タイトル | 出版社 | 初版日 | 勝手な採点 | 通販 |
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QED 百人一首の呪 | 講談社文庫 | 2002年10月15日 | ★★★★ | 購入 |
QED 六歌仙の暗号 | 2003年03月15日 | ★★★★ | 購入 | |
QED ベイカー街の問題 | 2003年09月15日 | ★★★☆ | 購入 | |
QED 東照宮の怨 | 2004年03月15日 | ★★★☆ | 購入 | |
QED 式の密室 | 2005年03月15日 | ★★★★ | 購入 | |
QED 竹取伝説 | 2006年03月15日 | 購入 | ||
QED 龍馬暗殺 | ||||
QED 鬼の城伝説 | ||||
QED 神器封殺 | ||||
QED ventus 鎌倉の闇 | ||||
QED ventus 熊野の残照 |
百人一首に関する考察は感嘆するばかりだが、やや読者おいてけぼり傾向も見られる。
序章 うきよのたみに ゆくすゑまでは ものをこそおもへ やどをたちいでて たまそちりける みだれてけさは つきやどるらむ 終章
百人一首カルタのコレクターとして有名な、会社社長・真榊大陸が自宅で惨殺された。一枚の札を握りしめて……。関係者は皆アリバイがあり、事件は一見、不可能犯罪かと思われた。だが、博覧強記の薬剤師・桑原崇が百人一首に仕掛けられた謎を解いたとき、戦慄の真相が明らかに!? <第9回メフィスト賞受賞作> ――裏表紙より
何が凄いって、とにかくこれは百人一首考察小説である。だから『QED 百人一首の呪』はミステリーでもない。最後に定番の謎解き自体は存在するが、真相を知れば作者が如何にミステリーとしての体裁を整える気が全く無かったかを知る事が出来る。
だからこれは百人一首の物語だ。それ以上でもそれ以下でもない。
この作品には満点を付け得る程の、作者の作品に対する執念を感じ取る事が出来たが、百人一首考察を作品としての物語に昇華し切れなかった――それでも、それなりのレベルはクリアしている訳だが――事がマイナスポイントである。登場人物達のキャラクターにも、もう一工夫が欲しかった所だ。
前作と同様、古典に関する知識や考察には脱帽するばかり。
プロローグ 一諾千金 二仏中間 三界諸天 四方四仏 五里霧中 六歌仙 七福神 エピローグ
「七福神は呪われている」明邦大学を震撼させた連続怪死事件以来、その研究はタブーとなっていた。しかし、棚旗奈々の後輩・貴子は兄の遺志を継ぎ、論文を完成させようとする。そして新たな事件が!? ご存知、桑原崇が歴史の闇に隠された「七福神」と「六歌仙」の謎を解き明かす。大人気シリーズ第2弾! ――裏表紙より
前作では「百人一首」、そして今作では「七福神」と「六歌仙」に焦点を当てた。その考察の緻密さは寧ろ前作よりも高まっており、その筋の専門家でもない読者は、ただただ呆気に取られるばかりだろう。
しかしながら、その考察が作中の事件と上手くリンクさせられなかった点や、そもそもミステリーとしての体裁が整っていない所が、そのまま残されている。結果として読者は再び置いておかれる傾向に有り、とても勿体無い状態となっている。
気を張らなくても読み易くなったが、やや情報量不足か。
冒険 回想 生還 挨拶 事件簿 功績
シャーロキアンのクラブ「ベイカー・ストリート・スモーカーズ」のパーティーに出席した、桑原崇と棚旗奈々がまきこまれた連続殺人事件。しかも現場にはダイイング・メッセージが。現実の事件と「ホームズ譚」の謎が交錯する中、崇の推理がたどりついた真犯人とホームズの秘密とは? 好調シリーズ第3弾! ――裏表紙より
「殺人トリックなんて二の次だ」と言わんばかりのミステリーシリーズ。圧倒的な歴史的考察を用いて知識の物量で圧倒する。
しかし今作はその知識量がやや少な目。それなりに説得力の有るホームズ譚を描くものの、これまでの作品と比べると物足りなさを感じる。ただ反面、読み易さが演出されていた事は事実だろう。
また、この作者は真相の一部に医学的な要素を加えるのが好きなようだ。これはミステリーとしての体裁が整っていない、という点が逆に功を奏している。
最強のミステリへ向けて準備は整ったのか?
阿形 其の市 其の爾 其の惨 其の死 其の御 其の録 吽形
「三十六歌仙絵」を狙った連続強盗殺人事件が発生。不可解な事件の手がかりは意外にも日光東照宮にあった。「陽明門」「山王権現」「三猿」「北極星」「薬師如来」「摩多羅神」「北斗七星」。桑原崇が東照宮に鏤められた謎を解き明かした時、天海僧正が仕掛けた巨大な「深秘」が時空を超えて浮かび上がる。好調シリーズ第4弾! ――裏表紙より
最早、他の追随を全く許さないほど数多くの歴史的考察を含めたシリーズ。今作も凄い情報量だ。
とは言え、前作の『ベイカー街の問題』は予備知識が無くても楽しめたのに対し、今作は以前のように歴史に興味が薄い人間にとってはやや息苦しい作品だったかも知れない。全くマンネリ化はしていないが、そうであると錯覚してしまうほどに把握し切れない事実が多過ぎる。
しかし改善点も有る。最大の良さは犯人の意外性である。この作品には決定的に欠けていた物が補われた。ただ、まだまだ他の一流ミステリに比べれば、終結へ向かう展開に無理が多い。その辺りも解決されれば最強の歴史ミステリとなるのではないか。
これこそ『QED』というタイトルに相応しい。
黄色い夢 赤い思惑 白い妖狐 黒い諒闇 青い夜色
「陰陽師の末裔」弓削家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、三十年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。好調第5弾! ――裏表紙より
シリーズ中で最も薄い本となっている。これは単行本の為に書き下ろされた作品ではないからのようだ。
内容的にも通常とは変わっていて、主人公の桑原崇の回想的な形式を為している。事件解決に到るまでの歴史的考察も圧倒的に少なく、それが楽しみで読んでいる人には物足り無さを感じるかも知れない。しかし今作では事件解決後の会話で、いつも通りの解説を聞く事が出来るので、順番が変わっただけである。
今回のテーマは式神だが、僕にはこれが最も理解し易く、そして説得力を持っているように感じた。確かに『QED』シリーズとしてはボリューム不足な感は有るが、最もスッキリと「証明終わり」と思えたのは、この作品だ。
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