良くも悪くも破天荒型少女主人公小説の先駆けとなった。
一 気をつけよう 野盗いびりと夜の宿 二 悪役は 忘れなくてもやってくる 三 大ピンチ! 捕まっちった(情けなや……) 四 見せましょう! あたしの実力今度こそ! エピローグ 解説
あたしはリナ=インバース。自分でいうのもなんだが、天才魔導士にして戦士、天下無敵の美少女だ。
そもそも今度の事件は、ほんのささいなことがきっかけだった。
このところヒマで、手元不如意でもあったあたしは、たまたま見つけた山賊のアジトを襲い、ほんのちょっとだけ財宝をいただいた。
それを、心の狭い山賊たちは執念深く追いかけてくる。
どうやらいただいたお宝の中に、なにやら秘密が隠されているらしい。
だが、あんな大事件にまきこまれることになろうとは……。
とんでもねー美少女の呪文が炸裂する痛快ユーモア・ファンタジー。
第一回ファンタジア長編小説大賞準入選受賞作。 ――表紙裏より
日本のライトノベルの方向性を決定付けた作品。あまりに多くに追従された為、今となっては平凡な感も強いが、読み易い文章に分かり易い世界観はライトノベル初心者には良いと思う。
破天荒なキャラクター設定の割にはストーリー自体はオーソドックスで、秘宝を巡る悪の組織との対決、そしてラスボスは魔王である。が、この作品を語る上で特筆すべきは、魔法に関する理論がしっかりと構築されている事だろう。そしてそれがしっかりとストーリーに絡んで来ていて、作者の自己満足に終わっていない。
お約束な展開ながら軽快なテンポで読ませる。
一 やめましょう なりゆきまかせの仕事受け 二 アトラスの 夜にうごめく異形兵 三 結界の 水底深く眠るもの 四 この事件 裏で糸引くひとはだれ? 五 大マジメ! 命運賭けた最終戦 エピローグ
この街で仕事を受けるつもりはなかった――“紫のタリム”と会ったのだって、ちょっとした方便のつもりだったのだ。
だが……。
「この仕事、受けぬが身のためだぞ」
暗夜に響く闇の声。
魔族が出てきて退いたとあっては、天才美少女魔道士たる、このリナ=インバースの名がすたる! とばかりに用心棒をひきうけたはいいけれど――。
アトラスに到着したリナとガウリイがたちまちまきこまれ(?)た大騒動。
権謀うずまく魔道士協会に隠された、おそるべき事実とは?
大好評『スレイヤーズ!』につづく、書き下ろし長編第2作!! ――表紙裏より
ストーリー展開は平凡ながら、非常に読み易い文体には磨きが掛かっている。
しかし物語の一部にはやや水増感が有る。例えばロッドの存在は非常に宙ぶらりんな状態で、サブエピソードだがストーリーに厚みを加えているとは言い難い。恋愛要素も中途半端だ。
ただ、“紫のタリム”の描き方は良かった。このように途中でガラッと印象を(良い方に)変えるキャラが作中に一人でもいると、それだけで好感を持てる。
ストーリーを無駄に肥大化させる事も無く、無難に収束させたのが良い。
一 この顔に ピンと来たなら 切りかかろう 二 サイラーグ 行く野の道は遠けれど…… 三 とび出すな 地道にいこう籠城戦 四 死霊都市 ただ風だけが吹き抜ける…… エピローグ
あたしたちが賞金首のお尋ね者――!?
それを知ったのはリナとガウリイが、初めて訪れた村で、いきなり捕らえられてしまった後だった。
あやうく難をのがれたふたりは、手配をかけた者の名を知り驚愕した。<赤法師>のレゾ――そう、かつて死闘の末に倒したはずの、あのレゾだというのだ!
手違いか? 偽者か? それとも……。
真相を求め、レゾがいるというサイラーグの街をめざすリナとガウリイ。だがふたりは、<正義の勇者>たちの標的となっていた――。
はたして“レゾ”の正体は? その真の狙いは!? かつてない敵が姿を現わす!
絶好調ユーモア・ファンタジー・シリーズ、うなぎのぼりの第3弾!! ――表紙裏より
第2巻は関係無く、第1巻の続編にあたる話。前作で少しだけミステリーチックな要素が入っていたが、それは今作も同様。今回はサスペンス的な物は無いのだが、読者の「どういう事なんだ?」感は強いだろう。
バトルシーンが非常に面白かった。特に決着の付け方は背景設定をフルに使っていて巧い。また前作とは違い、サブエピソードが本編に見事に絡んでおり、ドラマ性を増している。
既に安定した面白さを持っている。
一 いつもこう ふと気がつくと関係者 二 なぜ狙う!? あたしが一体何をした? 三 セイルーン お家騒動まっ盛り! 四 決着は いちおうつけておきましょう
まえの事件で知り合ったシルフィールさんを送って、あたしとガウリイは聖王都と呼ばれる都市、セイルーンへとやってきた。――むろん、あたしとしては、あのお方のいるこの街に、近よりたくはなかったのだが……。
あんのじょう、あたしたちはあっさりあのお方――フィル王子(!)とでくわしてしまった。苦手なんだ、このひと……。
しかし、お家騒動のただなかで困っているフィル王子を見捨ててもおけぬ。あたしたちは王宮にのりこんだ。
次々に襲いくる刺客。闇の中の闘い。
だが、そうもようすがヘンだ。敵の標的はもしかして……あたし!?
人気爆発ユーモア・ファンタジー・シリーズ、問答無用の第4弾!! ――表紙裏より
新章突入といった感じの今作だが、今まで同様のノリで相変わらず楽しめる。
今までは“主人公が本気さえ出せれば楽勝”という敵が多かったが、今作では主人公は敗戦が多い。敵が強力になって来ている訳だが、これからどのように対処していくのかが見物である。
作者のコダワリが随所に見られる。
一 どーしろとゆーのだいきなりこの事態…… 二 人生は 出会いと別れ くりかえし 三 どこ行った!? 混戦続く追跡行 四 白銀の 魔獣ふたたびよみがえる
旅の楽しみのひとつ、盗賊いぢめ☆ その日二組目の野盗たちを気持ちよくしばき倒し、お宝のありかでも聞きだそうとした時……その女魔道士が現われた。
天才美少女魔道士たるこのリナ=インバースにたてつこうとは命知らずな! だが――あたしの魔法は彼女に封じられた。“力を取り戻したかったらマインの村まで来い”そう言い捨てて女魔道氏は去った。
こうなったら、そのマインとかいう村へ向かうしかない。だが、その途中、奇妙な噂を耳にした。マインは赤眼の魔王シャブラニグドゥを崇拝する怪しげな宗教団体の本拠地になっているというのだ。
あたしたちは邪教の村へと急ぐ。そこで待ち受けていたのは、なんと……。
パワー全開ユーモア・ファンタジー・シリーズ、天下無双の第5弾!! ――表紙裏より
新キャラクターのゼロスが良い。この作者は全般的にキャラクター作りが上手いが、ゼロスは特に秀逸。さらに魔法理論も読んでいて面白い。一方でラストバトルはあっさり勝負が決してしまって少々拍子抜けの感がある。
ストーリー自体は長い訳ではないのだが、様々な設定を惜しげもなく出してしまった為に却って窮屈な印象を受けた。
面白さのツボを適度に押さえる事に成功している。
一 こいつらは……いきなし復活するなよな…… 二 ヴェゼンディ 今 戦いの幕が開く 三 決戦の かくごを決めたこの旅路 四 闇蠢き そして死闘の終わる時 エピローグ
“ヴェゼンディに来い。来なければ、誰かが死ぬ……”
いきなしあたしの前に現われ、不気味なことばを残して去っていった男は――暗殺者のズーマ!! かつて、ある事件で依頼を受け、あたしの命をつけ狙った男だ。はっきし言って、いっちゃん復活してほしくない奴が復活してしまったのだ。
しかし、あんなこと言われてほっとくわけにもいかない。ヴェゼンディ・シティへと、あたしたちはおもむいた。
だが、そこで待ちうけていたのは、もうひとつ別口の宿敵……。
こうなったら、まとめてケリをつけるしかない!?
人気絶好調のユーモア・ファンタジー、謎が謎よぶ第6弾! ――表紙裏より
シリーズ全体の輪郭が見えて来て、面白さに拍車が掛かって来た。本筋とは関係無いストーリーな筈だが、読んでいてそういう事を感じさせないのも良い。
今回は少しだけ感動的なシーンも在る。ただそれだけに後味の悪さが残る可能性も有るが。
少し間延びしている。
一 暗雲をはらむディルスの城下町 二 伝説を もとめて向かう 竜の峰 三 たゆたいし 金色なりし 闇の王…… 四 そして今 姿を見せる魔竜王
獣王に仕える魔族――獣神官ゼロスに導かれ、あたしたち一行がやって来たのは、ディルス王国首都ガイリア・シティ。この国には、いまだ数多くの伝説が眠っている。そのひとつが異界黙示録の存在。
どうやらゼロスの使命は、このあたしリナ=インバースを、異界黙示録のもとへと連れてゆくことらしい。その真の目的はよく分からないのだが……
まあ、わけも分からず相手の手の内で踊らされる、というのはあまり面白くないが、あたしも異界黙示録にはちょっとばかり用がある。
とりあえずは、踊らされてあげようじゃないのっ!
