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時雨沢恵一

HOBBY MAIN

タイトル 出版社 初版日 勝手な採点 通販
キノの旅 the Beautiful World 電撃文庫 2000年07月25日 ★★★ 購入
キノの旅U the Beautiful World 2000年10月25日 ★★★☆ 購入
キノの旅V the Beautiful World 2001年01月25日 ★★★★☆ 購入
キノの旅W the Beautiful World 2001年07月25日 ★★☆ 購入
キノの旅X the Beautiful World 2002年01月25日 ★★★★ 購入
キノの旅Y the Beautiful World 2002年08月25日 ★★★☆ 購入
キノの旅Z the Beautiful World 2003年06月25日 ★★★☆ 購入
キノの旅[ the Beautiful World 2004年10月25日 ★★★ 購入
キノの旅\ the Beautiful World 2005年10月25日 ★★☆ 購入
キノの旅] the Beautiful World      
アリソン 2002年03月25日 ★★★★★ 購入
アリソンU 真昼の夜の夢 2003年03月25日 ★★★★ 購入
アリソンV<上> ルトニを車窓から 2004年03月25日 ★★★★ 購入
アリソンV<下> 陰謀という名の列車 2004年05月25日 購入
リリアとトレイズT そして二人は旅行に行った<上> 2005年03月25日 ★★★☆ 購入
リリアとトレイズU そして二人は旅行に行った<下> 2005年05月25日 購入
リリアとトレイズV イクストーヴァの一番長い日<上> 2005年03月25日   購入
リリアとトレイズW イクストーヴァの一番長い日<下> 2005年05月25日    

キノの旅 the Beautiful World

一言

ドラマの無いストーリー。そのスタンスで何処まで勝負できるのか――?

目次

プロローグ 森の中で・b ――Lost in the Forest・b――
第一話 人の痛みが分かる国 ――I See You.――
第二話 多数決の国 ――Ourselfish――
第三話 レールの上の三人の男 ――On the Rails――
第四話 コロシアム ――Avengers――
第五話 大人の国 ――Natural Rights――
第六話 平和な国 ――Mother's Love――
エピローグ 森の中で・a ――Lost in the Forest・a――

梗概

「キノはどうして旅を続けているの?」
「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか? ものすごく汚い人間ではないか? なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ。……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ……。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする」
――短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。今までにない新感覚ノベルが登場!
   ――表紙裏より

感想

毒入り系の短編集なのだが、何故か読み終わっても清々しい気分になるのは、主人公のキャラクター故か。全部合わせてもそこまで登場人物の多いわけではないが、読んでいて嫌になるキャラクターが皆無なのも読後感を良くしている。
ただ、話の順番と時系列を逆にするという発想は面白いが、それを活かしきっているとは言えないのが残念だ。
ちなみにお薦めは「レールの上の三人の男」。


キノの旅U the Beautiful World

一言

全体的には前作を超える出来で満足出来る。

目次

口絵 狙撃兵の話 ――Fatalism――
プロローグ 砂漠の真ん中で・b ――Beginner's Luck・b――
第一話 人を喰った話 ――I Want to Live.――
第二話 過保護 ――Do You Need It?――
第三話 魔法使いの国 ――Potentials of Magic――
第四話 自由報道の国 ――Believers――
第五話 絵の話 ――Happiness――
第六話 帰郷 ――"She" is Waiting For You.――
第七話 本の国 ――Nothing Is Written!――
第八話 優しい国 ――Tomorrow Never Comes.――
エピローグ 砂漠の真ん中で・a ――Beginner's Luck・a――

梗概

砂と岩の砂漠の真ん中で、キノは空を見上げていた。晴れている。
頭を下げて、石造りの口を開ける井戸を見た。涸れている。
「だから言ったとおりだよ。最初からこれじゃあ旅なんて無理だよ。キノ。旅人に一番必要なのは、決断力だよ。それは新人でも、熟練の旅人でも同じ。違う?」
「いいや、エルメス。それはきっと運だよ。旅人に一番必要なのは、最後まであがいた後に自分を助けてくれるもの。運さ」
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。短編連作の形で綴られる、今までにない新感覚ノベル第2弾!!
   ――表紙裏より

