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成田良悟

HOBBY MAIN

タイトル 出版社 初版日 勝手な採点 通販
バッカーノ! The Rolling Bootlegs 電撃文庫 2003年02月25日 ★★★★ 購入
バッカーノ! 1931 鈍行編 The Grand Punk Railroad 2003年08月25日 ★★★★★ 購入
バッカーノ! 1931 特急編 The Grand Punk Railroad 2003年09月25日 購入
バッカーノ! 1932 Drug & The Dominos 2003年10月25日 ★★★★ 購入
バッカーノ! 1933 <上> THE SLASH 〜クモリノチアメ〜 2004年09月25日 ★★★★ 購入
バッカーノ! 1933 <下> THE SLASH 〜チノアメハ、ハレ〜 2004年11月25日 購入
バッカーノ! 2001 The Children Of Bottle 2004年02月25日 ★★★☆ 購入
バウワウ! Two Dog Night 2003年12月25日 ★★★★☆ 購入
Mew Mew! Crazy Cat's Night 2004年07月25日 ★★★☆ 購入
がるぐる!<上> Dancing Beast Night 2005年12月25日   購入
がるぐる!<下> Dancing Beast Night 2006年05月25日  
デュラララ!! 2004年04月25日 ★★★★ 購入
デュラララ!!×2 2005年03月25日 ★★★★ 購入
デュラララ!!×3      
ヴぁんぷ! 2004年05月25日 ★★★★ 購入
ヴぁんぷ!U 2005年06月25日 ★★★★ 購入
ヴぁんぷ!V 2005年08月25日 購入
ヴぁんぷ!W      
世界の中心、針山さん 2005年10月25日 ★★★ 購入

バッカーノ! The Rolling Bootlegs

一言

正に“螺旋階段”の如く周り続けるストーリー。プロットの大勝利だが、犠牲にした物も大きい。

目次

エピローグ…1
プロローグ
1日目
2日目
エピローグ…2

梗概

禁酒法時代、ニューヨーク。
裏組織“カモッラ”は重要な儀式を数日後に控えていた。
泥棒カップルはグランド・セントラル・ステーションに着いたばかりだった。
マフィアの三兄弟はちょっとした問題を抱えていた。
チンピラの少年は思い通りにならない現実にムカついていた。
職務に忠実な警部補はそんな彼らを疎ましく思っていた。
そして、錬金術師の野望は200年を経て、未だついえる事はなかった。
彼らはまだ、互いに関わりの無い者同士であった。
このマンハッタンに“不死の酒”が蘇るまでは――。
   ――表紙裏より

感想

まずはこんなストーリーを練り上げた作者に拍手をしたい。よくもまぁここまで複雑な人間関係に特化した話を考え付いたものだ。
主要な登場人物だけで大体10組15人くらいいて、彼らは殆どが互いに何の面識も無い面々である。が、そこからあの手この手で登場人物たちを出会わせていく。しかも幾つかのグループが同じ場所に居合わせて一気に出会うのではなく、律儀に2組ずつ接触させていくのだ。そして少しずつ少しずつ、関係が出来上がっていく。
この物語は作者が作中でも語っている事だが“螺旋階段”の構造を持っている。主人公を特定させず、様々な場所・様々な人物関係を描く事で円構造を為し、そして登場人物たちが一回りした所で少し擦れ違いをさせる。円を描いて戻ってきた時に少しずれている。だから螺旋なのだ。
そしてこの螺旋は永遠には続かない。階段には終わりがある。この物語は登場人物達全員が階段を昇り切った時――すなわち、一つの場所に集まった時、遂に崩壊が始まるのだ。それまでに少しずつ高く積み上げてきたトランプのピラミッドを思い切り崩してしまう快感。この作品を読んで味わえるのは、それだ。
しかし不満も無い訳ではない。特に人物像は一人当たりのページ数が少ない為に圧倒的に不足している。さらにウリの人物関係も、複雑な様相を出したい為か無駄に繋げてしまっている部分が在ると思う。マフィアが主舞台に(しかも複数が)立っている割には組織同士の対立等も全く描かれなかったのは残念だ。
人物背景が希薄な代わりに性格付けは慎重を期したようだ。序盤では好きになれなそうなキャラクターもいたが、最後まで読むと印象を変えてくる。つまり読後感が良いのだ。考えてみれば、この話では死人が殆ど出ない。それがまた良い。


