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壁井ユカコ

HOBBY MAIN

タイトル 出版社 初版日 勝手な採点 通販
キーリ 死者たちは荒野に眠る 電撃文庫 2003年02月25日 ★★★★ 購入
キーリU 砂の上の白い航跡 2003年05月25日 ★★★ 購入
キーリV 惑星へ往く囚人たち 2003年08月25日 ★★★☆ 購入
キーリW 長い夜は深淵のほとりで 2004年02月25日 ★★★ 購入
キーリX はじまりの白日の庭(上) 2004年07月25日 ★★★ 購入
キーリY はじまりの白日の庭(下) 2004年09月25日 購入
キーリZ 幽谷の風は吠きながら 2005年08月25日 ★★★★ 購入
キーリ[ 死者たちは荒野に永眠る(上) 2006年02月25日   購入
キーリ\ 死者たちは荒野に永眠る(下) 2006年04月25日    
カスタム・チャイルド 2005年04月25日 ★★★☆ 購入

キーリ 死者たちは荒野に眠る

一言

短編連作風ながら一本の筋の通ったストーリー。

目次

神さまは何故いないのか
第一話 ルームメイト
第二話 切符を拝見いたします
第三話 血まみれピエロに喝采を
第四話 “I'm home.”
第五話 死者たちは荒野に眠る
第六話 光の路標へあと何歩
神さま、もしいるのなら

梗概

キーリは教会の寄宿学校に通う14歳の少女。霊感が強く霊が見えることから、神の存在や教義に疑問を抱いていた。
冬の長期休暇初日、キーリは<不死人>の青年ハーヴェイと、その同行者の小型ラジオの憑依霊・兵長と知りあう。
キーリは、勝手に彼らの旅についていく事に……。様々な亡霊たちとの出会いと別れを経験しながら、キーリはやっと自分の居場所を見つけた気がしていた。
しかし、旅の終わりは思いのほか早く訪れる。ハーヴェイが教会の<不死人狩り>に捕まってしまい――!?
第9回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作。
   ――表紙裏より

感想

女性作家の小説はあまり読まないので、心理描写など非常に新鮮に感じた。主人公でありヒロインでもある少女の精神的な幼稚さ(14歳という年齢を考えれば当然そういう部分はある訳だが)を敢えて描いているのは女性だからこそかも知れない。しかしそれを読まされても読者には苦痛ではない。
逆にヒーローたるハーヴェイは生きて来た時間を考えると幾らなんでも精神年齢が若過ぎるように感じられてしまった。これが外見同様に20歳くらいの青年だというのなら非常に共感出来るのだが、80年も生きた人間がちょっとムキになり過ぎだろう。何に対しても「面倒くさい」と言う辺りに年齢を感じさせようとしているようにも思うが、それだけではリアリティが不足していると思った。
肝心のストーリーは地味ながら良い出来で、第四話までの細かいエピソードが実に効果的に働いている。敵役のヨアヒムの底が浅かったのは残念。


キーリU 砂の上の白い航跡

一言

心情表現は良いがストーリー展開は盛り上がりに欠ける。

目次

“Say hello to my doll.”
第一話 ギミックドール・ギミックハート
第二話 君を守る手
第三話 階段下りて、ここまでおいで
第四話 階段落ちて、ここまでおいで
第五話 トリ・ペリ
第六話 砂の上の白い航跡
“Say so-long to my doll.”

梗概

14歳の少女キーリと<不死人>ハーヴェイ、そしてラジオの憑依霊・兵長は、“砂の海を渡る船”に乗ることに……。
乗船前、町の海岸で、キーリは動いている3体の小さな人形達を見かけ、追いかけていく。繁華街を抜けて、その人形達が行き着いた先は、寂れた鍛冶屋だった。キーリが中を覗くと、店の主は一心不乱に作業をしており、その傍でロボットが器用に立ち働いていた。キーリは、そのロボットに招き入れられて店の中へ。しばらくして、その店の様子が変なことに気づき帰ろうとするキーリ。しかし…!? 第9回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作の続編、登場!
   ――表紙裏より

感想

ストーリー自体は平凡で、特に主人公キーリに如何にも曰く有り気なシチュエーションを用意したのは寧ろマイナスであるように感じる。
この作品の見所はハーヴェイの子供っぽさやキーリの嫉妬や兵長が親馬鹿ぶりを発揮するシーンだと思う。だから、そこを徹底的に突き詰めていって欲しい。そういう意味ではユーリというキャラクターの登場は良かった。
本編とは関係無いが、イラストはかなり秀逸。


キーリV 惑星へ往く囚人たち

一言

安定感の有る文章には好感。

目次

惑星へ往く囚人たち
第一話 坂の上のいちばん上で
第二話 ゴースト&ライター
第三話 はちあわせの水曜日、すれちがいの木曜日
第四話 ホーンテッド・スターシップ
第五話 “Let us go home.”
惑星へ行く旅人たち

