における女児差別
戦前日本の女子死亡率の過剰
女性差別の証拠
女工哀史
富国強兵政策と男尊女卑思想
男の子に対する差別
ムコゴド族
カンジャール族
イファルエール島人
近世ドイツ
文化の支配と文化的適応
人権思想と性比
文化が人の思想に押し付けるもの
文化を変えるのも人間

梗概

性の起源から解き明かし、進化と自然淘汰による性比の偏りを、論証する。アオウミガメの卵は28度以下だとオスになり、30度以上だとメスになる。アカシカは順位の高いメスが息子を多く生み、低いメスが娘を多く生む等、具体的事例を交え、生物の性比の謎を、わかりやすく解説する繁殖生態学入門書。   ――裏表紙より

感想

前半は性に関する基礎知識の確認で退屈だが、後半は恐らく最先端であろう研究成果が分かり易く解説されており、非常に興味深い。
基本的には動物の性に関する行動を主体として扱っているが、最終的にはヒトへの理論的応用を見据えた作りとなっており、とても身近な問題として受け止められた。
先に書いたように前提知識は序盤で紹介されるので、中学生くらいでも読破は可能と思われる。


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