全力疾走ユーモア・ファンタジー・シリーズ、天下分け目の第7弾! ――表紙裏より
巻数を重ねる毎に強力化する敵に対してとうとう主人公パーティーが対抗出来なくなってしまった。今回は殆ど雑魚を倒すだけである。
一方で物語自体はいよいよ核心に迫って来ただけに興味深い処なのだが、事実上の前後編にしてしまった為か、近作は間延びした印象を受ける。
長かった助走の上のジャンプは見事に着地した。
一 時来たり 動きはじめる冥王 二 わが行く手塞ぐ竜将軍ラーシャート 三 過ぎし日の 幻住まう サイラーグ 四 闇よりも 夜よりもなお深きもの
魔竜王ガーヴにより、絶体絶命のピンチにあったあたしたちの前に、ヤツが現われた。冥王フィブリゾ――あたしのまわりで起こっている一連の事件は、こいつが仕組んだことだ。
「彼を連れて先に行ってるよ。
――僕の街、サイラーグへ」
冥王は消え去った。ガウリイ、そして光の剣とともに……。
サイラーグ――かつて、魔獣の復活により壊滅した街である。いまでは、荒野に神聖樹が立っているだけのはずなのだが……。考えていてもしかたがない。あたしには選択の余地はないのだ。
あたしはサイラーグへと向かった――冥王と決着をつけるために……。
空前絶後のユーモア・ファンタジー・シリーズ、急転直下の第8弾! ――表紙裏より
4巻以降の話を全て綺麗に纏めたのは素晴らしい。一つとして無駄なエピソードが無かった。
また強大なラストボスの倒し方も面白かった。偶然的な勝ち方だが、ある程度の説得力が在る。
シリアスな場面もそこそこ描けているが、全体を通した軽さを払拭するのは至難の業か。
第2部の幕開け。しかし何も変わってはいない。
一 魔力剣 お前は一体どこにある? 二 ベゼルドに デーモンたちの影見えて…… 三 ほれ急げ 早い者勝ち魔力剣 四 そして今 眠れる剣が 目を覚ます―― エピローグ
戦士にして天才魔道士たる可憐な乙女、このあたし、リナ=インバースと、その相棒――脳みそスライムにして元“光の剣”の持ち主、剣士ガウリイは、新たな“伝説の剣”を求めて旅を続けていた。
そう、魔族たちとのごたごた、ガウリイは“光の剣”を失ってしまったのだ。
――赤竜の剣に餓骨杖、ブラスト・ソードにエルメキア・ブレード、えとせとらえとせとら……。いわゆる“伝説の剣”とゆーやつは、世の中にけっこうあるもんである。とはいえ、そんなもんがそこいらに落っこってるワケがない。噂を頼りにあちこちに行ってはみるのだが、たいていスカなんだな、これが……。
ぶっちぎりのユーモア・ファンタジー・シリーズ、充電完了で第二部突入! ――表紙裏より
相変わらずテンポの良い文章で、面白さもまずまず。第2部では明確な旅の目的が在る所が前作までとの違いだが、読んでいる上では大した相違ではない。新たなキャラクターも何人か登場しているが、それまでの世界観に沿っており違和感は皆無。
問題はマンネリに陥っている感が在る事か。これからの展開次第で評価は大きく変わる気がする。
外伝シリーズと初めて連動。
一 魔力剣 探して今日も西東 二 こそこそとするのは好みじゃないけれど…… 三 ソラリアの夜に戦いの華が咲く 四 亡国の 野望今こそついえ去る
いやー、意外と見つからないもんだわ、そこそこ使える魔力剣て。
なんの因果か、魔族だの魔王だのを相手にしなきゃなんないことが多いこのあたし、美少女天才魔道士リナ=インバース。相棒のガウリイにもちゃんとした魔力剣を持っててもらわないと、やつらとまともにやりあうのもけっこうしんどい。そんなわけで、魔力剣の噂を追ってあっちこっちを旅しているのだが……。
そんな時、耳に飛び込んできたのは、魔力剣を集めている領主がいるという噂。ダメでもともとと、その領主の治める街へとやってきたあたしたち。
だが、どうも街の空気がピリピリしてる。なにやら、またも事件の予感――
独走人気の書き下ろしユーモア・ファンタジー! ――表紙裏より
記念すべき本編10冊目。9巻が出てから6ヶ月で出しているのは最短記録なようだ。この作者は他のシリーズも色々と書いているから気付かなかったが、随分ゆっくりとした進みである。
さて、今作は前作の部分的な続編に当たる。そしてさらに『スレイヤーズすぺしゃる』シリーズと連動しているという、この作者にしては珍しい構成となっている。今までこの手法を使わなかったのは、本編だけしか読まない読者へのフォローか。『すぺしゃる』を読んでいなくても辛うじて許せるレベルを保っている事を考えると、作者は割と義理堅い性格なのかも知れない。
ヴェゼンディを超えてはいない。
一 反乱だ!? 最近世の中物騒で…… 二 ほれ進め! 目ざすは魔道士協会だ! 三 紅の 水都に死闘くりひろげ 四 クリムゾン 傀儡の宴終わるとき
――旅行中の魔道士様各位 急用なき方は、至急、最寄の魔道士協会まで顔を出されたし――
戦士にして天才美少女魔道士たるこのあたしリナ=インバースが、その貼り紙を目にしたのは、旅の途中で立ち寄ったとある町だった。
どうにもキナ臭い雰囲気を感じながらひとまず向かった魔道士協会。そこで、あたしとガウリイはクリムゾン・タウンの魔道士協会評議長が領主を抹殺し、町を武力で支配したという話を聞かされたのだった。
むう。やっぱし悪い予感は的中したか。しかも協会じきじきの話とあっちゃあ、反乱の鎮圧にむかうしかないか……。
最強無比のユーモア・ファンタジー・シリーズ、待ってましたの最新刊登場! ――表紙裏より
物語としては第6巻「ヴェゼンディの闇」に近いか。ただそれと比べると今作は作りにやや難が在る。強いて言えば無駄が多い。ディラールの存在は必要なかったのでは? 後味を悪くしているし。
ただ、第2部の方が全体としての流れはしっかりと出来ている気がする。ちゃんと一定の面白さが在る事は言うまでもない。
ようやく佳境に突入か?
一 行きずりの 魔王の因縁 背負い込み 二 ガイリアに 蠢く影のほの見えて 三 戦いの 炎上がりて夜の城 四 覇王軍 たくらみ知るは古き竜
戦士にして美少女天才魔道士たる、あたしリナ=インバースは、魔道士協会からの依頼で、デーモン大量発生事件の調査に向かっていた。もちろんあたしの自称保護者であるガウリイも一緒である。
にしても、特にこれといった手がかりもないまま引き受けるハメになった、この仕事。はっきしいって、全然乗り気じゃないんだけど、そこはそれ、やむにやまれぬ「しがらみ」ってヤツ。
まったく、こんなシケた依頼料じゃ盗賊いぢめでもしなけりゃ、路銀のたしにもなりゃしない。とかボヤいていた、あたしの前に、またもや見え隠れするは、覇王将軍シェーラの影!!
をいをい、なんかもー、いきなりやっかいごとに巻き込まれてる気がするぞ!? ――表紙裏より
意図的なのか偶然なのか分からないが、前作と同じく家族ネタを元にしたストーリー。こちらの方が完成度は高い。
第9作「ベゼルドの妖剣」から続いた一つの大きな流れが終わり、ようやく次巻から本編に入るようだ。その前段階としては、有終の美を飾った作品と言えるかも知れない。
未だ終わりは見えず。
一 動けども 目的見えぬ魔族たち 二 帰り来た街は魔族の影見えて 三 王宮に潜む魔族の群れ集い 四 玉座にて 佇むものの影昏く
激闘の末に覇王将軍シェーラを倒したあたし、戦士にして天才美少女魔道士たるリナ=インバースと、その一行。
でも、いまいちスッキリしないのは、滅びる際にシェーラが残した笑みの謎。そーいえば、デーモン大量発生事件も未解決だしなー……。
そんなあたしたちの前に現れた、竜族の長老ミルガズィアさんは、不吉なことを口走る。すなわち「降魔戦争の再現」こそが魔族の真の目的らしい、と。
そして、その調査に協力して欲しい、とも(報酬アリ)。
あ゛ぁぁぁぁ、なんかまた、やっかいなことに……。と、苦悩する間もなく、魔族の刺客が、あたしたちに忍び寄る!! ――表紙裏より
「最終巻へ向けてラストスパートか?」と思わせる展開だったが、終わってみればあまり進展が無かったような気も。それにしても最近は『すぺしゃる』と微妙に絡めたネタが多い。まぁ許容範囲だから構わないが。
前作で久し振りに後味の良い展開だったのに、今作は前作の後味の良さを全て覆してしまうのは如何なものかと思うが、全体としてはまずまず。戦闘があっさりとしている気もしたが仕方のない所か?
珍しくシリアス路線だが、それまでのイメージは崩していない。
一 人の世に 権力争い 種尽きず 二 セレンティア 憎悪の炎 灯るとき 三 宵闇に 神官たちの血ぞ流れ…… 四 ひとびとの 心にひそむ 闇の色
覇王もへち倒したし、ガウリイの新しい剣も見つかったし、今度の街では仕事しないでゆっくりしよう!
そんなあたし、リナ=インバースと相棒のガウリイは、赤の竜神スィーフィード信仰の盛んな寺院都市、セレンティア・シティをおとずれていた。
でもこの街、寺院の大神官たちが暗殺者まで雇って神官長の座を争ってたり、その大神官の用心棒に、ルークとミリーナが雇われていたりで、なんだかめちゃくちゃキナ臭いぞ!?
あたしたちに襲いかかってきた暗殺者たちも、どっかで前に戦ったことがあるよーな気がするし……。
かつてソラリアで狂った野望を抱き、そしてその野望とともに滅んでいった男の記憶が胸をよぎる。
ちょっとまて、まさかヤツらは――!! ――表紙裏より
シリーズ中で最もシリアスな展開を見せる今作は中々の力作になっている。今までも登場キャラクターの死で物語を盛り上げる事をしていたが、主要人物が死ぬのは初めて。しかしそれを非常に上手く使った演出をしている。
次作が『スレイヤーズ』シリーズ最終巻となるそうだ。かなり色々な謎が残っていると思うのだが、全ての伏線を回収できるのかが注目。
悪くは無いが、不満点も多い。
一 また出たか!? 竜とエルフの呆けコンビっ! 二 ゆく旅路 半ばに出会う 顔と顔 三 彼の地にて 異空の果てに出会うもの 四 魔を滅せし者達
今回のあたし、リナ=インバースはいつものよーに盗賊いぢめに精を出している――その時、世界が震えた――。
そこはデーモンたちに蹂躙され、凍りついた町。転がる死体にしんしんと雪が降り積もる、まさに死したる町。
この異常気象、そしてデーモンたちの大量発生とくれば……以前の事件を思い出すわね。そう、あの時は覇王グラウシェラーの暗躍――。
降魔戦争の再来?
力ある意志があたしを誘う。
いいわよ! 行ってやろうじゃない、サイラーグへ――!!
その先にあるのは破滅か、明日への扉か――。リナ&ガウリイの名コンビ、これで見納め?
超大人気シリーズ、第二部完結!!
そして、彼女たちは、伝説になる。 ――表紙裏より
10年以上掛かった『スレイヤーズ』シリーズも、これで完結。読み終わってみると感慨深いものがある。
内容的には前作「セレンティアの憎悪」のシリアス路線は再び影を潜め、いつも通りのノリでストーリーが進んでいく。ラスボスの正体はビックリだが、これならば彼らが中心の外伝が1本くらい有っても良かった。その方がより強い感情移入が出来ただろう。
これまでの伏線は取り合えず全て回収していたが、幾つか期待ハズレな印象。第一部の時は全てが綺麗に解決されていたのを考えると残念。
ただただ軽いノリで気楽に読ませる。
白魔術都市の王子 りべんじゃあ。 ロバーズ・キラー ナーガの挑戦 エルシアの城 スレイヤーズえくせれんと 悪役ファイト!
“悪人に人権はなぁぁぁいっ!”
ドラゴンもビビって道を譲るという、天才美少女魔道士リナ=インバースの旅は今日も続く――。
天下無敵の平和主義者、幼児より弱い女戦士、リナの宿命のライバルを自称する女魔道士……。リナが出会う人物は、いずれも、類は友を呼ぶ個性派ぞろい。リナの日常に<平穏無事>という言葉はない!
そして今日もまた、新たな事件、新たな出会いが……。
月刊ドラゴンマガジン誌上で快進撃を続ける連作短編に書き下ろし中編『スレイヤーズえくせれんと』を加え、満を持して送る、正調ユーモア・ファンタジー。
君のハートに竜破斬! ――表紙裏より
「スレイヤーズ」シリーズの外伝シリーズ第1弾。
本編の前半で使われる軽いノリを流用し、そのまま終わらせる形式。中身は無いと考えて良いが、やはり気楽に読めるのは素晴らしい。『白魔術都市の王子』は本編第4作『聖王都動乱』とリンクしている。無くても構わないが有っても良い、といった所か。『悪役ファイト!』は、この作者としては初めての3人称形式。1度目に読んだ時は物凄く違和感が有った。やはり1人称の方が書き慣れているようだ。
新しい方向性を模索しているような作品。
白竜の山 リトル・プリンセス らびりんす リナ抹殺指令 ザ・チャイルド スレイヤーズEX. リトル・プリンセス2
“世の中、言いきったもんが勝ちっ!!”
