サブカルチャー風味全開。
プロローグ(偽) プロローグ(真) 1 レ・ベル・ドゥ・リッチとエスカーダのトワレ。乙女ですから。ウププ。 2 推理小説は嫌い。論理的だから。 3 『ノーリターン』を『ノーターリン』と読み間違えることは、べつに悪いことでもなんでもない。 4 芥川賞とかを獲るよりも、ベンチプレス200キロ上げるほうがたぶん凄い。 5 小学校の卒業文集。将来の夢は『国会議事堂をのっとる』。 6 野球は九回裏ツーアウトから。じゃあ、それまでやっていた『野球みたいなもの』は、なんだったんだ。 7 解決編(嘘) 8 開演二十一時。ヴードゥーの夜。黒と緑の世界。 9 仮面ライダーになりたかった戦闘員は。 エピローグ(偽)
聖香19歳、趣味はコスプレ、野望はコスプレの星となること。
特技は……え? 心霊写真ですとー!?
写真を撮られると必ずお化けも一緒に写ってしまう。
コスプレイヤーとしては即死確定の心霊写真スキル(?)をひた隠しにしながら、聖香はコスプレ仲間のアイニー(ぺったんこ・ほそい・うすい)と日々コスプレに励む。
そんな彼女の前に、ある日一人のカメラ小僧が現れた。彼の差し出すポラロイドには、なんと聖香の秘密がばっちり写っている!
野望はたちまち風前の灯火、聖香ははたしてコスプレの星となれるのか?
オタクとサブカルチャーの大海原をマッハの速度で駆け抜ける前代未聞のコスプレノベル!
軽快で、青春で、ディープ! ――表紙裏より
メインはコスプレ。しかしそれだけではなく、実に様々なサブカルチャー的な要素を絡め込んでいる。その方面への知識が少し無いと、ちょっと読むのがキツイかも知れない。
本作は前半はただただ雰囲気を楽しめば良い、という感じだ。ストーリー的には進行度が少ない。終盤になって色々と物語が動き出すので、そのパートをもう少し膨らませてくれたらなぁ、と思った。
テーマもハッキリしないのが残念。結局、コスプレを含めたサブカルチャーを徹底的に描きたかったのか、それともコスプレイヤーの日常だったのか、それとも少し変わった爽やか恋愛だったのか。いまいちピンと来ないのだ。その所為で親友の死が意味する所も微妙に揺れ動く。様々な解釈が可能という言い方は出来なくも無いが、そういうのを意図して書かれた小説ではないだろう。