バッカーノ! 1931 The Grand Punk Railroad

一言

「やられた!」としか言いようのない展開の巧さには脱帽。

目次

エピローグT
プロローグT 仮装強盗
プロローグU 不良
プロローグV テロリスト集団
プロローグW 殺人狂
プロローグX 乗車前
鈍行編 ≪泣かない男≫
ターミナル
ターミナル 後日談
プロローグY 錬金術師
プロローグZ 作業着の女
プロローグ[ 線路の影をなぞる者
特急編 ≪死なない男≫
エピローグU

梗概

第9回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞の成田良悟が、前作を上回るスケールとトリッキーな構成で贈る受賞後第1作。
舞台は1931年アメリカ。大陸横断特急「フライング・プッシーフット」。
“不良集団”は貨物室のお宝をちょいと戴くため、列車に乗り込んだ。
“革命テロリスト軍団”は偉大なる指導者を奪還するため、列車に乗り込んだ。
“ギャング”は鉄道会社を脅して金をせしめるため、列車に乗り込んだ。
“泥棒カップル”は一年ぶりにNYの友人と会うため、列車に乗り込んだ。
出発の興奮に酔う彼らはまだ知らない。これから始まるクレイジーな夜を――。
   ――鈍行編表紙裏より

第9回電撃ゲーム小説大賞で<金賞>を受賞した成田良悟の受賞後第1作『バッカーノ! 1931 鈍行編』と同時間軸、別視点で語られる「特急編」。
少年はNYの友達と会うため、列車に乗り込んだ。
作業着の女はNYの雇い主と会うため、列車に乗り込んだ。
車掌は――仕事なので列車に乗り込んだ。
あの事件さえ起こらなければ、彼らは何事もなく目的地に着く筈だった。
だが怪物は目覚めてしまった――その名は“線路の影をなぞる者”。
   ――特急編表紙裏より

感想

物語を様々な視点から描いているのは前作と同様だが、今回は一つの事件に的を絞っているのが特徴。描き方自体は上遠野浩平のデビュー作『ブギーポップは笑わない』にかなり近い。
圧巻なのはこれだけ多くの登場人物(20人程いる)を絡めに絡めた後、最後には極めて綺麗な解決を与えている事だ。「読者の想像に任せる」といったような逃げが一つもなく、それでいて説得力の有る結末をそれぞれのキャラクターに与えている。
作中に仕掛けられた叙述トリックも秀逸だ。現実的には有り得ない“化け物”の存在の描き方はあまりにも素晴らしい。『バッカーノ!』という作品だからこそ書ける手法をきちんと使っている。また、読者に対してだけの叙述トリックも存在し、『鈍行編』の終盤を読み終わる時には呆気に取られる事は間違い無いだろう。
問題は文章自体が荒い事と、合計100ページ以上にも及ぶプロローグの存在か。物語を盛り上げる為に必要不可欠なのは確かなのだが、読んでいる最中は情景描写の分かり難さが少し気になる。(特に前半部)


バッカーノ! 1932 Drug & The Dominos

一言

文章が読み易くなった代わりに独特の崩壊感は小さい。

目次

前奏曲
プロローグ
購入
使用
倒壊
エピローグ
後奏曲

梗概

第9回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞の「バッカーノ!」シリーズ第3弾。
錬金術師ベグは自らが作り出した麻薬が人間を最高の世界に導くと信じていた。
麻薬中毒者ロイは薬漬けの生活から抜け出そうと葛藤していた。
ルノラータファミリーの幹部グスターヴォは失敗続きのビジネスに苛立っていた。
ガンドールファミリーの幹部ラックはこれから激化するであろう抗争の予感を抱いていた。
少女イヴは無き者にされた兄の仇を討つ決意を胸に秘めていた。
それぞれの生き様が交錯する時、運命はドミノ倒しの様に連鎖し、そして――。
   ――表紙裏より