天才魔道士にして美少女戦士たる、われらが<ドラまた>リナ=インバースは今日も行く。いつのまにやら金魚のフンの、自称“リナ最強・最後のライバル”白蛇のナーガをひきつれて。
極寒の雪山に白竜を追い、早春の街道に危難の公女を助ける。だが、人よ、問うなかれ、その結末を――。リナ=インバースに慙愧の二文字はないのだ!
絶好調のユーモア・ファンタジー・シリーズ第2弾。
キミの瞳を影縛り! ――表紙裏より
相変わらず気楽さがウリだが、「白竜の山」がかなり面白かった。
また、「スレイヤーズEX. リトル・プリンセス2」はスレイヤーズとしては新機軸な短編で、これを元に長編も書けそうな内容。“軽さだけのシリーズ”というレッテルを貼られるのを避けようとしているのかも知れない。
第1巻に逆戻り。
ヒドラ注意報 銀のたてごと キメラの恐怖 ふくしぅの刃 ただいま見習い中 スレイヤーズえくせれんと ナーガの冒険
“自覚はすれども反省はせずっ!!”
われらがヒロイン、リナ=インバースの旅は続く。
悪党、怪物、魔族に妖魔、殴り、蹴倒し、なぎ倒し、快進撃は果てしなく――。
だが、天才魔道士なるがゆえの苦労も多い。ある時は合成獣の材料にされかけ、またある時は命を狙われ……。
そんなリナのかたわらに、時にはその行く手に、すっくと立つ人影こそ――悪の魔道士ルックに身をかため、長い黒髪ふぁさっと掻きあげ、辺りかまわぬ高笑い――そう、天下無敵のくされ縁、白蛇のナーガそのひとであった!!
人気絶頂ユーモア・ファンタジー・シリーズ第三弾!
暴爆呪は天使のいざない! ――表紙裏より
前作『リトル・プリンセス』で多少はシリアス路線も追求していくのかと思われたが、今回は完全にコメディ路線に逆戻り。まぁ悪くはないが、バラエティに富んでいるとは言い難くなった。
今回の書き下ろしは『白魔術都市の王子』のように3人称だが、前回のようには巧い作りではない気もする。
マンネリでも面白さは健在。
べぢたぶる攻防戦 魔道士協会の陰謀 獣使いのゆううつ 財宝奪回大作戦 お子様クエスト スレイヤーズえくせれんと 動乱のあとに
“悪人に借りた金は返さなくていい”
てな、法律があるかどうかは知らねども、天下無敵の美少女魔道士リナ=インバースの快進撃は続きます。
魔竜退治に身辺警護、反乱だって鎮めます。しかし、あとに残るは『竜が踏んでも壊れない』『大魔王の食べ残し』など、ありがたくない汚名のみ。
味方につけば心細いが、敵にまわせば面白い“金魚のうんち”こと白蛇のナーガとのコンビにも、ますます磨きがかかります。その破壊力は天井知らず。
ひとは言う。“長生きしたけりゃ、あの二人には関わるな”
話題騒然ユーモア・ファンタジー・シリーズ第四弾!
今宵、あなたと爆煙舞! ――表紙裏より
完全にコメディ路線を定着させた感が有る。
マンネリと言えばマンネリなのだが、しかし作者の軽快な文章で読ませる。しかしやはり1冊に1話くらいは“異色作”を読みたい。
完全にマンネリ化はしたが……。
インバース教育委員会 れすきう作戦 戦え! ぼくらの大神官 ないしょの作戦 だんぢょん探訪記 スレイヤーズえくせれんと それぞれの騎士道
“転んでも タダで起きたら貧乏人”
ウデは一流、魔道は超級、ムネがないのがタマにキズ。タダでは起きない天才魔道士リナ=インバースと、実力はあれど節操なし、タダでは転ばない白蛇のナーガの旅はまだまだ続く。
かけあい漫才、どつきあい、あとは野となれ山となれ。ふたりの噂を知ってか知らずか、過保護のオバサン、金持ちジーさん、得体の知れない聖職者などがしごとの依頼にやって来る。「知恵と勇気」で解決できればおなぐさみ。しょせん最後は力押し。二次災害には我関せずと、夢は荒れ野を駆け巡る……。
痛快無比のユーモア・ファンタジーシリーズ第5弾。ファイト一発、爆裂陣! ――表紙裏より
一作30ページ程度でちゃんと起承転結を付けているのは凄い。
内容は完全にマンネリ化してきたが、相変わらず一定のレベルは保っているように感じる。
マンネリではないのか?
激闘! 料理人 失われた書物 ああ友情の攻城戦 打倒! 勇者様 愛しの根性なし スレイヤーズえくせれんと 根性なき戦い
“正義とは暴走するものである!!”
かくなる至言をのたまうは、いわずとしれたナーガさま。傍若無人の高笑い、夜のしじまにひびかせて、常に正義は我にあり! あくなき暴走くり返し、世に混沌を撒き散らす。
この危険物を引き連れて、あてなき旅を続けるは天才魔道士リナ=インバース。天下無敵のヒロインも、いまや気分は猛獣使い。オイシイおしごとばかりじゃないが、天下国家の一大事から、小さな恋の悩みまで、あの手この手で解決します。
いざ往かん、お笑いの荒野へと!
完全無欠のユーモア・ファンタジーシリーズ第六弾!
さあ、月に向かって魔竜吠! ――表紙裏より
この『スレイヤーズすぺしゃる』シリーズは“マンネリ”と評して来たが、実はそうでもないもかも知れない。全体を見ると確かにマンネリな筈なのだが、とにかく作品を読んでいる間は飽きる事が無い。文章が軽快なのが大きいが、割と内容も計算し尽くしているのかも知れない。
「愛しの根性なし」と「根性なき戦い」は、かなり面白かった。“えくせれんと”の選び方と使い方に巧さを感じる。
マンネリではなく安定。
影なる脅威 インバース恋愛教室 絶海の死闘 秋の味覚の争奪戦 がんばれ死霊術士 スレイヤーズえくせれんと ガッツだ(もと)死霊術士
“乙女のあこがれ、礼金の二重取り!”
天才魔道士リナ=インバース、大きな憧れ胸に秘め、あてなき旅を続けます。
夏は海へ秋には山へ、行楽気分で行ってはみても、やっぱり起こるひと騒動。
「あたしが悪いワケじゃない!」
涙の抗議もむなしく空に、とけて流れて消えていく。類は友呼ぶ仲間呼ぶ。来なくていいのに来てしまう。やって来るのはご存じの「高笑いする騒動製造機」こと白蛇のナーガ。今日は味方か明日は敵か。どちらに転ぼうがコケようが、ハタ迷惑にかわりなし。はてさて、今回は誰が生贄になることやら……。
品質保証のユーモア・ファンタジーシリーズ第7弾!
すさんだハートに浄化結界! ――表紙裏より
「絶海の死闘」が何となく新鮮味が有る他は、全くいつも通り。既にマンネリではなく安定の域で、安心して楽しめる。
「秋の味覚の争奪戦」は珍しく主人公が得をして終わるが、こういう結末ならアリな訳か。
あとがきには誰もが驚くだろう。
ざ・がーどまん 吸血の町 薬草の丘の攻防戦 恐るべき未来 最強への道 超巨大あとがき スレイヤーズうら話
“メシのおごりを断る奴は人間失格!”
お茶目でキュートな天才魔道士リナ=インバースと、無邪気でほがらかな女魔道士白蛇のナーガの楽しい旅は続きます(おおむね嘘は言ってないと思う、たぶん……)。
派手な呪文も大好きだけど、倉庫の警備や吸血鬼退治、旅ゆくひとの護衛など、地道なしごともこなします。セコイしごとや面倒ごとは、なるべくならばしたくはないが、なぜかしらねどいつものように、やっかいごとがやってくる――。
でぇい、こうなったらヤケで竜破斬の二、三発もブチかましちゃる!
先手必勝のユーモア・ファンタジーシリーズ第八弾!
脳ミソ直撃、烈閃槍! ――表紙裏より
何と言っても驚きなのが「超巨大あとがき」の存在。60頁近い長さのあとがきというのは前代未聞ではないか。これまでの『スレイヤーズ』シリーズを読んでいると思わず「そうだったのか」と唸ってしまう事実が次々と明らかにされる。作者が文章のノリとは裏腹に、綿密なストーリー設定を行っていたのがよく分かる。
一方、通常の短編はイマイチ感が強い。しかし次巻からは一話完結ではなくなるそうなので、どう変わって行くかが楽しみではある。
形式は変われど内容は変わらず。
イリーズの旅路[前編] イリーズの旅路[後編] 闇の住まう村[前編] 闇の住まう村[後編] 理由なき冤罪[前編] 理由なき冤罪[後編] スレイヤーズすぺりおぉる 暗殺者たちの夜
人のめー枠省みず、きょうもあしたもあさっても、ふたつの心がひとつになって、早食い競争いつもの日課。見ていて、姉さん。リナ、まけない!
――って言ったかどーかは知らないがお馴染みリナとナーガの珍道中は、いよいよもって絶好調!!
おはなしの方も、この巻から待ってましたの前後編。母の教えをかたくなに守り続ける少女に「村おこし」広報課長の暗殺者。さらには『ご近所の奥様方に大評判の切れ者捜査官』まで登場して、充実のボリューム感でお贈りしちゃう。くくぅ、お買い得だねお客さん!
ともあれ、究極美少女魔道士リナ=インバースと、お供のナーガが巻き起こす爆裂スチャラカ・ファンタジー、てんやわんやの第九集。
あなたにそっと、破弾撃! ――表紙裏より
今までとテイストは変わらないが、一つのエピソードが長くなった分、起承転結を付け易くなった印象。だからと言って中身が濃くなった訳ではないが、このシリーズに内容を求めてはいけない。
久し振りに本編『ソラリアの謀略』とのリンクが有るが、こちらの方が発刊が遅かったのは残念。
キャラの使い回しをしないのは立派。
歌姫の伝説[前編] 歌姫の伝説[後編] 白い暗殺者[前編] 白い暗殺者[後編] 破壊神はつらいよ[前編] 破壊神はつらいよ[後編] スレイヤーズすぺりおぉる 歌姫の出発
リナ=インバースがいるかぎり、この世に悪は栄えない! その上ナーガもいた日にゃあ、ついでに正義も栄えない!? 「ぢごくの使い」「あくまの申し子」などなどの、らぶりいな二つ名でおなじみのリナ=インバースも、とうとう“破壊神”と呼ばれる日がやってきた!? くくぅっ、あんたもエラくなったもんだねぇ……ってオイ。
それだけだったらまだいーが、おとめちっくなリビングメイルには熱い胸の想いをうちあけられるわ、正義を名乗る暗殺者に、ワケもわからず命をねらわれるわ……。ふぅ、青春っていったい……?