梗概

“砂の海を渡る船”を降りたキーリと<不死人>ハーヴェイそしてラジオの憑依霊・兵長は、炭鉱の街に住むことに……。キーリは初めてのアルバイト生活を楽しんでいたが、ハーヴェイはほとんどの時間をアパートの部屋で過ごしていた。
ある朝、アルバイトに出かけるキーリを狙うかのように、上の階からフォークが落ちてきた。なんとか防いだハーヴェイは、フォークを落とした張本人の部屋に向かう。しかし、そこは空き部屋になっていて――!?
第9回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作、第3弾!
   ――表紙裏より

感想

文章スタイルは既に確立しており、安定感が有る。好き嫌いは別れるかも知れないが、基本に忠実だ。メイン二人の心理描写はやはり秀逸で、回りくどい展開の割には読んでいて不快に感じない。
しかし後半部分ではエレーナの存在はちょっと不必要だった気がする。今一つ本編に乗り切れていない印象を受けた。その場で明かされる不死人についての真実は物語上で重要事項だから外せないが、もう少しすっきり書けたのではないだろうか。
次巻ではハーヴェイが物語から離脱するようだが、どうやってストーリーを紡いで行くのか注目。二元中継か?


キーリW 長い夜は深淵のほとりで

一言

シリーズ作品的になって来た。

目次

冬の朝、ある掃除夫と死体の話
第一話 “Once upon a time, a witch was in a town”
第二話 駅長と犬、待ちぼうけ
第三話 泣かないハード・ガール
第四話 長い夜は深淵のほとりで
第五話 霧雨降る路、水たまりはねて帰ろう
秋の午後、ある不死人と少女とラジオの話

梗概

ハーヴェイが消えてから約一年半。キーリは16歳になっていた。キーリと、ラジオの憑依霊・兵長そして<不死人>ベアトリクスは、東サウスハイロで暮らしている。
ある日、ベアトリクスの情報筋からキーリの出生の手がかりが見つかったと聞き、ノースハイロ方面に向けて出発する。
旅の途中、ウエスタベリ教区のはずれの街トゥールースに着いたキーリ達は、この街でまた不思議な出来事に遭遇する。そして……。キーリの出生の手がかりとは!? ハーヴェイとの再開は!?
第9回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作、第4弾!
   ――表紙裏より

感想

前半は第1巻のような短編連作風味を出し、後半の山場に向けて盛り上げて行く構成。ただ最終的には幾つか次巻以降へ持ち越した要素が有り、今までのように一応の完結をしたという印象が薄い。
ストーリーが核心に近付きつつあるのは間違いないだろう。あと2冊くらいで完結かも知れない。他の不死人が出て来るならまだまだ長くも出来るだろうが、そろそろこの作者の別シリーズも読んでみたい気もする。
兵長のラストがキーリ達にまつわる真相とどう絡むのか、それが気になる。少なくともキーリやハーヴェイを庇って消える、という展開は嫌だなぁ。


キーリX/Y はじまりの白日の庭

一言

もしかして、これは番外編だったのか?

目次

いつものあの鉄棒の下で
第一話 ノイズに消えた夢
第二話 壁の中から君を見ている
第三話 ほんとうのふしにん
幕間 ある日の風吹く回廊で
第四話 はじまりの白日の庭、終わらない夜の迷宮
episode.1 Joachim
episode.2 Neverland-I
episode.3 Neverland-II
episode.4 Ephram
第五話 夢は気まぐれに終わり
いつかあの光の砂場で
コミック ガラスの向こうの彼によろしく

梗概

キーリとハーヴェイそしてラジオの兵長は、不死人がいるという噂を聞いて、ベアトリクスかもしれないとウエスタベリへやって来た。街は植民祭の季節。ハーヴェイの知り合いの興行団と出会い、彼らのキャンプに世話になる事にしたキーリ達。そこを拠点にベアトリクス捜索を開始する。しかしハーヴェイは、なぜか一人で出掛けてしまう。興行団の手伝いをして時間を過ごすキーリ。ある日買い物に出かけたキーリの目の前に予期せぬ人物が現れる。そして――!?
新展開を見せる人気シリーズ。今回のエピソードは、<上><下>巻構成。
   ――上巻表紙裏より

キーリとハーヴェイそしてラジオの兵長は、ベアトリクス捜索のために植民祭の最中であるウエスタベリに来ている。興行団のキャンプに世話になりながら、ハーヴェイ一人がベアトリクスの捜索をする。残されたキーリは、キャンプで暮らす小さい女の子ナナと遊んだり洗濯をしたり、不思議な力の持ち主に出会ったりしながら留守番をする事に。そんな中、強盗から助けてくれたある人物の家に行く事を決心したキーリは、その事をハーヴェイにも兵長にも告げず実行してしまう。そして―――!?
新展開を見せる人気シリーズ。“はじまりの白日の庭”完結編。
   ――下巻表紙裏より