感想

異色の短編連作第2弾は前作よりも全体の纏まりが失われた代わりに、よりバラエティ豊かなストーリーが楽しめるようになっている。
お薦めは「自由報道の国」と「本の国」と「優しい国」。「自由報道の国」にはやられた。既存のショートショートにかなり影響を受けているが、ライトノベルでやられると何故か新鮮に感じる。「本の国」は主人公キノのスタンスを決定付けたと思う。「優しい国」は名作だ。涙脆い人は確実に泣くだろう。
実は目次には載っていない話が巻末に掲載されている。何となく得した気分だ。


キノの旅V the Beautiful World

一言

前作以上に切れ味が鋭い名作揃い。

目次

口絵 愛と平和の国 ――Power Play――
プロローグ 雲の中で・b ――Blinder・b――
第一話 城壁のない国 ――Designated Area――
第二話 説得力 ――Persuader――
第三話 同じ顔の国 ――HACCP――
第四話 機械人形の国 ――One-way Mission――
第五話 差別を許さない国 ――True Blue Sky――
第六話 終わってしまった話 ――Ten Years After――
エピローグ 雲の中で・a ――Blinder・a――

梗概

真っ白だった。
上も、下も、右も、左も、ただ白かった。
「見事に何も見えないな」
「見事に何も見えないね」
「でも、すぐにまた、見えるようになる」
「見えるようになるだろうね」
「ねえ。見えるようになって、目の前にきれいさっぱり何もなかったらどうする? ちょっと嬉しくない?」
「ああ。でも、そんなことはありえないことを、ボクは知ってるからね」
「晴れたら、どうするつもり?」
「そうだな……、ここにいても仕方がないし、ボクにできることもない。出発するだろうな。それだけだ」
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。短編連作の形で綴られる、大人気新感覚ノベル第3弾!!
   ――表紙裏より

感想

素晴らしい短編が揃った。「城壁のない国」、「同じ顔の国」、「機械人形の国」が秀逸。ただ読む人にとっては毒が強過ぎるかも知れない。
そんな中だからこそ「差別を許さない国」が光っている気がする。一つの独立した話としては目立たないのだが。
「終わってしまった話」は前作の「自由報道の国」と同様の叙述トリック。しかしここまで受ける印象が違うとは意外。


キノの旅W the Beautiful World

一言

イマイチな話が多く残念。

目次

プロローグ 紅い海の真ん中で・b ――Blooming Prairie・b――
第一話 像のある国 ――Angel?――
第二話 ××××× ――Solo――
第三話 二人の国 ――Even a Dog Doesn't Eat――
第四話 伝統 ――Tricksters――
第五話 仕事をしなくていい国 ――Workable――
第六話 分かれている国 ――World Divided――
第七話 ぶどう ――On Duty――
第八話 認めている国 ――A Vote――
第九話 たかられた話 ――Bloodsuckers――
第十話 橋の国 ――Their Line――
第十一話 塔の国 ――Free Lance――
エピローグ 紅い海の真ん中で・a ――Blooming Prairie・a――

梗概

歌声が聞こえる。そこは、紅い世界だった。一面に紅い花が咲き乱れ、隙間なく大地を埋め尽くしている。
何もない、ただ蒼いだけの空が広がる。
……紅い草原に、再び歌声が聞こえた。
そしてそれが終わった時、最初に聞こえた声が尋ねる。
「これからどうするの?」
別の声は、
「いつかと同じさ。どこかへ行こう」
すかさず答えた。
「そうだね。そうしよう」
最初の声が、嬉しそうに同意した。
そして言う。
「そろそろホントに起こしてほしいなあ。キノ」
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。短編連作の形で綴られる、大人気新感覚ノベル第4弾!!
   ――表紙裏より

感想

1回読んで「あれ?」と感じた。何かが今までと違う。もう1回読むと原因が分かった。今作は妙に時事的な批判が多いのである。それはそれで面白いのだが、人によっては説教をされているように感じてしまうかも知れない。
それと、これは僕の問題かも知れないが、「像のある国」等は意図が不明瞭に感じた。僕の読解力不足だろうか?