素朴な疑問を抱きつつ、今日もつづくよスチャラカ道中。
ときめきハートに蓮獄火炎陣! ――表紙裏より
二話完結方式になって2巻目。前作は一話完結方式との違いが明瞭ではなかったが、今作では割と前後編を巧く使っていると感じた。
以前から“マンネリ”と言っているが、書き下ろし以外でキャラクターの使い回しをしていないのは立派と言える。ただ、ここまで続いたシリーズなので、そろそろ旧いキャラクターを再登場させたストーリーが有っても良い気がする。
キャラクターはネタ切れか。
すべては真実のために[前編] すべては真実のために[後編] 脱出! 十把一絡げ[前編] 脱出! 十把一絡げ[後編] 激走! 乗合馬車![前編] 激走! 乗合馬車![後編] スレイヤーズすぺりおぉる 牛乳哀歌
うなる爆音、あらヤだ怖い。覇権をあらそう乗合馬車の、組合同士の騒動に、いつものよーに巻き込まれるのはリナ=インバースと白蛇のナーガ。
組合同士のあらそいが、いつのまにやら血で血を洗う個人的なたたかいに。よせばいーのに、このふたりに運命ゆだねちゃった不幸な乗合馬車業界の、明日はどっちだ!?
さらには乗合馬車だけならまだしも、環境と報道、魔道と物理学、そして乙女心と牛乳の関係という、世の中に氾濫するすべての二律背反(!?)にリナが一石を投じちゃう。
――問題は、その一石で事態が解決するかどーかだが。
疑惑の心に眠りの呪文! ――表紙裏より
癖の有るキャラクターは流石にネタ切れなのか、特殊なシチュエーションで勝負する話が増えて来たようだ。ナーガの登場頻度が上がっているのは、ゲストキャラに変化が小さい為だろう。
マンネリはマンネリでも、今作のスタイルの方が良いかも知れない。相変わらず「それなりに楽しめる」レベルを維持している。
そろそろ新機軸を見せて欲しい。
家政婦は見たかもしんない[前編] 家政婦は見たかもしんない[後編] 見果てぬ野望のそのために[前編] 見果てぬ野望のそのために[後編] 宝珠を我が手に[前編] 宝珠を我が手に[後編] スレイヤーズすぺりおぉる 自由をその手に
リナは来ました、今日も来た。潜入捜査を依頼され、家政婦として名家でバイト。今だみせるぞ家事の技。郷里じこみの凄腕メイドと、感嘆されるリナの前、立ちはだかるは……。やっぱしいつもの金魚のうんち、白蛇のナーガの高笑い。
あぁ涙。結局いつものどつき合い?
と、悲しむいとまもあらばこそ。名家の一人娘の、性別問わない「らぶらぶアタック」が襲いかかる。いろんな意味で、リナちゃんぴーんち!!
さらには、師匠誘拐事件やら、宝珠争奪合戦やら、しちめんどーくさい事件がにぎやかしくも待ちうける!?
心の癒しに夢幻覚☆ ――表紙裏より
今まで「マンネリだが面白い」と書いて来たが、流石にそろそろ新たな展開を見せて欲しくなって来た。二話完結方式になってからまだ4冊目だが、内容が変化していないだけにリニューアル度が低かった。
『すぺしゃる』シリーズ初期に在った、僅かにシリアスさが残る短編はもう書かないのだろうか。
久し振りの異色作。
仰げば鬱陶し[前編] 仰げば鬱陶し[後編] PB攻防戦[前編] PB攻防戦[後編] もったりとしてコクがなく スレイヤーズ外伝 アメリア・地方漫遊記 スレイヤーズすぺりおぉる きみのゆく道は……
ウワサの彼女は激しいねぇ。こづかいかせぎに盗賊いじめ。たまには呪文でもブッ放そうか。
――悪逆非道な魔道士が、傍若無人をくりかえし、しまいにゃ魔道士全体の風評をおとしめる。
そんな危機感にかられた魔道士協会がリナ=インバースの前に送り込んできたのは、教育係の青春先生ゴラス。
「はっはっは! リナくん、フォークの持ち方がなってないぞ」
思わず“ぷちっ”とキレるリナ。意にも介さぬゴラス。このズ太さならリナの再教育も夢じゃない!?
教育界に一石を投じる前後編。食を極める短編に、正義の王女の外伝も収録。
夏だ、浜辺だ、水母召☆ ――表紙裏より
通常よりも前後編の物語を1本減らし、代わりに短編を2本追加されている。分量的にはいつもと同じだ。
「アメリア・地方漫遊記」は主人公を変更しただけでなく、旧作のゲストキャラを登場させるという趣向。しかしアメリアはリナと似た性格の為に新鮮味が薄かった。どうせならゼルガディス辺りが軸になる話を読みたかったのが正直な所だ。
キャラクターが平凡に見えてしまう。
忍び寄る闇[前編] 忍び寄る闇[後編] 遠き日の決着[前編] 遠き日の決着[後編] ホーンテッド・ナイト?[前編] ホーンテッド・ナイト?[後編] ビースト・ストライク
降り続く雨の中、道に迷ったリナが立ち寄った一軒のお屋敷。――予想通りってゆーか、現れたのは妖気をただよわせた黒髪美人さん。
「……公開しませんね……」って言ったって、どうしようも――「のぎぇぇぇぇええぇぇぇぇッ!?」
嵐の夜の洋館に、リナの絶叫がこだまして……。異様な雰囲気に不気味なメイド(怪談おたくだし)、この屋敷にはぜったい何かあるっ――。
ナーガは雷の直撃を受けたままどうなったか知んないけど……。
激コワ(?)ホラーの表題作をはじめ、『忍び寄る闇』、『遠き日の決着』に書き下ろし『ビースト・ストライク』を加え、今回もリナが闘い、ナーガは高笑う!
ごぶさたのSP.第14弾登場。 ――表紙裏より
キャラクターの平凡化は否めないと思う。これは慣れてしまったのが大きいだろう。
となると、このシリーズは楽しむべき所が極端に減る。「ビースト・ストライク」は途中まで面白い展開だと思ったが、結末が拍子抜け。この長さでは仕方ないのか。
書き下ろしに“スレイヤーズすぺりおぉる”と付かなくなったのは何故だろう? 久し振りの発刊だったから、単に忘れただけかな。
久し振りの良作。
エイプリルの事件簿[前編] エイプリルの事件簿[後編] プライド・オブ・ダークネス[前編] プライド・オブ・ダークネス[後編] リナちゃん! おしゃれ大作戦 スレイヤーズすぺりおぉる エイプリルの事件簿2
セルリアン・シティ魔道士協会のフラマルド評議長の所有する称号の服が何者かの手によって盗まれた!?
ハリキッテ登場するのは協会随一の名探偵を自称する、「紫色の脳細胞」ことエイプリル=ランドマーク!!。
……いや、べつにいいですけど……紫色ってひょっとして、「脳ミソ腐ってる」って意味じゃあ……。
しかも勝手にリナを助手に任命……。
名探偵エイプリルの推理が冴える!! (といいなあ……)
表題作のほか『プライド・オブ・ダークネス』、ミニ文庫からは『リナちゃん! おしゃれ大作戦』を収録。
書き下ろし「すぺりおぉる」は『エイプリルの事件簿2(タイトル以下略)』)。『すぺしゃる』は、まだまだ続くよ、どこまでも!! ――表紙裏より
今回は全体的に面白かった。最近の『すぺしゃる』としては抜群の出来。
「エイプリルの事件簿」が特に良い。エイプリルは今作だけの登場では勿体無いなぁ。
遂に本編より長い外伝になってしまった。
眠る宝は誰がために[前編] 眠る宝は誰がために[後編] スクランブル・グリル[前編] スクランブル・グリル[後編] 呪術士の森 スレイヤーズすぺりおぉる ヒゲ、ふたたび
焼っけたかな♪ 焼っけたかな♪
お昼ごはん――至福のときをぶち壊す爆音あたりに響かせて、現れいでるは魔道士姿のおっちゃんと黒装束の暗殺者! 今や遅し。満ちる殺気と辺りに漂う緊張感に背を向けて、お魚さんが焼き上がるのを待つリナ=インバースを巻き込み、生殺与奪の陰謀劇は始まった!?
世界を制するといわれる『煙の出ない魚焼き網』を狙い、暗殺者が、バカ笑い女がリナと魔道士のおっちゃんを襲う! 果たして、この魔法の道具をリナは守ることができるのかっ? ってゆーか、ホントに『魚焼き網』で世界がこの手にっ?
いろんな意味で謎まみれな表題作『スクランブル・グリル』に『呪術士の森』書き下ろし新作『ヒゲ、ふたたび』他を収録した新作短編集!! ――表紙裏より
表題作の「スクランブル・グリル」がなかなか面白い。魚焼き網を巡る争奪戦とは。ただ、それを明かすのは、もう少し後ででも良かったのではないだろうか。
その他の作は、まぁいつも通りか。それにしても外伝シリーズなのに本編よりも長くなってしまったんだなぁ……。
前代未聞の長期連載シリーズだが……。
小さな濃いメロディ[前編] 小さな濃いメロディ[後編] 仁義なき場所取り[前編] 仁義なき場所取り[後編] 巨大生物の山 スレイヤーズすぺりおぉる 嵐の前に
あらまあ、ビックリ、リナ=インバースに男の影が!?
吟遊詩人ユジーンに魅入られたリナを、なぜか次々と不幸が襲う! 魔道士協会からの依頼は失敗、あげくの果てには無実の罪まできせられて……。
ゴツい体に、フカい顔、あぶらぎっしゅな生命力。竪琴片手に奏でるは、クソやかましくもリナに捧げるテーマ曲――。
うーみゅ。やはり、災いの原因は、吟遊おやぢの濃いの呪いか?
リナとユジーンのユカイな活躍を描いた表題作『小さな濃いメロディ』、血で血を洗う花見場所取り合戦『仁義なき場所取り』、謎の実験生物を追う問題作『巨大生物の山』に、書き下ろし『嵐の前に』を収録の短編集。絶好調! SP.最新刊。 ――表紙裏より
以前と比べて詰まらなくなった、という事は決してない。しかし流石に飽きている人は多いだろう。それもその筈。既に17冊目だ。本編と合わせれば32冊目。ここまで長く続いた小説シリーズは他に有るだろうか?
そんなに刊行ペースが速い訳でもないので、惰性で読んでいるのが正直な所。たまに「おお!」と思う時が有るのが救いだが。
異色作が全体に好感を与えている。
跡継騒動 森林レンジャー[前編] 跡継騒動 森林レンジャー[後編] 送り狼たちの午後[前編] 送り狼たちの午後[後編] スレイヤーズ外伝 ゼルガディス朧月草紙 スレイヤーズすぺりおぉる 山林の覇者たち
森林レンジャー。それは密猟者と戦う危険な仕事! 森林レンジャー。それは領地を守る正義の仕事!
身体の弱い弟に代わって、家業の森林レンジャーを継ごうとする姉カミーラの依頼を受けたリナ。一見、心温まる師弟愛に思えたその依頼には、カミーラの恐るべき陰謀が潜んでいた。家業をめぐる師弟の葛藤の果てに、リナも驚愕の真実が待っていた!
果たして家業はいったい誰が継ぐのか? そもそも、森林レンジャーって世襲制だったのか?