感想

物語は佳境に突入。それに見合った力作となった。
しかし、この作者は元々情景描写が細か過ぎるが故に逆に分かり難くなってしまう傾向が有ったが、今作ではそれが顕著で、ストーリー上との関係も有り、「今は一体どういう場面なんだ?」と迷ってしまう事が多い。再読すれば解消される問題だろうが、初見だと分かり難い事この上無い。今後は、その辺りの改善を望みたい。
一部のキャラクターの性格付けや成長背景には疑問が残る部分も有る。そもそも『キーリ』シリーズとしては、どちらかと言えば番外編的な要素が多かったのではないだろうか。ベアトリクスが見付かる気配も無いし。
読み切りの漫画も悪くは無い、といった程度だが、『キーリ』らしさは非常に良く出ている。


キーリZ 幽谷の風は吠きながら

一言

退廃と絶望が包み込む中の一筋の光。

目次

冬の朝、ある神官と堕ちてきた天使の話
第一話 手の中のもの こぼれ落ちていくもの
第二話 オモチャの兵隊は泣きながら
第三話 九号車の旅行好きな人々
幕間 春遠く、ある神官ととても偉い神官の話
第四話 危ない令嬢と親切なけだもの
第五話 古い古い音楽の歌詞で……
第六話 幽谷の風は遠吠きながら
黄昏の下、ある不死人と少女とラジオと、翼を持つ獣の話

梗概

キーリとハーヴェイとラジオの兵長は、行方不明のままのベアトリクスの手がかりを探すため、教区境のバーに滞在していた。ある日、ラジオの様子がおかしい事に気づき、修理屋に持ちこむと「そろそろ寿命かもしれない」と言われる。とにかくラジオを直すため、キーリ達は古い部品が残るという鉱山区に向け、旅立つ。
ハーヴェイの<核>にも異変が起きており、今までに手に入れてきた大切なものが一つずつ剥がれ落ちていく不安をキーリは拭えずにいた。『もう何もいらないからずっとこのままでいたい』そう願うキーリ。しかし……。
   ――表紙裏より

感想

多元中継的手法をフルに使用した今作。主人公であるキーリとハーヴェイの心理対比が読み取れて面白い。
確実に収束に向かいつつある登場キャラクター達の悲惨な運命。それは物語の終了も意味し、残りのエピソードは一つだけのようだ。
今回はラジオの兵長の復活が一つの大きな肝だったが、それがややご都合主義的だったものの、主要な新登場人物2名がなかなか良い味を出していた。
これから彼らがどうなっていくのか、ゆっくりと見届けたい気分にさせてくれる。


キーリ[/\ 死者たちは荒野に永眠る

一言

目次

梗概

──何が俺とあいつの道を分けたんだろう。
──十四歳の旅のはじまりから今日まで、どれくらいの時間をこんなふうに列車の上で過ごしてきたんだろう。決して楽しいことばかりの旅ではなかったけど、帰りたいと思ったことは一度もなかった。
ラジオ(兵長)を直すための旅の途中で、首都治安部隊に捕まったキーリとハーヴェイ。彼らは、キーリを実の父親に会わすと言う。迷った末にキーリは(監視付きで)ハーヴェイ、兵長と一緒に列車で首都に向かうことに。途中、ヨアヒムも現れ、無理やりキーリたちに同行する。しかし、この首都行きが、キーリ、ハーヴェイ、兵長、そしてベアトリクスやヨアヒムの運命までも決めることとなる。
   ――上巻公式サイトより

   ――

感想


カスタム・チャイルド

一言

絶妙な心理描写は健在。

目次

Prologue そこは世界の行きどまり
1. ハンダ通り四丁目雑居ビルの来襲者
2. ススキ家の原因と現状とこれから 7月3日
3. ススキ家の原因と現状とこれから 7月4日
4. 猫にまつわるささやかな顛末
5. ダーウィンズ・ヒルと三嶋の場合
6. 夏のはじめの最後の日 灰白色の月
7. 夏のはじめの最後の日 4th-Girl Code:Innocent
8. ダーウィンズ・ヒルと三嶋の場合〜冬
9. 夏の少女にもういちど
Epilogue ハンダ通り四丁目雑居ビルの訪問者

梗概

「あー……そっか、もしかして俺しばらく音信不通だった?」『一週間。さすがに死んだかと思うだろ』そんなにたってたっけ。どうりで六月も終わるはずだ。
――三嶋は友人の電話に起こされ、寝ぼけたままバスルームへと向かった。ふと、戸口に人の気配がし振り返ろうとした時、首筋にあてられた刃物の感触に全身が凍りついた。
「動かないで。動いたら切れるよ」
三嶋の前に突然現れた少女マドカ。三嶋の夏はこうして始まった――。
第9回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作『キーリ』シリーズの著者、書き下ろし長編。
   ――表紙裏より

感想

『キーリ』シリーズに於いて、少女の心理を独特の長い文章で表現する事に見事に成功している作者が、今作では同様の手法で若い男性を描いている。これが微妙に『キーリ』と対比的になっており、比較してみると面白い。
肝心の中身であるが、ストーリー自体は感動的に仕上がっているものの、やや定石的で結末が読めてしまう。サイドストーリーが豊富で飽きさせないが、これは次巻への布石の意味合いが強いように思える。単発作品としては、もう少し短くまとめて欲しかった。


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