MENU TOP ABOUT DIARY COLUMN HOBBY NOVEL WORD BBS

『蜂』シリーズ10 〜ホルモン注射で年寄りになる働き蜂

COLUMN MAIN

働き蜂は年を重ねる毎に、その仕事内容も変化する。

若い働き蜂は育児、女王蜂の世話、巣の掃除をする。これらは全て巣の中で行われる仕事であり、内勤と呼ばれている。内勤を仕事とする働き蜂を内勤蜂と呼ぶ。成長して中年の働き蜂になると巣の門番となる。そして高齢になると、花粉や花蜜を集めるという仕事に就くのである。これらの仕事は巣の外で行われるので外勤と呼ばれ、それに従事する働き蜂を外勤蜂と呼ぶ。

高齢の蜂が外勤を行うのには合理性がある。『年寄りを尊重するミツバチ』で書いたようにミツバチは加齢と共に体内時計(サーカディアンリズム)がより正確になっていく、という傾向がある。従って太陽コンパスを用いたミツバチダンスを正確に踊る事が出来る訳で、花粉を集めるのには高齢の働き蜂の方が適しているのである。こんな所でもミツバチが「超個体」と呼ばれる所以を見る事が出来る。

仕事内容が変化するのには幼若ホルモンが大きく関わっている。ところが幼若ホルモンは血液中に含まれているが、ミツバチの血液は1匹当たり10の−6乗から−5乗リットルと非常に微量な為、血液中の幼若ホルモン濃度を測るのは困難である。そこで以下のような実験をした人物がいる。

羽化したばかりの働き蜂に幼若ホルモンを注射したのである。するとその働き蜂は内勤蜂にはならずに、すぐに外勤蜂となった。さらには生理状態も高齢蜂と同じになってしまった。つまり、羽化したばかりの働き蜂がホルモン注射をされた事により、高齢蜂と全く同じ状態となってしまった訳だ。

しかし何故、幼若ホルモンがこのような効果を示すのかは、未だに分かっていない。


今日今日のアクセス数/昨日昨日のアクセス数/累計累計のアクセス数
Read me! ページ最上段へ