謎が謎呼ぶ表題作と、ファン待望のゼル外伝「ゼルガディス朧月草紙」、カミーラたちとのその後を描く書き下ろし短編など4作収録の短編集第18弾! ――表紙裏より
まずは『すぺしゃる』シリーズとしては異例とも言えるシリアスな表紙に驚き。しかも何やら見覚えの有るキャラが描かれている……と思ったら、ゼルガディスに関する外伝が収録されていた。
やはり外伝はアメリアのようなリナに近いキャラよりも、たまには硬派なキャラクターを主役にした方が良い。これで他のマンネリ化した短編も新鮮に読める事になった。
『すぺしゃる』シリーズに欠けていたモノが判明した貴重な巻。
魔王降臨[前編] 魔王降臨[後編] 愛は強し[前編] 愛は強し[後編] るなてく・へすてばる スレイヤーズすぺりおぉる うちのジョン知りませんか?
森の木陰でどんどこどん。
山あいの小さな村を訪れたリナ。真白いドレスに身を包み、あんヤダ、今日のあたしってば乙女ちっく!なムードでのぞむ村祭り。広場をにぎわす村人の手には円月刀、三角ずきん――。コレって、確か、豊作祭り?
どっからどーみてもアヤしげな祭りを目の当たりにしたリナは、このイベントの黒幕をぶちのめすべく立ち上がった。のどかな山に、攻撃呪文のこだまが響く!!
表題作『るなてく・へすてばる』他、3作を収録した短編集。書き下ろし『うちのジョン知りませんか?』は魔族と人間の種族の違いを越え、力をあわせて“ジョン”を救う感動作……かも? ――表紙裏より
表題作「るなてく・へすてばる」に純魔族が出て来るが、『すぺしゃる』シリーズで物足りなかった部分は、これだったのかも知れない。
考えてみると主人公のリナは勿論、相方のナーガも実力が有るという設定なのだから、本編シリーズのような激闘が描かれてもおかしくはない訳だ。今回はやはりコメディ路線に走ってしまったが、そこからの脱却を図る為にも、今作のような存在は重要である気がする。
『すぺしゃる』シリーズでは稀に見る程の粒揃い。
ランナウェイ・ガール[前編] ランナウェイ・ガール[後編] ミッション・ポシブル[前編] ミッション・ポシブル[後編] セーブ・ザ・ブックス[前編] セーブ・ザ・ブックス[後編] スレイヤーズすぺりおぉる 戦慄! 雨の人情宿場
見つめあうだけで、体がすくむ。
触れあった瞬間、心が凍る。
あぁ。遺伝子が叫んでる。
「ダメだ勝てねぇキケンだ逃げろ」。
とある町。ごくフツーのおばちゃん・カーシャさんの簡単な依頼を引き受けたリナ。だが、まさかそれが命にかかわる危険を招くことになろうとは!?
温厚そうなカーシャさんの素顔が明かされ、ドラまたと畏れられたリナ=インバースの心を恐怖が駆け抜ける! そのときリナは、死を覚悟した――!?
人間の生存本能に警鐘を鳴らす、衝撃の短編『ランナウェイ・ガール』ほか、3作を収録。書き下ろしは、とある宿場で次々と起こる怪事件に、リナが巻き込まれていく『戦慄! 雨の人情宿場』。
おっとビックリの短編集代20弾!! ――表紙裏より
記念すべき20冊目の短編集。よく書いたもんだ、と感心するばかりである。
それで力が入った訳でもないだろうが、今作は非常に面白い作品が多い。全てが適度にシリアスな場面を含み、起伏に富んだストーリーなのである。
その原因の一つとして、今作では珍しく準レギュラーのナーガが全く出ていない事が挙げられると思う。あのキャラクターが出て来ると、どうしてもギャグ路線一辺倒になってしまいがちなのだ。
出来れば僕としては、この路線のままで行って欲しい所なのだが……無理だろうなぁ。
路線変更でマンネリ感に歯止めが掛かった。
カーズ・ブリンガー[前編] カーズ・ブリンガー[後編] 汝その名はスイートポテト[前編] 汝その名はスイートポテト[後編] スレイヤーズ外伝 刃の先に見えるもの スレイヤーズすぺりおぉる スイートポテトU
あまくてほっこり、優しい口溶け。いちど食せば芯まで骨ぬき。そんなあなたはスイートポテト。やめはしないわ、たとえ肥えても。忘れられないスイートポテト……。
究極のスイーツを求めて、キュリアン・タウンを訪れたリナ=インバース。ところが、噂のお店はケーキの原材料を盗まれ開店できない!? 幻のスイートポテトを食べるために、犯人を待ち伏せるリナ。だがしかし、そんな彼女につきつけられたのは、心のキズになりそうな驚愕の真実だった!?
表題作ほか3作の短編を収録。書き下ろし新作は「スイートポテトU」とまさにイモづくし。読めばイモが怖くなる!? あまくてコワい(?)短編集! ――表紙裏より
相変わらずのコメディ路線だが、最近は奇抜なキャラクターだけで勝負するのを止めた傾向が有り、マンネリ感は薄くなった。その所為か、ストーリーにボリュームを感じるようになり、これは好感が持てる。
ただ「刃の先に見えるもの」だけは、様々な点で中途半端な感じがしないでもない。どうせなら長編で書いてもらいたかった、というのが本音だ。
マンネリ時代に逆戻りしてしまったのか。
フォスーデ繁盛記[前編] フォスーデ繁盛記[後編] Gハンター・フォルクス[前編] Gハンター・フォルクス[後編] カインドネスの末裔[前編] カインドネスの末裔[後編] スレイヤーズすぺりおぉる ケモノミミよさらば
「轟けっ! 幻惑互舞輪撃っ!」
「ゆけっ! 無双悟武臨衝っっ!」
剣と剣とがうなりを上げて、Gハンターたちの明日を分かつ! 命を賭して競い合うは、小枝も切り裂くなまくら剣!?
ハッキリいって、高枝切り○サミより役にたたないこの剣をめぐり、壮絶かもしれない戦いのゴングが鳴る。
「報酬安すぎるわぁっ!」
漢たちを見守るリナの叫びは、果たして彼らに届くのか? どーでもいいけど、GハンターのGってなんだ!? 表題作『Gハンター・フォルクス』ほか、3作を収録の短編集。
犬が大好きネコミミ女につづき、ウサミミ、フェレミミ、ぞくぞく登場の書きおろしは……萌え……デスカ? ――表紙裏より
ここ最近はコメディとシリアスのバランスが取れていて、軽いながらも面白く読めていたのだが、今作は以前のマンネリ路線に戻ってしまった気がする。
中には一話完結で書けるのではないかというモノも有る。それならばギャグ路線一辺倒でも許せるのだが……。
以前の作風に逆戻りで退屈。
オールディズ・プライド[前編] オールディズ・プライド[後編] ブレイク・オブ・ディスティニー[前編] ブレイク・オブ・ディスティニー[後編] 開戦前夜[前編] 開戦前夜[後編] スレイヤーズすぺりおぉる リターン・オブ・ジジイ
天呼ぶ、地呼ぶ、孫が呼ぶ! じーちゃん恋しとワシを呼ぶ!!
孫愛に目がくらんだじーちゃ……もとい、モンテール・シティ魔道士協会の評議長からリナがもちかけられた相談とは、
「その……この年寄りに、攻撃魔法を教えてはくれんかのう」
というものだった。
歩けばよぽよぽ。
座ってがくがく。
正直言って、存在そのものがあぶなっかしいじーちゃんが、いったいどうして攻撃魔法を!? 不審に思うリナにじーちゃんが打ち明けたのは、深い愛と暗い復讐の物語だった!? じじい愛の賛歌「オールディズ・プライド」他、3作の短編を収録! 人類みな兄弟、じーちゃんを大切にしよう!! ――表紙裏より
キャラクターインパクト重視の、昔の『すぺしゃる』シリーズに戻ったような感じ。前作も似たような感じだったので、ちょっと飽き気味。
またストーリー重視で作ってくれないだろうか。少しだけ『スレイヤーズ』本編とリンクしているのは嬉しかったが。
やや巻き返したか……?
魔の海のほとりにて[前編] 魔の海のほとりにて[後編] ゴースト・ライフ[前編] ゴースト・ライフ[後編] 地底王国の脅威[前編] 地底王国の脅威[後編] スレイヤーズすぺりおぉる 今そこにいる女房
「いらっしゃいませ〜!」
背筋も凍るサワヤカさで、リナを出迎えたのは……歩く超常現象、白蛇のナーガ!!
しかもなにやらメイドコスぅ!?
ここは人里離れた森の中。人の気配もしないこんなところに、なぜかポツンと現れたのは、場違いなまでにギャルギャルしい一軒の店だった。思わず足を踏み入れたリナに、店でアルバイト中のナーガが微笑む!
「ほーっほっほっほっほ。見たからには逃がさないわよリナ=インバース……」
かくして。またまた不吉にトラぶりそーな予感でいっぱい! 表題作「地底王国の脅威」、「魔の海のほとりにて」など4編の短編を収録。
たとえ地の底、水の底。リナ=インバースのゆくところ、死してシカバネ拾う者なし! ――表紙裏より
普段と少し異なる路線の作品が多かったように感じる。文字通りリナが悪役となった「ゴースト・ライフ」や、真犯人の真相で予想の斜め上を行く「今そこにいる女房」など、おや!?と思う物が多い。
それにしても本編シリーズの登場人物の外伝が読みたいなぁ。
記念すべき巻数だったが……。
白い夜の獣[前編] 白い夜の獣[後編] 病院奇憚[前編] 病院奇憚[後編] 騎士道のススメ[前編] 騎士道のススメ[後編] スレイヤーズすぺりおぉる 異形の棲まう村
ナマコにゅるにゅる、モズクぬる。
海辺の城下町ベロゥル・シティで、海産物を頭から堪能したリナ。パスタ屋さんで可憐に大食いチャレンジ中の美少女を、店ごとナマコで埋め尽くすとは不届きセンバン。しかも、「真なる騎士団」を名乗る犯人グループは、こんな騒ぎをあっちこっちで起こしているのだとか。
かくして。復讐――じゃなくて治安維持のため、リナは立ち上がる。攻撃魔法できっちり教育、二度と社会復帰なんかできないように。だが、手がかりを探すリナの前に、意外な人物が立ちはだかった!?
表題作「騎士道のススメ」他を収録の短編集。なんとキリよく25巻! お客さん、縁起もんだよ買ってってー。 ――表紙裏より
「病院奇憚」が地味ながら、それなりに説得力の有る展開を見せ、好印象。ただ、それ以外はあまりインパクトの強い作品は無かった。
記念すべき25巻目だったので、読者サービス的な話(本編シリーズのレギュラー陣の物語)を入れて欲しかったのが正直な所。
――
もう一つの『スレイヤーズ』となるのか?
