安直に終わらなかった「失踪HOLIDAY」が良い。
しあわせは子猫のかたち 失踪HOLIDAY
14歳の冬休み、わたしはいなくなった――。大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出! その失踪先は……となりの建物!! こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事態は思わぬ方向に転がって……!? 心からやすらげる場所を求める果敢で無敵な女の子の物語。その他うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊の切ない一瞬、「しあわせは子猫のかたち」を収録。きみが抱える痛みに、そっと触れます。 ――裏表紙より
「しあわせは子猫のかたち」は平凡だった。それなりに“良い話”ではあるが、童話的な域を出ていない。約50ページの短編だが、もっと捻りを入れられたハズである。
「失踪HOLIDAY」は途中まで冗長な感が強いが、結末が予想通りに行かなかったのが良い。ほのぼのとした印象を与えるが、決して「しあわせは子猫のかたち」のような童話的な良い話に終わっていない。やや現実離れしているが、許容範囲を外れてはいない。