キノの旅X the Beautiful World

一言

比較的良作揃いの巻。

目次

プロローグ 夕日の中で・b ――Will・b――
第一話 あの時のこと ――Blue Rose――
第二話 人を殺すことができる国 ――Jungle's Rule――
第三話 店の話 ――For Sale――
第四話 英雄達の国 ――No Hero――
第五話 英雄達の国 ――Seven Heroes――
第六話 のどかな国 ――Jog Trot――
第七話 予言の国 ――We NO the Future.――
第八話 用心棒 ――Stand-bys――
第九話 塩の平原の話 ――Family Business――
第十話 病気の国 ――For You――
エピローグ 夕日の中で・a ――Will・a――

梗概

そう――。
この世界は美しく、そして輝いている。ボクの心を落ち着かせ、なごませてくれる。辛いことを忘れさせてくれる。それが、ボクの心がおかしくて、狂っていて、壊れていることの証明だとしても……。それでもボクは、そう思えることを大切に思う。
さあ――。
ボクはこれからもこれを見続けよう。ボク以外の世界中の人が、これを美しくないと吐き捨てても。そう思うことが、これ以上ないほどの間違いだったとしても。ボクが、これを美しいと思うかぎり。
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。短編連作の形で綴られる、大人気新感覚ノベル第5弾!!
   ――表紙裏より

感想

同一主人公の短編連作という形式は相当に辛いと思うのだが、それにしては随分頑張っているな、という印象。たまにキノ達以外の話を挿入する事でバラエティに富ませている。
今作はやはり第四話と第五話の「英雄達の話」がメイン。目次を見た時は「あれ? 誤植?」と思ってしまったが、読んでみて納得。その他では「店の話」と「用心棒」が興味深い。


キノの旅Y the Beautiful World

一言

期待の「安全な国」は普通。

目次

口絵 入れない国 ――Reasonable――
中立な国 ――All Alone――
戦車の話 ――Life Goes On.――
プロローグ 誓い・b ――a Kitchen Knife・b――
第一話 彼女の旅 ――Chances――
第二話 彼女の旅 ――Love and Bullets――
第三話 花火の国 ――Fire at Will!――
第四話 長のいる国 ――I Need You.――
第五話 忘れない国 ――Not Again――
第六話 安全な国 ――For His Safety――
第七話 旅の途中 ――Intermission――
第八話 祝福のつもり ――How Much Do I Pay For?――
エピローグ 誓い・a ――a Kitchen Knife・a――

梗概

よくない道だねぇ、と走ってきたモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が言った。後輪の脇には箱が、上には大きな鞄と丸めた寝袋とコート。旅荷物をたくさん積んだモトラドだった。でもやっぱりこれが近道だよと、モトラドの運転手が言った。黒いジャケットを着て、帽子とゴーグルをした十代中頃の若い人間だった。腰を太いベルトで締めたジャケットの前合わせは、初夏の風が入るように大きく開けていた。その下に、白いシャツを着ていた。
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。短編連作の形で綴られる、大人気新感覚ノベル第6弾!!
   ――表紙裏より

感想

「祝福のつもり」があまりにも切ない。第2巻の「優しい国」に匹敵する感動作。ストーリー的にはよくある形なのだが、ここまで直球で来られると逆に良い。
「彼女の旅」は第一話は良いが、第二話も同じタイトルにすべきだったかどうかは疑問。少なくとも前作の「英雄達の国」よりは関連性が薄いし。
「安全な国」は何度もボツになった話らしいが、意外と普通だった。


キノの旅Z the Beautiful World

一言

最も長いのはエピローグ。

目次

プロローグ 何かをするために・b ――life goes on.・b――
第一話 迷惑な国 ――Leave Only Footsteps!――
第二話 ある愛の国 ――Stray King――
第三話 川原にて ――Intermission――
第四話 冬の話 ――D――
第五話 森の中のお茶会の話 ――Thank you――
第六話 嘘つき達の国 ――Waiting For You――
エピローグ 何かをするために・a ――life goes on.・a――

梗概

――モトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)の反対側で、運転手が草の上に座っていた。両足を前に出して、後ろに手をついて、そして空を見上げていた。春の暖かい太陽に、蒼い空を背景にいくつかの雲が流されている。運転手は十代中頃で、短い黒髪に精悍な顔を持つ。黒いジャケットを着て、腰を太いベルトで締めていた。――人間キノとモトラドのエルメスは“動いている国”に出会い入国する。その“動いている国”が進む先には“道をふさいでいる国”があった(「迷惑な国」)。他全8話収録。
短編連作の形で綴られる、新感覚ノベル第7弾。
   ――表紙裏より

