ミステリーとしては平凡。
R.P.G.
ネット上の擬似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。合同捜査の過程で、「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか? 呪縛なのか? 舞台劇のように、時代と空間を限定した長編現代ミステリー。宮部みゆきが初めて挑んだ文庫書き下ろし。 ――裏表紙より
「地の文に嘘が有る」という事で話題になったが、これは全く問題の無いレベル。ミステリーとしての観点から、余りにも平凡過ぎる事の方が余程重大である。
一方でこの作品を新たな家族ドラマとして読むと、違った見え方をしてくる。現実のインターネットは作中とは違った成長を遂げたように思えるが、一つの思考実験としてのネット間人間関係論と考えれば気にならないだろう。
ただ、登場人物である“お父さん”が何を考え行動していたのかが、もっとハッキリと描かれて欲しかった。