感想

3ヶ月連続刊行の最終巻。これまた力作だ。トリッキーな構成は相変わらずで、前作までは気になっていた文章の荒さも殆ど気にならなくなった。登場人物数は多いもののレギュラー陣が増えて来たので、頭の中が混乱する事はないだろう。さらに今作ではユーモアもばっちり。今までもニヤリとする場面はあったが、声を上げて笑えるようなユーモアが有るのは彼の作品では初めてだ。
明らかに作者の技量が上がっている。でも評価が上がっていないのには2つの理由がある。
1つ目は物語の構造である。1作目は螺旋構造、2作目は並列別視点をテーマに掲げており、それが非常に綺麗に機能していた。そして今作のテーマはドミノ構造――ループだったのであるが、これがあまり綺麗なループを描いていない。どうもドミノ構造を無理矢理作った感が強いのだ。
2つ目はラストに向けての崩壊感が小さい事である。この作者は少しずつ少しずつ物語を重ねて行って、それを最後に崩すような爽快感がウリで、それが有るからこそ前半の長い導入部も読んでいられる。逆に言えば終盤が面白い事が絶対条件となっていなければならないのだが、今作は前2作と比べてそれがやや弱い。


バッカーノ! 1933 THE SLASH

一言

幾らなんでも要素を詰め込み過ぎ。

目次

プロローグ 8年前 兄
8年前 弟
8年前 一人っ娘
第零章 ドラム缶
第一章 花とドミノ
第二章 槍とナイフと日本刀
接続章 雨と手紙と鋏と愛と
接続章 書類と情報、嵐とテロリスト
第三章 凶器の狂気は驚喜する
第四章 赤目と赤毛
最終章
エピローグ
余章、あるいは次なる序章1 永遠の生者
余章、あるいは次なる序章2 金の亡者

梗概

鋏使いのチックは無邪気に人を斬る。見えない“絆”がどれだけ傷みに耐えられるかを確かめる為に。
刀使いのマリアは陽気に人を斬る。この世に斬れないものなど無い事を信じる為に。
槍使いのアデルは慇懃無礼に人を斬る。ただ存分に暴れたいが為に。
ナイフ使いのシャーネは無言で人を斬る。自分の仲間を傷つける者を排除する為に。
刃物使い達の死闘は雨を呼ぶ。それは、嵐への予兆――。
   ――上巻表紙裏より

ティムは過去を捨てた男だが、兄を忘れた事はなかった。
ダラスはどうしようもないチンピラだが、妹だけは護りたかった。
クリストファーはとてつもない変人だが、なぜか自然を敬っていた。
『葡萄酒』は最強最悪の殺し屋だが、マジで婚約者を愛していた。
刃物使いたちの死闘に呼び寄せられたキレた奴ら。血の雨が止む時、雲間から覗く陽光を浴びるのは誰だ――?
   ――下巻表紙裏より

感想

作者である成田良悟らしさが出過ぎてしまった作品。登場人物を絡めに絡めた群像劇が得意なのは分かるが、今回は空回り気味な箇所が幾つか。特に上巻では『マリアvsアデル』が軸となり、その周りにシャーネやチックが配置され、“マリアの物語”としてはバランスが取れていたのに対し、下巻は主題がハッキリしない。クレアを出すのはまだしも、ヒューイやクリストファーまでが出張ってきて、彼らがマリアとはあまり関係の無い箇所で見せ場を作ってしまうので、下巻では彼女が蔑ろにされている印象すら受ける。
ところが最終的には“マリアの物語”に戻る。これが唐突だ。どうせなら下巻は『バッカーノ! 1931 特急編』のように、クレアの独壇場にしても良かったのではないか、という気さえする。下巻の内容を読むと、どうしても『マリアvsアデル』は見劣りがしてしまうのだ。だからその決着は、もっと早くに付けても良かったのかも知れない。
今作は次巻以降で活躍すると思われるキャラクター達の“顔見せ”的要素も強く、分量の割にはストーリーが進まなく、独特のラストの崩壊感が殆ど無かったのも残念だ。
相変わらずストーリー構成は巧いが、これ以上に登場人物数が増えると頭が追い付かなくなるし、物語自体が崩壊してしまう可能性が有る気がしてならない。


バッカーノ! 2001 The Children Of Bottle

一言

シリーズ初の平凡作。

目次

プロローグ 『笑顔中毒者』
1章 喜怒哀『楽』
2章 喜怒『哀』楽
3章 『喜』怒哀楽
4章 喜『怒』哀楽
5章 『(笑)』
エピローグ 『硝子瓶の子供達』

梗概

その不死者の名はエルマー・C・アルバトロス。“笑い”に異常な執着を持ち、ハッピーエンドの為なら手段を選ばない『笑顔中毒者』である。
三百年前に別れたその男を捜して北欧の森を訪れた4人の不死者たち。そこには古びた小さな村があった。突然現れた来訪者に敵意の眼差しを向ける村人たち、なぜか彼らに“悪魔”と恐れられているエルマー、そして不思議な少女――。
謎に満ちた村で繰り広げられる、『バッカーノ!』異色作!
   ――表紙裏より