プロローグ 火星 ミレニアム ゼナン ガルヴェイラ エピローグ
「……今回のしごと、依頼料ないんだ」
キャナルはジト目でケインを睨んだ。
「……し、しかたねーじゃないか……」
“やっかいごと下請け人”ケインが押しつけられた金にならないしごと、それは単純な家出人探し、のはずだったのだが……。
虚空にひろがる星々の片隅で、邪悪なるモノの胎動が始まっていた――
黒いマントをひるがえし、サイ・ブレードで悪を断つ! 颯爽登場、“下請け人”ケイン・ブルーリバーの活躍を描く、ファンタスティック・スペース・アドベンチャー。
絶好調、神坂一が放つ書き下ろし新シリーズ第一弾! ――表紙裏より
『スレイヤーズ』シリーズのパラレルワールドとも言える世界を舞台にした新シリーズ。魔法が無く舞台を宇宙にしているが、雰囲気は『スレイヤーズ』そのものである。ここからどうやって差別化を図って行くかが最大のポイントだろう。
相変わらず読み易い文章で、それなりに次巻以降への伏線らしきモノも張ってあり、悪くは無い。
何故か第1巻と似ているように感じられる。
プロローグ 惑星レグン 宇宙海賊 メリーナ ネザート
「なんかお勧めのしごと、ないか?」
「そうですねー、これなんてどうです?」
キャナルが示したのは、ウィナラーン星系最大の企業、ラグルド社の貨物船の護衛という仕事であった。
依頼料は安いが、必要経費はすべて向こう持ち。そのうえ、保険や保障もちゃんとしている。ジミな仕事ではあるが、条件は悪くない。
“やっかいごと下請け人”ケインは、軽い気持ちでこの仕事を選んだ。
宇宙海賊がらみなのは覚悟の上。だが、どうやらそれだけではない、アヤシゲな雰囲気も漂ってきて……
大好評コミカル・スペース・アドベンチャー、期待の第二弾! ――表紙裏より
相変わらず読み易い文章と軽快なストーリーで気持ち良く読ませてくれる。抜群の安定感だ。
一方で前巻と同じような展開をするのには違和感を覚えた。あまりにも似過ぎてはいないか?
とは言え、全5巻のボリュームになるのは間違い無いようなので、このような事態は残り1冊続くかどうか、というくらいだろう。
やっと出て来た伏線もイマイチ効果が上がらず。
プロローグ 侵入 ケルビム ファントム・フリート ゴルンノヴァ エピローグ
「受けちゃったわけ!? そんな死ぬほど怪しいしごとを!?」
ミリィの叫びが、『ソードブレイカー』のコックピットに響きわたる。
“やっかいごと下請け人”ケインが請け負ったのは、ある企業への潜入捜査。そこで武器の密告・販売が行われている、という証拠を探りだすことだ。しかも、この会社は『ウィスプ』という犯罪組織と深く関わっているらしい。やっかいなことになるのは、やる前から見えている。
「……実は……もう、前金が振り込まれちまってるんだな……」
「………………」
ジト目で睨むミリィの視線が、ケインに突き刺さった……
ますますヒートアップ! コミカル・スペース・アドベンチャー第三弾! ――表紙裏より
ようやく全5巻予定であるこのシリーズに、伏線のようなものが張られ始めた。第4巻で謎が深まり、第5巻で全て解決、という流れだろうか?
ただ、その伏線があまり効果的になっていない。何となく、そんなに真相を知りたいと思わせてくれないのである。これが痛い。
また、所謂ボス戦が宇宙船同士の戦いのなので、逆に小説上では盛り上がりに欠ける、という欠点も有る。この辺りを克服できるかどうかが、シリーズの鍵になるような気がする。
久し振りの新刊は、しかし雰囲気は変わらず。
プロローグ 悪夢 ラグド・メゼギス ジェンノー リッチィ 再戦 エピローグ
宇宙軍艦隊十数隻の奇妙な壊滅事件が発生した。事件発生時、艦隊は「輝く光の魔方陣」に遭遇。船体には外傷もなく乗組員のみは全員死亡していた――。
ケインがこの事件の情報をミリィから聞いたのは“やっかいごと下請け人”向けの、仕事斡旋情報の山と格闘していた時だった。
ただの冗談記事ならいざ知らず、情報発信者の名前が「ナイトメア」となると話は違ってくる。
ナイトメア――かつてキャナルと敵対関係にあった遺失宇宙船を擁し、銀河系最大規模を誇る裏の組織。
「もしその話が本当なら……あいつが……復活した、ということです。再び……銀河に闇と悪夢を撒くために……」
緊迫のスペース・アドベンチャー第四弾、颯爽と登場! ――表紙裏より
約4年振りの『ロスト・ユニバース』最新刊。この作者としては異例の遅さである。
当初から全5巻だと公言していた辺りから、最後までのプロットが完全に出来上がっているのだとばかり思っていたのだが、そうでもないらしい。若しくは途中で路線変更でもしたのだろうか?
肝心のストーリーだが、これまでと大差無いものの、多少サスペンス風味を加えた事で物語が締まった。これでこそ最終巻への興味が引かれる、というものだ。
それなりにソツ無くまとめたシリーズ最終巻。
プロローグ 恐怖 ヘカトンケイル ロスト・ユニバース ヴォルフィード 悪夢の終焉
――五つの光と恐怖がお前を殺す――。
蒼く透けるような空に生み出された、逆五紡星。それはたて続けに六つの惑星を滅ぼしていた。
人々に蔓延する恐怖。その恐怖を糧に『闇』はふるえる。歓喜の声で。
犯罪組織の枠を越え、ついに暴走し大量殺戮を開始した「ナイトメア」総帥、アルバート=ヴァン=スターゲイザー。
闇に魅入られた者、そして光と化してその闇を封じんとするもの。
生体殲滅艦「デュグラディグドゥ」と、戦闘封印艦「ヴォルフィード」は永劫の時を越えて、ここに対峙する。
ケイン、ミリィ、そしてキャナル。おのおのが背負った運命との決着をつけるための戦いは開始された!
シリーズ完結編! ――表紙裏より
最終巻という事だが、主人公以外にページを割いて、脇役にも見せ場を作ろうという意識が感じられたのが良かった。それでいながら主人公サイドの物語が気迫だったかというと、そんな事も無く、流石という感じだ。
ただレイルには、もう一活躍して貰いたかった。準レギュラー的なキャラだっただけに、最終決戦にも絡んで来て欲しかった気がする。この辺りは『スレイヤーズ』シリーズ第1部最終巻に於ける、シルフィールのような意味である。
ヒロインのミリィに関する伏線は陳腐で残念だったが、それ以外はまぁまぁ満足できる終わり方だったと思う。壮絶な状況で終了した筈だが、やたらとハッピーエンドな雰囲気は「これで良いのか?」とも感じたが。
流石に読むのが遅過ぎた。
プロローグ 一 観光気分のコンタクト 二 シリアス空気のウォーフェアー エピローグ
元気だけがとりえの女子高生・エリ。彼女がある朝目覚めると――そこはいきなり「異世界」だった!?
エリは観光気分で大はしゃぎ。エリをこの世界に呼び出した魔道士レックスを脅迫して、毎週日曜午前10時にこっちの世界に呼ぶようムリヤリ約束させた。とんでもないヤツを召喚してしまったらしいと気が付いたレックスだけど、もう後の祭り――さあ、これからどうなる!? 待望の新シリーズ登場!! ――裏表紙より
初版が1993年。僕がこの作品を読んだのが2005年。この12年の差は大きかったと言える。
神坂一の勢い全開という感じなのだが、既に60冊以上の神坂作品を読んだ後では、流石に平凡さは拭い切れない。
ただ後世の作品に与えた影響を感じ取る事が出来たりするので、その辺りにニヤリと出来るならば決して損ではない作品である。
古臭さが無くなり、爽快感が残った。
プロローグ 一 つかまり激安オークション 二 がんばれみんなでエスケープ エピローグ
待ちに待った夏休み。この長い休暇を異世界で過ごそうと計画したエリ。しぶるレックスを説き伏せて、大きな荷物と手土産をしょって、観光旅行にやってきた。
ところが異世界に着くやいなや、エリとクルーガーが竜人にさらわれてしまった!
囚われの身となってもいまいち緊張感に欠ける、のーてんきなエリ。王子の身分でありながら奴隷としてこき使われるクルーガー。そして2人を助けるために竜人の街に潜入したレックス。3人はエリの夏休みが終わる前に脱出できるのか!?
大人気シリーズ、お待たせの第2弾!! ――表紙裏より
前作では古臭さを感じてしまったものの、今作ではそれが少し和らいだ。内容的にも安定感の有るドタバタ劇が演じられており、そして少しだけ現代社会批判的でもあるが、それを説教っぽく感じさせないのは流石。
思ったよりも広大な世界観を設定しているようなので、今後はそれが活きてくるような展開を希望したい。
人間らしい竜人の演出が良い。
プロローグ 一 問答無用のジェノサイド 二 窮鼠猫かむアタッカー エピローグ
夏休みのほとんどを異世界で過ごしてしまったエリは、休み明けの抜き打ちテストの結果に大ショック! いくら苦手の物理とはいえ、この点数ではひどすぎる。ちょっとだけ心を入れかえて、ガラにもなく参考書と首っ引きの毎日。
そんなある日、異世界の通りを歩いていたエリは、からまれている女性を助けた。ため息が出るほど綺麗なその人の正体は……なんとあの竜人ラーディーだった! どうしてラーディーが人間の街にいるのか、どうして人間の姿をしているのか。――これはもう勉強なんかしてる場合じゃない!
絶好調シリーズ、急展開の第3弾!! ――表紙裏より
敵である竜人の内部抗争の描き方が見事である。心理展開も工夫が凝らされていて、なかなか面白い。
次巻で最後という事だが、恐らくラーディーには、もう一つくらい大きな裏設定が有るのではないか、という気がする。このまま終わらせるには惜しい役回りだ。
ただラストでエリが助かるシーンは、流石に都合が良過ぎる感も有る。まぁこれも実は伏線、という可能性も無くは無いので、それに期待しよう。
主人公不在同然の最終巻。
プロローグ 一 銀の翼のピースメイカー 二 白い翼のマーダラー エピローグ
秋。一歩一歩「受験生」になる日が近づいてくる、高校二年の秋。学校でも家でも周りはすでに受験一色、それでもエリは日曜日ごとの異世界旅行を欠かさない。
うんざりするような毎日の中でエリがぼんやり思うのは、異世界への「移住」。一方、冬を間近にひかえた異世界では、竜人との戦いに大きな転機が訪れようとしていた……。
エリの選択は、そして戦いの結末は?
イベント満載、大人気シリーズ完結編! ――裏表紙より
シリーズ最終巻だが、話の展開が最も読め易かった巻でもあった。主人公エリが巻を重ねる毎に活躍しなくなったように感じたが、今回は特に顕著で、最後の会談では何かしらのアクションを起こして欲しかった。
『日帰りクエスト』全体としては、まずまず楽しめたシリーズと言って良いが、あまりにも敵役のベヅァーに拘り過ぎた気がする。そこが惜しかった。
ただの凡作シリーズなのか?
闇の運命を背負う者 闇の運命を背負う者・異聞 闇の使命の名のもとに
フツー?の高校生活を送る仁は毎夜夢に現れる謎の影に「前世の運命を思い出せ」と語りかけられ、寝不足気味だった。影は仁を『闇』の転生戦士と呼び、仲間として共に『光』の勢力と戦うために覚醒せよと語る。
――やかましぃわぁぁぁぁっ! そんなめんどくせーことにつきあってられるかっ――
あくまで自らの運命を拒み続ける仁だったがそこに突然『光』の刺客が現れ……。
圧倒的人気の神坂ワールド新シリーズ開始! ――裏表紙より
設定は非常に平凡。ストーリー展開も悪くはないが、読者の意表を突く程でもない。それを独自のテンポの良さでカバーしている感じ。
ここからどれだけ面白さが引き出せるのか、次巻以降に期待したい。
新鮮なストーリー展開に驚き。
闇の運命を背負う者 エピソード2
『闇』の転生戦士としての運命を拒み、ひとりの人間として生きることにした仁。しかし敵対する『光』のリーダー、螺郷の命令による休戦も長くは続かなかった。『光』屈指の実力派、御島が仁、せりあたちを襲う!