感想

最も長いのがエピローグというのに意表を突かれるが、内容はマトモである。「冬の話」と「嘘つき達の国」は力作であるが、今作はそれ以外の話も割と良作が揃っていると感じる。しかし、このシリーズとしては一話が長く、少々間延びしてしまった部分もある。
「冬の話」のサブタイトル“D”は、deathの頭文字を取っただけかと思っていたが、もしかしてdoctorとも掛けているのかな。その他にも何かありそうなタイトルだが、残念ながら思い付かない。
あとがきが最初にあるなど、いつも通りのノリは健在。


キノの旅[ the Beautiful World

一言

悪くはないが、良くもない。

目次

口絵 道の国 ――Go West!――
口絵 悪いことはできない国 ――Black box――
プロローグ 渚にて 旅の始まりと終わり ――On the Beach・b――
第一話 歴史のある国 ――Don't Look Back!――
第二話 愛のある国 ――Dinner Party――
第三話 ラジオな国 ――Entertainer――
第四話 救われた国 ――Confession――
エピローグ 船の国 ――On the Beach・a――

梗概

「あー…」運転手が口を開いた。力のない声だった。「何さ? キノ」モトラドが聞いた。キノと呼ばれた運転手は、ポツリと「お腹すいたな」「だったら止まって休む! 空腹で倒れられたら――」モトラドの訴えを「はいはい。何回も聞いたよ、エルメス」キノは流す。エルメスと呼ばれたモトラドは「分かってやってるんだから」呆れ声で答えた。「そもそも、あの国が滅んでいたのがいけない」カーブを抜けながら、キノが言った。
――お腹をすかせたキノとエルメスが辿り着いた場所には、盆地の中央を埋め尽くすように、数百人の難民が集まっていた……(『愛のある話』)他、黒星紅白が描くイラストノベルも含め全8話収録。
   ――表紙裏より

感想

前作に引き続き、エピローグが最長の話。しかも今回は半分以上がエピローグだ。
メインのストーリーも「船の国」という事になる。他の作品は悪くは無いが、佳作の域を出ない。「ラジオな国」は、2巻の「自由報道の国」を髣髴とさせるのが、多少は気になった。
で、「船の国」だが、これは良い出来である。しかし何となく狡さを感じる作品でもある。つまり、手放しで誉められないのだ。また『キノの旅』シリーズとしては異例の長さでもあるから、それを考えると作中のどんでん返しも弱い。


キノの旅\ the Beautiful World

一言

インパクトよりも余韻勝負。

目次

口絵 なってないひとたち ――Traveler's Tale――
口絵 城壁の話 ――Sweet Home――
プロローグ 悲しみの中で・b ――Yearning・b――
第一話 記録の国 ――His Record――
第二話 いい人達の夕べ ――Innocence――
第三話 作家の旅 ――Editor's Travels――
第四話 電波の国 ――Not Guilty――
第五話 日記の国 ――Historians――
第六話 自然保護の国 ――Let It Be!――
第七話 商人の国 ――Professionals――
第八話 殺す国 ――Clearance――
第九話 続・戦車の話 ――Spirit――
第十話 むかしの話 ――Tea Talks――
第十一話 説得力U ――PersuaderU――
エピローグ 悲しみの中で・a ――Yearning・a――

梗概

空には、暖かい午後の太陽が浮かんでいました。なだらかで大きな丘を登った時、丘の向こうが見えた時、キノは驚きの声を出しました。「あれ? なんでだろう」急ブレーキをかけられて止まったエルメスも、「おや」やっぱり驚きました。そこには国がありました。広い草原に、城壁が見えました。白い城壁が、大きな円を描いていました。――キノとエルメスが辿り着いたのは、城壁が続く大きな国。そこに国があるとは聞いていなかったので驚きつつ、入国するための門を探して走り続ける。しかし……。(『城壁の国』)他、全15話収録。   ――表紙裏より

感想

今まで以上にバラエティに富んだストーリーを楽しむ事が出来るが、一つ一つの作りが荒い。インパクトが弱く、どちらかと言えば余韻勝負の作品が多い。
何時の間にか主人公キノ以外の話が過半数を占めるようになってしまったが、ここらで何か一つ集大成的なエピソードが欲しい所な気がする。


キノの旅] the Beautiful World

一言

目次

梗概

   ――

感想


アリソン

一言

読者を裏切らない結末が素晴らしい。

目次

序章
第一章 アリソンとヴィル
第二章 誘拐と放火と窃盗
第三章 残った者達
第四章 朝食のち出撃
第五章 ロクシェのスパイ
第六章 ワルターの戦い
第七章 これはこれで
第八章 二人のいる世界