感想

成田良悟の持ち味であるトリッキーな構成を極力抑えた作品。ストーリー自体は割と平凡だ。本作の見所は新たに登場した不死者たちのキャラクターだろう。特にエルマーの打算性とナイルの言い回しは非常に面白い。
しかし逆に言えば、それ以外の部分では見所が少ないと言える。ストーリーの本筋よりもチェスの心情吐露のシーンの方が感銘を受けてしまう。まぁ“異色作”という事なので、こういうのもアリではあるだろう。次回作の『バッカーノ! 1933』に期待。


バウワウ! Two Dog Night

一言

「アチー!」と叫びたくなる良作。

目次

序章
一章 クズ
二章 夕海
三章 ぶるぶる電波
終章 橋犬達
余章 クズはクズ
余章2 犬の末路

梗概

佐渡と新潟の間に架けられた世界で一番巨大な橋。その中央にそびえる名前がつけられる事のなかった人工島――不況によって放置されたそこは不法滞在者や犯罪者が棲む九龍城さながらの無法都市と化していた。
その島を二人の男が訪れる。
気弱で大人しい少年・狗木誠一は、幼馴染の少女と冒険気分で。
重要指名手配犯・戌井隼人は惹きつけられるように。
そして彼らは、社会から隔絶された無法地帯で全く違う道を歩み始める。だがその姿は、鏡に映る己を吼える犬のようでもあった――。
   ――表紙裏より

感想

ただ只管にアツイ奴らが一つの場所に集まって物語を紡いで行く。形式的には狗木誠一と戌井隼人の二人が主人公という事になっているが、実は葛原宗司が実質的な主人公である。
作中で狗木誠一と戌井隼人との関係は『鏡』として語られるが、それは正確な対称形ではなく、時間軸が数年ずれている。それによってこの物語は成立するという珍しい構造を見る事が出来る。
かなり壮絶な設定が為されているが、それが悲壮的になっていないのは、この作者の特性だろう。しかしそれでいながら読者に衝撃だけは伝えるのだから凄い。
強いて注文すれば、狗木誠一の描き方にもう少し工夫が欲しかった。戌井隼人の描き方は非常に巧かっただけに、バランスの悪さを感じた。


Mew Mew! Crazy Cat's Night

一言

あらゆる点で前作を下回る第2作。しかし、次回作への期待度は高い。

目次

序章 未来『伝説』
過去『猫』
現在『鼠』
第一章 チェーンソーキャット
第二章 東の暇人、西の魔女
第三章 ミス・アンラッキー&ノー・フォーチュン
第四章 護衛部隊
第五章 金島銀河と鼠の王
終章 ラッツ
余章 大山鳴動して鼠一匹
蛇足章 じゃれる男

梗概

『ヒーハハハ!! このハッピーに呪われたゴミクズだらけの島にようこそ! また会えたね! それともハジメマシテだったりするのかな? 今日はラジオの電波に乗せて、猫と鼠のドキュメンタリーをプレゼントだ! この島に捨てられて鼠になったガキと、自分から望んでこの島の猫になった小娘の追いかけっこ! 鼠はただ逃げようとしてるだけなんだけどさ! た・だ・し、この島の人間様達の心臓を食い破りながらね! さぁ、猫は果たして御主人様であるこの【島】を護れるのかな? ヒャーハハハ!』   ――表紙裏より

感想

前作『バウワウ!』の3人の主人公が1人も出て来ない第2巻。(正確には1人だけは出て来るのだが、今作では全く意味が無い。)サブキャラクターは何人か引き継がれているものの、新たに主役になったのは初登場したキャラクター達である。が、その出来が、あまり良くない。
まずは主人公の砂原潤の設定が弱い。前作の狗木誠一や戌井隼人と比較にならない。彼女からは“悲壮さ”が感じられないのだ。狗木や戌井と同じように悲惨な境遇を受けながら、物語が始まった時点で既に克服してしまっている。その意味で、主人公の成長が、作中では見て取れない。これは物語上の大きな欠陥と言える。
さらにはサブキャラクターの扱いが酷い。恐らく次巻以降の伏線なのだろうが、今作では全く必要の無いキャラクターが多過ぎる。序章で語られた“生ける伝説達”の殆どが活躍の場を与えられないのには落胆した。
しかしながら次巻への期待は大きい。戌井隼人と葛原宗司が再登場するのは間違いない所で、その上で今作の登場人物達がどのように絡んでくるのか――これは考えただけでゾクゾクする。次巻のタイトルは『がるぐる!』だそうだ。冬に発売という事で、それまでが待ち遠しい。