「何にせよ運命なんかに従うつもりはねぇ」
頑なな仁に対して『闇』の盟主<マスター>は、桜や了に接触して何かを企んでいた。
運命とは何だ、どうして戦わなければならないんだ! 人気沸騰シリーズ第2弾!! ――裏表紙より
正直言って驚いた。前作は極めて平凡な、良くも悪くも神坂一らしい軽い作品だったのに対し、今作の変わり振りは一体どうした事だろうか?
とにかく終盤での主人公たちの真相へのアプローチの仕方が新鮮である。これだけで前作のイメージを払拭出来るし、そこまでに至る過程も結構面白く出来ていると思う。
同一シリーズでここまでガラッと印象が変わるのは本当に珍しい。
ただの蛇足と見るか、それとも――。
闇の運命を背負う者 エピソード3
『マスター』によって、『闇』としての、偽の記憶と能力を与えられ、同じように生み出された『光』たちと戦いを繰り広げていた仁たちは『マスター』を倒して、戦いは終わったかにみえた。御島は謎の少女・摩耶桂実に襲われ、螺郷は『人形使い』御髪沼検悟の襲撃をうける。そして仁は喧嘩友達・柊真と対峙する。不毛な戦いの決着はいかに。シリーズ、完結!! ――裏表紙より
この巻はストーリー的には蛇足なのかも知れない。前作で最後のボスを倒してしまっているからだ。
しかし登場人物たちは前作まででは何も成長していなかった。通常の作品では終盤を迎えるに連れて徐々に内面的成長も描かれる訳だが、この『闇の運命を背負う者』はその前にボスを倒してしまった。前作はそこが面白い所でもあったのだが、一つの作品としては完結しているとは言い難いのは確かだ。
今作はそういう意味で『闇の運命を背負う者』シリーズを一つの作品足らしめる為の物だったと言う事が出来ると思う。
シチュエーションは異なるが、内容が多彩とは限らない。
夜を渡るもの 風の吹くまま 姿なきもの――ザ・サイレント・シング O・P・ハンター
(夜を渡るもの) 女戦士アイリスは魔道士退治に出かけ……。
(風の吹くまま) オレは突然『光の勇者様』として国王に召還され……。
(姿なきもの) 得体の知れない「何か」に襲われた実果だったが……。
(O・P・ハンター) 宝探し屋シンが探し求める「お宝」はそんなもんかいっ!!
――と、ゆーお話が4つ集まった神坂一、初めての短編集。(お買い得!) ――裏表紙より
様々なシチュエーションに於ける短編ファンタジー小説集。肝心なのはシチュエーション(状況)が多様なのは確かだが、根底には作者である神坂一ワールドがどっしりと腰を据えている、という事である。
そんな中、唯一「姿なきもの――ザ・サイレント・シング」は現実世界を舞台にした物語であるが、これだけは他とは異彩を放っていた。あたかもホラー小説を読んでいるかのようで、「新境地を開拓したか?」と思わせるようなストーリー展開だが、結末にはやや不満が残った。
ちなみに宣伝文句の「神坂一、初めての短編集」というのは正しくないような気がするのだが……。
ダブルキャストで構成されたシリーズの片側。もう片方次第で評価は変わりそう。
一 其は自由の名を冠せし大地 二 其は獣の運命を抱きし者 エピローグ
無限に広がる大宇宙! そして、時まさに夢あふれる宇宙開拓時代っ!! しかぁし光あるところに影あり。法の目の届かぬところにはびこる巨悪が、善良な人々を虐げる。「そんなの、だめだってば」と立ちあがった、その名も事件処理業シェリフスターズ……なぁぁんてね、ちょっと嘘。だけど熱血しています。
てなわけでついに始まる神坂一の新シリーズ。スピード、アクション、お笑いと3拍子揃った充実の内容。お買いになって損はさせません。 ――裏表紙より
出版元は異なるが、『ロスト・ユニバース』シリーズを髣髴とさせる世界設定。宇宙を舞台にした時点で、それは仕方ない事なのかも知れないが。ただ『シェリフスターズ』シリーズは、2つの物語を軸に展開されるダブルキャスト構成らしい。確かに、それを意識した伏線らしきモノが散見される。
物語は正に『ロスト・ユニバース』に少しだけシリアスな要素を加えただけのような印象を受けるが、肝であるダブルキャスト構成がどの程度活かされるのかが重要だと思われる。
もう一つの『シェリフスターズ』シリーズ。
法無き大地に ワーク・オーバータイム
時は宇宙開拓時代。広い宇宙のあちこちで、悪いヤツらがあの手この手、善良な人たちを困らせる。そんな時はコール一発、事件処理業シェリフスター・カンパニーに連絡だっ! とびきり元気でキュートで大胆無敵な美少女チーム、メニィ&レティシアが、今すぐ駆けつけ、ヘルプユー。しかも、今なら無料キャンペーン中! 一度ハマればやめられないスピード&アクション&お笑いがそろったハイパー☆スペースコメディ。1冊どうよ? ――裏表紙より
ダブルキャスト構成のシリーズ第2弾。『MS』シリーズの主人公2人組は『スレイヤーズ』のリナとガウリイを彷彿とさせたが、今作の主人公は割と大人しめ。この作者としては珍しいが、平凡と言えば平凡である。
『MS』シリーズが長編として書かれるのに対し、『SS』シリーズは中編集となるようだ。前作で「『ロスト・ユニバース』シリーズを髣髴とさせる世界設定」と書いたが、『ロスト・ユニバース』シリーズでは設定上の問題で主人公は殆ど孤立状態だった為、今作ではその為に描けなかった仲間達との交流も織り交ぜるようである。
まだ2つのシリーズは交錯しているとまでは言えないが、始まったばかりなのでもう少し期待して待ってみよう。
意外にも策略が巡る展開へ突入するのか?
一 其は鋼の命に侵されし大地 二 其は狂える糸を断ち切りし者
熱血娘サミィと沈着冷静なイーザーのMSコンビが受け取った新たな指令は、惑星メルキアからある人物を脱出させること。しかしそこは銃弾の嵐が吹き荒れる戦場の真っ只中だった。はっきり言って、危険すぎる。民間の事件処理業の仕事じゃないっ!!……と、断れればラクなんだけど。宮仕えはつらいよ。人間兵器サミィとイーザーの果てしなき戦いを描いた神坂一の絶好調ハイパー・メカアクション、今回はSSリームのメニィとレティも登場して、3倍おトク(当社比)な1冊だ。 ――裏表紙より
早速ダブルキャストとしての特性を活かし始めた『MS』シリーズ第2弾。こんなにも直接的に絡めて来るとは予想外だった。
作中で起こる事件そのものは従来の神坂テイストだが、意外にも裏では味方であるハズの脇役達が策謀を巡らせているようだ。これは作者としては割と新しい試みではないか?
物語としても悪くなく、適度に伏線も残しているので、今後に期待出来る。
何となく平凡な感じが拭えない。
ジ・アンノゥン エスコートV・I・P?
宇宙におきるトラブルがあたしたちの仕事! たとえば謎の怪生物、マッドな科学者、困った隣人やギャング団、ストーカーにいぢめっこ――キミの悩みはぜーんぶおまかせっ! 事件処理業シェリフスター・カンパニーの美少女チーム、メニィとレティシアが、速攻駆けつけちゃう。しかも、まだまだ無料キャンペーン中! おトクなだけに「?」な事件もオッケーだしねっ!? 神坂一の絶好調&無敵ハイパー☆スペースコメディ、急速発進っ!! ――裏表紙より
「ジ・アンノゥン」は終わり方が中途半端な感じがするストーリーだった。神坂一としては珍しいと言える。一方で「エスコートV・I・P?」は平凡。悪くは無いが、良くも無い。
つまり全体的に、これといって光る部分が無いような気がするのだ。前作『MS mission02』では何か期待させられるモノが有ったのだが。『スレイヤーズすぺしゃる』シリーズよりも話数は少ないし、ボリュームも多少不満である。
シリーズ作品ながら、独立色の強い良作。
一 其は人に造られし虚空の大地 二 其は己が意味を求めし者達
あたしは戦うために造られた「モノ」。兵器。怪物ですら、あるかもしれない。心はふつうの女の子となにも変わらないのに……。熱血サミィのひそかな悩みが現実となって襲いかかる。任務遂行中のサミィたちの前に非人間的な戦闘能力をもつ異形のものたちが現れたのだ。それは巨大企業エルパによって造られた生体兵器。心を切り裂く痛みをこらえつつヒトに造られた生命同士が、それぞれの存在の意味をかけてぶつかりあう――!! 神坂一のハイパー☆スペース☆アクション絶好調! ――裏表紙より
シリーズとしてではなく、一つの作品として完成度が高いように感じる。勿論既刊を読んでいる事は前提なのだが、今作は神坂一の持味であるコメディ路線がかなり影を潜めているにも関わらず、それでも充分な読み応えの有る一作となっているのだ。
この作者がアンドロイドに於ける自我を、今後どのように描いて行くのかが注目。まぁ期待を外して別な路線に行く事も多いのだが……。取り敢えず、宇宙に出ない方が面白いんじゃないだろうか。
作品の質が安定しないシリーズ。今作の出来は良い。
マイン・ワーク シャドウ・オン・ザ・プラネット
会社のみんな、ごめんなさい。あたしたち今までいっぱい機械ぶっこわしました。宇宙船もぶっつぶしました。だからって次の仕事は「バツとしてお山を掘りなさい」だなんて、ぜんぜん「正義の味方」っぽくないよーっ!?
ツルハシ片手に地下タビはいて、宇宙せましと東西南北上下左右。美少女タッグ、メニィとレティが大活躍っ! トラブル解決の鍵はお山の向こうにあるの…!? 神坂一のハイパー☆スペースコメディ、今回もパワー全開! ――裏表紙より
『SS』シリーズの前作である『SS mission02』よりも、質・量ともに大幅に改善。短編としての良さを充分に出している。
特に「シャドウ・オン・ザ・プラネット」はシリーズを通して重要な位置を占めるエピソードのようだ。コラードという敵役も、意外にも奥が深そうで、なかなか目が離せない展開となって来た。
神坂一の新境地を切り開く事になるのか?
一 其は陽炎に揺らめく大地 二 其は同じ血より生まれし者達
自分たちが生体兵器の実験体として生み出されたのは知っていた。でも相棒イーザーの量産タイプがすでに作られていたなんて……!
次々と明らかになる本社クロフト・カンパニーの暗躍に、衝撃を受けるサミィ。そこに持ち込まれた次なる依頼は、当のクロフト社内の利権争いがらみだった。SSチームとも合流して任務についた2人は、イーザーとまったく同じ顔を持つ「イージス」と激突する!!