梗概

巨大な大陸が一つだけある世界――その大陸は二つの連邦に分けられていて長い間、戦争を繰り返していた。
その東側の連邦に暮らす、学生ヴィルと軍人アリソンは、二人とも17歳。
ある日ヴィルは、アリソンと一緒に街外れまで行き、そこでホラ吹きで有名な老人と出会う。その老人は二人に“宝”の話をする。『戦争を終わらせることができる、それだけの価値がある宝』――。
しかし、二人の目の前でその老人は誘拐されてしまう。そして……。
「キノの旅」の時雨沢恵一&黒星紅白が贈る新作長編! 胸躍るアドベンチャー・ストーリーの幕が今上がる!
   ――表紙裏より

感想

作中で度々語られる「素晴らしい宝」とは何なのか――? これが読者を惹きつけ続ける。そしてその“宝”の正体が期待を裏切らない処が、この作品の素晴らしい物にしている。
その他でも鋭く光る部分は多く、読んでいて本当に飽きない。投獄された老人との会話のシーンは秀逸。
作品のタイトルが『ヴィル』でも『アリソンとヴィル』でもない所に、裏の設定が隠されていると考えるのは穿ち過ぎか?


アリソンU 真昼の夜の夢

一言

先の展開が読めてしまうのが痛い。

目次

序章
第一章 手紙と会話
第二章 誘拐
第三章 フィオナの谷
第四章 脱獄のち逃亡
第五章 託された者達
第六章 偽者達
第七章 王女様と英雄
第八章 会話と手紙

梗概

巨大な大陸が一つだけある世界――。その大陸は中央にある山脈と大河でで二つの連邦に分けられている。その東側の連邦に暮らす、学生ヴィルと軍人アリソンは二人とも17歳。
ヴィルの冬期研修旅行を聞きつけたアリソンが、ある計画を立てて、結果ヴィルとアリソンは一緒に過ごす事に……。そして、二人は偶然ある村にたどり着く。最初愛想のいい村人達だったのだが、出されたお茶を飲んだ二人は昏倒し、とらわれてしまう。実はその村は……!?
「キノの旅」の時雨沢恵一&黒星紅白が贈る書き下ろし長編! 胸躍るアドベンチャー・ストーリー第2弾!
   ――表紙裏より

感想

計算し尽くされた伏線の数々は前作同様に素晴らしい出来栄え。しかし先の展開が全く読めなかった前作に比べると、今作は全編に渡って予定調和的な展開が多く、予想もし易い。その分どうしても“ワクワク感”は減少してしまっている。
個人的にはヴィルのお金持ちの友人が良いキャラをしていると思うのだが、彼がクローズアップされる事は無いだろうなぁ。


アリソンV

一言

タイトルが全てを物語っていた。

目次

序章の前・a
序章
第一章 ラジオと電報
第二章 元戦場に架かる橋
第三章 ストーク少佐の戦い
第四章 殺人の理由
第五章 同行の理由
第六章 放火と爆破
第七章 対岸
第八章 陰謀という名の列車
第九章 答えはアリソン
序章の前・b

梗概

巨大な大陸が一つだけある世界。その大陸は、中央にある山脈と大河で、二つの連邦に分けられている。その東側の連邦に暮らす、学生ヴィルと軍人アリソンは、二人とも17歳。長く続いていた戦争は表面上終わり、二つの連邦をつなぐ大陸横断鉄道が開通する事に――。友人であり、西側軍人であるベネディクトにチケットを貰い、その列車に乗り込んだヴィルとアリソン。ちょっと戸惑いながらも豪華な列車旅行を楽しむヴィルとアリソンだったが、次々と乗務員が殺されて……!?
時雨沢恵一&黒星紅白が贈る胸踊るアドベンチャー・ストーリー――遂に完結へのカウントダウンが始まった。
   ――表紙裏より

東側の連邦に暮らすヴィルとアリソンは、友人で西側軍人のベネディクトにチケットを貰い、豪華大陸横断列車に乗り、ストーク少佐という軍人と知り合いになる。列車の旅を楽しむヴィルとアリソン。しかし、次々と列車の乗務員達が殺されて状況は一変してしまう。犯人がわからないまま、ヴィルとアリソンはベネディクトやストーク少佐と一緒に戻る事に。そして、さらなる事件が……!
話題騒然となった<上>巻プロローグが示している事とは? 時雨沢恵一&黒星紅白が贈る胸躍るアドベンチャー・ストーリー――遂に完結!
   ――表紙裏より