がるぐる! Dancing Beast Night

一言

目次

序章A 机上の空狼
序章B 軽探偵登場
間奏1 犬も歩けば不幸にあたる
第一章A 狼人と海
第一章B 暫定物語
間奏2 クズ過誤
第二章A 威風狼々
第二章B 堕落椅子探偵
間奏3 西の良き鬼女
第三章A HIGH&狼
第三章B そして誰がいなくなった?
間奏4(前) 暗躍帰還

梗概

『ヤア、諸君。コノイカレタ島ニマタ眼ヲ向ケテクレタ事、感謝スルヨ。今日ノ話ハ実ニ単純ナ話サ。男ト女。ボーイミーツガール! 物語ノ基本ダロウ? 殺人鬼デアル少年ト出会ッタノハ、自称名探偵ノ不思議ナ少女。ソンナ2人ノ滑稽ナダンス。ソレガ今回ノ物語サ。単純ダロウ? ……彼ラハ一体、誰ノ掌ノ上デ踊ルンダロウネエ? 西ノ魔女カ? 東ノ暇人カ? 島ニ帰ッテキテシマッタ、2匹ノ犬カ? 自警団ノ番犬カ? 護衛部隊ノ雌猫カ? ソレトモ、コノ【バネ足ジョップリン】カ……アルイハ、君ノ掌ノ上カモ知レナイネエ。コノ島ニ来タ者ハ――誰ニデモ、他者ヲ踊ラセル権利ガアルノダカラネエ……』   ――上巻表紙裏より

   ――

感想


デュラララ!!

一言

前半が退屈なのが残念。

目次

プロローグ
1章 『影』
2章 首無しライダー 客観
3章 首無しライダー 主観
4章 街の日常 昼
5章 街の日常 夜
6章 矢霧製薬 上層部
7章 矢霧製薬 下っ端の下っ端の下っ端
8章 ダブルヒロイン 園原編
9章 ダブルヒロイン 傷娘編
10章 『ダラーズ』開幕
終章 『ダラーズ』閉幕
エピローグ 日常 表
エピローグ 日常 裏

梗概

「楽しみだなあ。楽しみだなあ。楽しみだなあ。この街は俺の知らない事がまだまだまだまだ溢れ、生まれ、消えていく。これだから人間の集まる街は離れられない! 人、ラブ! 俺は人間が好きだ! 愛してる!」
東京・池袋。そこにはキレた奴らが集う。非日常に憧れる少年、喧嘩上等のチンピラ、ストーカーもどきの電波娘、趣味で情報屋を営む青年、ヤバイ患者専門の闇医者、魔物に魅せられた高校生、そして漆黒のバイクを駆る“首なしライダー”。
そんな彼らが繰り広げる物語は痛快な程マトモじゃない。だが、彼らは歪んでいるけれども――恋だってするのだ。
   ――表紙裏より

感想

お得意の終盤での崩壊感は健在。今回もしっかりと読者の中の物語を崩してくれる。ただ、今回はそこに至るまでが長く、前半部は退屈なシーンが多かった。仕方の無い部分も有るが、キャラクターの魅力で繋ぎとめて欲しかった。ちょっとキャラクターが多過ぎて、逆に感情移入できるキャラクターが不在になってしまった。『バウワウ!』に於ける葛原のような存在が、今回は居なかったのである。
しかしそこをグッと我慢すれば満足得られる結末が待っている事は間違いの無い所で、それ故にこの作者を信用している人には評判が良さそうだ。内容も初見の人には薦められない箇所が在る事だし。


デュラララ!!×2

一言

次回作を意識するのが最近の悪い傾向。

目次

プロローグ 赤色吐息
1章 妖刀狗肉
2章 不定少女
3章 池袋最凶
4章 池袋之殃
5章 百刀直入
6章 妖刀乱麻
エピローグ&ネクストプロローグ 蒼天己……死?

