タイトル | 出版社 | 初版日 | 勝手な採点 | 通販 |
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バタフライ・エフェクト | 竹書房文庫 | 2005年04月28日 | ★★★ | 購入 |
長所と短所がハッキリと目立つ作品。
第1章 第2章 第3章 第4章 第5章 第6章 第7章 第8章 第9章 第10章 第11章 第12章 第13章 第14章 第15章 第16章 第17章 第18章 第19章 第20章 第21章 第22章 第23章 第24章 第25章 第26章 第27章
エヴァンは母アンドレアと遊び友達に囲まれて暮らす普通の少年。だが、しばしば突発的に記憶喪失に陥るという奇病を持っていた。治療の一環として日記をつけ始めた彼を、次々と過酷な出来事が襲う。精神病院に入院していた父ジェイソンの不慮の死。幼なじみのケイリーへの虐待の影。ケイリーの兄トミーの悪魔的な変貌。それら全てを、エヴァンは克明に日記に綴っていく。やがて大学生になった彼は、ふとしたきっかけで日記を読み直している間、突然の頭痛によって意識を失う。目を覚ました時、彼は数年前の自分に戻っていた……。日記のなかに封じ込めた辛い過去を、エヴァンは変えることができるのか? ――裏表紙より
「緻密に練り上げられたタイムスリップサスペンス」と言いたい所だが、高畑京一郎の『タイムリープ』を読んでいると、所々で穴が見えてくる。ただそれは許容できない程ではない。
物語としては、あそこまで主人公のエヴァンがケイリーに執着する理由が不鮮明。少年時代に好きになるのはまだしも、特にケイリーの魅力が描かれていないにも関わらず、青年時代まで想いを引き摺るのにはリアリティが無い。
タイムスリップを行う度に、エヴァンの脳が壊れて行くという設定が活かされていないのも勿体無い。最後のタイムスリップは、完全に悲劇で終わらせても良かったのではないか。この辺りが、ややご都合主義的だ。
ただ全体の構成は充分に楽しめるレベルに達しており、後は「それに+αが有ればなぁ」という感じだった。