神坂一のハイパー☆スペース☆アクション! ――裏表紙より
この『MS』シリーズは長編シリーズな筈だが、今回は『SS』シリーズのように中編2本といった構成。今までのスペースアクションに加え、企業内での権力争いも描けていて、これまでの神坂一とは違った魅力を出している。
伏線も充分張られていて、これをどうやって回収していくかに注目。
『SS』シリーズ最終巻。
プレテンダーズ・フォース
いつも元気でバカぢからなメニィの身体の秘密を知ってしまったレティ。メニィはクロフト社製の生体兵器。能力を100%以上発揮できるように、痛覚を取り去られていたのだ! しかも次の仕事は、よりによってクロフト社社長である父からの依頼。父への憎しみが止まらない…けれどその父を暗殺するためにイージスが放たれたと知っては、ほうっておけない! イージスとSSチームが大激突!? 神坂流スペース☆アクション、剛速球で登場! ――裏表紙より
遂に『MS』シリーズと完全なる表裏一体ストーリーになったと思ったら、『SS』シリーズはこれで終わりらしい。これからは4人の主人公が行動を共にするのだろうか。
意外な人物が表舞台に上がろうとして来る展開には驚いた。思っていたよりも奥が深い物語になりそうである。親子問題・人工生命の自我問題に関しても、どのような決着を見せるのかが注目される。
尻上りに評価を高めたシリーズ最終巻。
一 其は解き放たれるを望みし者達 ニ 其は――
MSチームが失踪した!? 失踪地点に探索にでかけたSSチームは、そこでサミィたちと一緒にいるマッドサイエンティストのコラードと出会う。コラードは彼らに、クロフト社から配結されている薬の製造法を提供しようと言う。それさえあれば彼ら「マリオン」はクロフトから自由になれるが……これは何かの陰謀か、それとも!? 迷いながらも、4人は「真の自由」をもとめて戦いを開始する! ハイパー☆スペース☆アクション堂々の完結! ――裏表紙より
読者にとっても作者にとっても思いがけず最終巻となった今作。今までの要素を充分に吸収し、有終の美を飾ったと言える。
思えばこの『シェリフスターズ』シリーズは、「人工生命体の自我」「父娘の関係」という2つの要素に加え、企業内の勢力争いや科学者特有の倫理観などをゴチャ混ぜにしていて、本来ならば焦点がぼやけたストーリーになってもおかしくなかった。しかし実際の出来は、かなり纏まりが良くなっており、それが素晴らしい。
全9巻は少し長かった気もするが、全体を通じてだらける部分も少なく、非常に好感の持てるシリーズだったと言える。
作者お得意の完全ファンタジーシリーズの幕開け。
月ヲ背ニ魔ノ降リテ 刃ヲ手ニ死ト見エン
「だってほら、あたし、悪人だし」
迷惑娘メイが、思う存分サンドイッチを盗み食ったあげくにのたまった。
ここは五つの月がめぐる世界“クロスカディア”。律崩術と呼ばれる魔法と、科学が不思議に融合した処――。
この地で修練学校に通うシンは、ある日、自称悪人と胸を張るヘンな少女に出会う。“メイ”という名前以外の記憶をキレイさっぱりなくした彼女は、電撃的にシンを部下その二に任命。ちなみにその一は、真っ白な仔猫だった。
「なんで俺が猫以下? いやそれ以前になんで部下っ!?」シンの憤りはサラリと流し、強制的に彼の家に居候を始めるメイ。だが、勝手気ままに楽しい我が家を楽しみ始めた彼女を狙い、不気味な謎の影が襲いかかる!
神坂一の新シリーズ、いよいよ始動開始! 魂がアツくなるファンタジー・アドベンチャー、登場!! ――表紙裏より
久し振りに完全ファンタジーの『スレイヤーズ』的な世界観を持ったシリーズ。ただそれだけに、何処と無く新鮮味が感じられない。
三人称を用いている為に、それなりにドラマチックな展開が出来てはいる。あとは伏線を大量に張っているようなので、それを如何に巧く回収していくのかがポイントだろう。
終盤のバトルシーンの展開は必見。
虚ヲ纏イ影ノ来リテ 震ウ街ニ闇ヲ求メン
「悪人だから、居候してもオッケー!」
修練学校に通うシンのもとに、ただいま、勝手に同居中のメイ。ただし、それはシンにとって、平和な生活との決別を意味していた。
彼女を狙う好戦的な魔妖族の攻撃により、シンの家はあえなく半壊。さらに、経済観念ゼロなメイの襲撃を受け、生活費は崩壊っ!?
そんなシンに、新たな不幸の訪れが! 災いの名はラフラ・リフラ――。敵か? 味方か? そして、謎の獣人少女ラフラの乱入と時おなじくして、彼らを狙う不吉な黒い影もうごめき始めていた!!
神坂一が贈るどきどきの新シリーズ! 笑いと感動の冒険ファンタジー第2弾、早くも登場!! ――表紙裏より
相変わらず軽いノリが多いのだが、それなりに緊迫した場面も多く、見所も満載。物語上で多少の疑問が残る終わり方をしていたが、これは伏線なのか否かが微妙。
今作でラフラ・リフラというキャラクターが仲間になったが、この4人パーティーで旅を進めて行くという形式に落ち着きそうである。『スレイヤーズ』とは違ったパーティー構成なので、その辺りにも注目していきたい。
“旅”の描き方が良かった。
地ヲ駆ケ人ノ野ヲ行キテ 海渡リテ竜ノ大地ヘ
野越え、山越え、線路はつづく。人外魔境のトラブル娘・メイと、一寸先は罠だらけな未来を乗せて。
生まれ育った人間の街を出たシンが向かったのは、留学生レゼルドの故郷・鱗王族の国だった。
戦いに巻き込まれ、住み慣れた我が家は半壊……。メイにダマされ、なぜか故郷を出奔…………。未知の国への好奇心とか冒険心とかはさておいてご機嫌ななめなシンに、さらに不幸が訪れた!
魔妖族――街でからくも撃退したはずのディーヴァたちが、ふたたびその姿を現したのだ! 異郷をめざしひた走る列車を追うように、無気味な影がその上空をゆく!!
シンに明るい明日はあるのかっ!? 笑いと興奮てんこ盛り、トラブル冒険ファンタジー! ――表紙裏より
珍しく“旅”という具体的なテーマ性を持たせた作品。様々な風習や文化の違いの描写はどれもそれになりにスジが通っており、素直に感心できる。これまでの作者の長いファンタジー作家としての経験と財産が、それを可能としたのだろう。
物語としては、いよいよ核心めいた発言が出て来る、という絶妙なタイミングで終わっているが、これが次巻で早々に明かされるかどうかは定かではない。
他の登場人物、特に敵対勢力に於いては一枚岩ではないようだし、その辺りの伏線がどの程度明らかにされるのかも気になる。作者の嗜好を考えると、ラストまで明かされない可能性が高い気がするが。
そろそろ終盤に突入か。
街ヲ後ニ異郷ノ地ヲ駆ケ 月ニ拠リテ獣ノ踊ル
いや〜。世の中、平和がイチバン。魔妖族に棲み処を襲われ、流れ流れて鱗王族の国に身を隠したシンたち。退屈だけど、穏やかな毎日――と、なるはずが、なにやら漂う不穏な空気。
「……監視されている!?」
つのる不安とイライラと。いったいなにが起きているのか。真相を知るために行動を起こしたシンたちに、いきなり律崩術の攻撃が!
自称悪人のおたんこ娘・メイが、どこかで起こしたトラブルか? それとも、まさか魔妖族の追っ手が来たのか!?
敵と味方が入り乱れ、ふたたび始まる死闘の中で、メイが持つ不思議な力の秘密が明らかになろうとしていた!!
好評のトラブル冒険ファンタジー、がんばってま〜す! ――表紙裏より
何やら話のスケールが大きくなってきた第4巻。刊行当初から色々と裏設定が有るように臭わせていて、その殆どは謎のままだったが、今作でようやく一部が明かされ始めた。そろそろストーリーも大詰めか?
代わりに前作のように“旅”を思わせる表現は皆無に近かった。それだけ多くのイベントが有ったという事だが、少し残念。
「両親を助けに行く」という余りに有り触れた目的に対し、その相手は神に等しい存在だという。そのギャップをどのように活かすのかに注目したい。
キャラクターへの気配りが感じられる。
彼方ニ至ル『道』ヲ求メテ 虚空ノ御座ニ神ト出会イテ
『月』へ――。
『神』が住まう地へ――。
メイの記憶を奪い、彼女の両親を封じたという『神々』。彼らに会うために、シンは仲間とともに『月』を目指す。
未来にあるのは、『神』との絶望的に不利な戦い。後ろには、メイを狙う魔妖族。さらに、シンたちが身を寄せた獣人・翠月の民と対立する皓月の氏族もまた、戦列に加わった。
迫り来る追っ手をかわしながら、シンは考える。
「戦いになったとき。俺に、なにができるのか?」
戦力として役に立たない。辛辣な現実を見つめるシンの、本当の戦いがもうすぐ始まろうとしていた!
さらに白熱! 神坂一のトラブル冒険ファンタジー!! ――表紙裏より
月に行く前後を描いた二部構成だが、どちらもリワーダーばかり出て来るので、舞台が大きく変わった感じがしない。
それにしても主人公側4人の活躍を均等になるように描くのは大変そうだが、よくやっていると思う。作品後半では、あまりに劣勢な状況が続くものの、それまでの伏線を良く生かしている。
かなりストーリー展開に制約が出て来てしまって窮屈な感じがしないでもないが、いよいよ大詰めなので、それに期待したい。
あまりにも世界観にそぐわぬ真相――その是非を判断するのは難しい。
神ト魔ト獣ト人ト 神ノ間ニ集イ語ラン
「月」に住まう「神」リュキュートの手を逃れ、メイの母・ルファードリオンの領域へやってきたシンたち。
はやる心を抑え、シンとメイは道をゆく。無限の迷宮を進み、やがて現われた街並み。そこには、ルファードリオンに仕える獣人たち――翠月の戦士たちが領域を守りつづけていた。
「メイの両親を、救う。
できるかどうかはわかんねえ。
けど、やる。やってみる」
目指す地を目前に、運命は大きく揺れ動いた! 律崩術もなく、武器もなく。ただ闘志だけを胸に、最後の戦いへとシンは向かう。勇気って、本当の強さってなんなのだろう? 感動の完結編! ――表紙裏より
『クロスカディア』シリーズも最終巻。代表作『スレイヤーズ』シリーズに最も近い形態を採ったシリーズだったが、終わり方は最近の『シェリフスターズ』などに近い。それ故のアンバランスさが今作では一気に噴出してしまった。ただ、これが一概に悪いかというと、それは微妙な問題だ。このアンバランスさこそが、作者の意図だったのかも知れないし。
ここに来てラシール・フラクタルなどの味の有るサブキャラを登場させ、しかもそれなりに印象に残る描き方をしたのは見事。恐らく人気が出るキャラクターだと思われるだけに、たった1巻だけの登場は勿体無い気がする。過去の話を外伝として書いてくれないかな、と思う。
これで主要なシリーズは『スレイヤーズすぺしゃる』以外は全て終了した事になる。神坂一は似たような路線を保ちつつも、シリーズ毎に何かしらの傾向を変えようという意図を感じて良いが、次作以降はどういう攻め方をしてくるのか注目したい。