梗概

「私は、人が好きよ。誰が好きかって? 違う、違うわ! 私は人間がみんなみんな好きなのよ! どこが好きかって? 野暮なこと聞かないで! 全部よ、全部! なにもかも、なにもかもが好きなのよ。だけど、あなたを愛する事はできないわ。だけど、あなたは私を愛して」
東京・池袋。そこは人を愛することが不器用な人間が集う。自分の立ち位置を悩む少女、池袋を取材する三流雑誌記者、セクハラ疑惑の教師、黄色いバンダナを巻いた黄巾賊、池袋最強のチンピラ、様々な裏情報を操る青年、そして漆黒のバイクを駆る“首無しライダー”。
そんな彼らが連続通り魔事件に巻き込まれ、池袋が壊れ始めていく──。
   ――表紙裏より

感想

前作『デュラララ!!』では「キャラに魅力が足りないなぁ」という印象が強かったが、今作で見事に評価一新。殆ど登場人物は変わっていないのに、こうまで印象が変わるとは。
ただ『バッカーノ! 1933 THE SLASH』や『Mew Mew! Crazy Cat's Night』と同様、次回作への繋がりを強く意識した作りになっており、そこに不満点が残る。あまりに大きな構図を描き過ぎ、それが逆に真相を見え易くしてしまった感じ。
もっともっと崩壊感を演出して欲しい。ある意味では謎は出尽くしたように感じるので、これからどういう演出を見せていくのかが気になる。単なる三つ巴の展開にはならないだろうなぁ。


デュラララ!!×3

一言

目次

梗概

   ――

感想


ヴぁんぷ!

一言

完全に自己のスタイルを確立しつつあるのを感じる一作。

目次

プロローグ1 棺の前の少年少女
プロローグ2 棺の中の少年少女
プロローグ3 棺の周りの奇人達
プロローグ4 棺の外の少女
1章 棺の回りの狩人達
2章 棺の回りの吸血鬼
3章 棺に満ちる虹色紳士
エピローグ 棺の中の十人十色
余章 棺の街の市長

梗概

成田良悟が描く“この世でいちばん吸血鬼らしくない吸血鬼”の物語。
【親愛なる日本の紳士淑女諸君! 月並な問い事で申し訳ないが――諸君は吸血鬼の存在を信じるかね?】
【――失敬、名乗るのが遅れたようだ。我が名はゲルハルト・フォン・バルシュタイン! このグローワース島を預かる、子爵の称号を賜りし吸血鬼! 自己紹介代わりに、我が島で起こった一つの騒動について話をしようではないか! ……まあ語らせてくれたまえ。暇なのだ】
【君が私の話を信じるも信じぬも、私が人にあらざる存在という事は一目瞭然であろう? 何しろ私の身体は――】
   ――表紙裏より

感想

成田良悟の作品中、最も破天荒な設定を為された作品。こんな設定をよく考え付いたものだと思う。ただ、面白い設定ではあるが、それを生かし切ったかというと疑問が残る。
また文章中の小ネタが文章中で完結していないのには賛否両論ありそうだ。ラストは良いとして、ヴァルの正体に関する部分はあとがき及び本のカバーにまでネタが広がっている。しかしこれこそが成田良悟作品の真骨頂という感じもするので、何とも評価が難しい処だ。
キャラクターはいつも通りの良い出来で、特に台詞は“成田節”と言えるようなモノを作り上げつつあると思う。“手品師”が焦ってるシーン、とか。
これらを総合すると、特に今作は「メタ的」と言えるのかも知れない。作者が何処まで確信的にやっているのかは分からないが、これからはこのような作風で突き進めて行く可能性が高いと思う。


ヴぁんぷ!U/V

一言

怒涛の後半に対して、緩慢な前半。

目次

プロローグA 真夏の西瓜、真冬の血花
プロローグB ニーズホッグとフレースヴェルグ
プロローグC 小物市長
プロローグD 吸血博士と奇天烈教授
1章 吸血鬼達の会議は踊り
2章 子爵は朝日を浴びながら
3章 博士と教授は地底にこもり
4章 二人は『食鬼人』の道を歩み
5章 緑の軍隊は静かに進行し
6章 人間達の時間は暮れて
蛇足章 墓守は音もなく忍びより
7章 橙色は嬉々として
8章 白雪姫は血に塗れ
9章 悪の化身は微笑みながら
10章 花は罪人の心を癒し
11章 守り神は卵から生まれ出て
エピローグA 朝日が来ない夜はなく
エピローグB 夕日が沈まぬ昼もなく
エピローグC 昼と夜の狭間にて
エピローグD そして、罪人は――

