タイトル | 出版社 | 初版日 | 勝手な採点 | 通販 |
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ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論 | 講談社現代新書 | 1999年08月20日 | ★★★☆ | 購入 |
ゲーデルの入門書として適している。
T 不完全性定理のイメージ 1 真理と証明 2 不完全性定理と万能システム 3 自己言及と自意識 U 完全性定理と不完全性定理 1 ウィーン時代のゲーデル 2 ウィーン学団とヒルベルト・プログラム 3 不完全性定理の反響 V 不完全性定理の哲学的帰結 1 プリンストン時代のゲーデル 2 ギブス講演 3 数学的実在論 W ゲーデルの神の存在論 1 晩年のゲーデル 2 ゲーデルの遺稿 3 神の存在論的証明 X 不完全性定理と理性の限界 1 不完全性・非決定性・停止定理 2 人間機械論論争 3 心理のランダム性と神の非存在論
クルト・ゲーデルは一九七八年一月一四日、七十一歳で生涯を閉じた。死亡診断書に記載された死因は、「人格障害による栄養失調および飢餓衰弱」である。身長五フィート七インチ(約百七十センチメートル)に対して、死亡時の体重は六十五ポンド(約三十キログラム)にすぎなかった。死の直前のゲーデルは、誰かに毒殺されるという強迫観念に支配された。そのため、食事を摂取できなくなり、医師の治療も拒否して、自らを餓死に追い込んだのである。彼は、椅子に座ったまま、胎児のような姿勢で亡くなっていた。 ――本文3ページより
この手の本としては解り易い部類に入ると思う。が、それ以上に良かったのは、著者がなるべく公正な視点から史実を書き表していた事だろう。哲学的な内容の本では、これが意外と守られていない事が多い。
終盤になるに連れて難解になってしまうのは仕方無いが、最終的には理解できる範囲に帰結してくれるのが嬉しい。もっとゲーデルについて知りたいと思わせてくれる入門的な良著である。