感想

読んでいる間、ずっと何か違和感を感じていた。暫く原因が分からなかったのだが、終盤になってようやく気付いた。殆どの登場人物が他の殆どの登場人物たちに対して、最後まで丁寧語で話しているのである。これは通常の小説では有り得ない事だ。普通は作中で初めて対面したキャラクター同士でも、打ち解けて気楽な言葉遣いになっていくものだ。この作品には、それが無い。しかもストーリー上、文法的に難しい構文を台詞として使える機会が限られ、それがさらに違和感を増大させていたようだ。
このシリーズのタイトルが『アリソン』である事には、やはり意味が在った。ある程度までは予想通りで、予想を超えていた部分も在ったが、あまり大きくはなかったのが残念。ただ内容は面白い事に間違いは無く、特に下巻は読み出したら止まらないだろう。
衝撃的な「序章の前・a」は読み終わってみると狡さを感じた。これくらいの真相ならば分冊しない方が良かったと思う。


リリアとトレイズT/U そして二人は旅行に行った

一言

後味の良さと悪さを両立させた作品。

目次

序章
第一章 そして二人は旅行に行くことにした
第二章 観光と現実
第三章 遊覧飛行と戦闘機
第四章 導くもの
第五章 再会
第六章 死の翼
第七章 大義の翼
第八章 できない
第九章 そして二人は
サイドストーリー 遺書
サイドストーリー メグとリリア

梗概

リリアは15歳。父のヴィルは若くして死亡し、軍人である母アリソンと二人で暮らしている。ある日、リリアの幼なじみであるトレイズが夏休みを利用して遊びに来る。トレイズに素っ気無くするリリアだったが、突然の訓練により家を空けることになったアリソンの勧めもあり、トレイズと二人で旅行に行く事にする。しかし二人は、その旅行で大変な経験をする事に……。
「キノの旅」の時雨沢恵一&黒星紅白が贈るアドベンチャーストーリー、新シリーズ遂にスタート!
   ――上巻表紙裏より

リリアは、幼なじみであるトレイズと夏休みを利用して旅に出る。たまたま乗った遊覧水上飛行で、二人は湖に不時着している飛行機を発見し、助けるために近づく。しかし、相手のパイロットから発砲されてリリア達が乗っている飛行機のパイロットが死んでしまう。理由もわからないまま二人は数機の飛行機に追われることとなる。彼らが知らずに巻き込まれた事件とは――!? リリアとトレイズに忍び寄る影の正体は――!?
時雨沢恵一&黒星紅白が贈る書き下ろし長編。“そして二人は旅行に行った”エピソード完結編!
   ――下巻表紙裏より

感想

従来の『アリソン』シリーズと同様、旅をテーマにした一組の男女の冒険活劇を描く。
ただ今作はアリソンやトラヴァスなど、保護者的なキャラクターの存在により、どうしても主人公2人の物語として読めなかった。ストーリーに緊張感が無くなってしまった印象だ。
お約束の結末でのどんでん返しも健在だが、これとてトラヴァスから語られる事には違和感を覚える。『アリソン』シリーズと異なるのは、敢えて読後感を悪くする要素を取り入れた事で、これは賛否両論かも知れない。
これもシリーズ化していくようだが、アリソンやトラヴァスなどの旧シリーズのレギュラー陣を何処まで物語に組み込むかで、ストーリーは大きく変化していくだろう。


リリアとトレイズV/W イクストーヴァの一番長い日

一言

目次

梗概

リリアとトレイズ二人っきりの大晦日に、その事件は起こった!
冬休みに入ったリリアは、トレイズから招待を受ける。年越しをトレイズの住む「湖畔で過ごしませんか?」という誘いだった。リリアと母親のアリソンは、トレイズが待つ街まで向かうが、途中雪崩によって道路が寸断され大幅に到着が遅れる。なんとかトレイズのもとに着いたリリアとアリソンは、トレイズが借りたと言う湖畔の別荘で、年明けを迎えることに――。気を利かせたアリソンが一人街に出て、リリアとトレイズ二人っきりの大晦日になる。トレイズは、この機会に“自分が王子であること”をリリアに告げるつもりでいた。しかし……。
   ――上巻公式サイトより

   ――

感想


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