梗概

祭りに現れた『食鬼人』の目的とは――。
【久方ぶりだね! 親愛なる日本の紳士淑女諸君! 相も変わらず読書に精を出しているかね? 真にその書が好きならば、回読よりも購読をお勧めする!】
【失敬。生臭い話はやめ、今回は諸君に島の祭りを紹介するとしよう!】
【我が島が誇る芸術家、カルナルド・シュトラスブルクを讃えるカーニバルだ! 恋人達の誓いから家族の団欒、過去の精算に未来への希望など――様々な想いと共に、様々な客人が島を訪れる! 喜ぶべき来訪者から、望まれざる者までね。だから諸君も、この祭りを十二分に楽しんでくれたまえ!】
【遙か西の水面に日が沈むまでは、君達人間の時間なのだから……】
   ――上巻表紙裏より

【2ヶ月ぶりだね、日本の紳士淑女諸君! 今日は少々血生臭い話をするとしよう】
【復讐──そう、復讐の話だ。活劇から悲劇に至るまで、様々な物語に取り入れられる王道とも言うべき要素だよ】
【復讐は常に新たな復讐の芽を生む。様々な物語でよくそう言われるものだが……仮に、相手の親類縁者全て、さらにはそのまた縁者をも復讐の対象とし、全てを滅ぼし尽くす覚悟だとしたら? おそらく復讐の連鎖は止まるだろうが、その者に安らぎが訪れる事は無いだろう】
【そんな覚悟をしてしまった者は、この世界と──己自身にこそ復讐をしたいのだろうからね】
そして、吸血鬼たちの時間が始まる――。
   ――下巻表紙裏より

感想

例によって序盤は少し退屈で、しかし読み終わるまでには評価を一変させる。今回のポイントは“個別の連鎖”だろうか。
一つ一つのエピソードは繋がらないのだが、それが現実という媒介を経る事で、読者の心の中でだけ連鎖していく。それが全体の肝となっている。
物語としては子爵の登場シーンが初巻に比べて格段に少なく物足りなさを感じるが、この膨大な登場人物数を考えれば当然と言えば当然である。本当に作者が何処まで本気なのか、良い意味で想像が付かない。
メインの『バッカーノ!』シリーズを除けば、この『ヴぁんぷ!』シリーズが最も長い話になるようである。実は多くの蟠りを残していつつも、しかし読後感のサラリとした感触は特筆すべきものが有る。


ヴぁんぷ!W

一言

目次

梗概

   ――

感想


世界の中心、針山さん

一言

“なんでもあり”なのが逆に災いに。

目次

としれじぇ
魔法少女893号
拝啓、光の勇者様
世界の中心、針山さん

梗概

埼玉県所沢市を舞台に巻き起こる様々な出来事。斧男が巻き起こすベッドの下の都市伝説、いきなり天井を破って舞い降りた魔法少女、自らを勇者と名乗る住人たちが忽然と消えた孤島、そして、様々な人々が絡み合う悲劇の結末──。
それら全ての事件には必ず一人の人物が絡んでいた。その人の名は針山真吉。憎めない顔をしていて、眼鏡以外にほとんど特徴のない普通の人。四人家族の主。そんな彼が何故に毎回事件に巻き込まれるのか? 果たして針山さんとは何者なのか? そして、世界の中心には何があるのか──!?
人気イラストレーターコンビで贈る短編連作、電撃文庫で登場!
   ――表紙裏より

感想

成田良悟の作品は、『バッカーノ!』の不死者や『ヴぁんぷ!』の吸血鬼などのように、世界観に一定の制約を設け、それに合わせたストーリー作りをしてきた。ところが今作はそんな制約を吹き飛ばし、正に“なんでもあり”状態で突き進んでいく。
斧男に魔法少女に伝説の勇者。そしてこの3者を結ぶのが、凡人である針山さん。この繋ぎ方が作品の肝となる筈だが、あまり効果的に設置されていないのが気になる。
まだ断定には早いが、この作者には短編は向いていない気がしてならない。それとも今作は壮大なプロローグに過ぎなかったりするのだろうか?


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