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『蜂』シリーズ15 〜蜂に刺されてもアンモニアを掛けてはいけない

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蜂毒は恐ろしい物質で、たまに日本でもスズメバチに刺されて死亡するというニュースが伝えられる。実は蜂が1回で敵に注入する蜂毒の量は1滴にも満たない。にも関わらず蜂毒は人体に多大な影響を与えるのである。

ところが蜂毒は医療にも使用される。蜂毒には善玉と悪玉が有り、善玉の方はリューマチや神経痛、関節炎に効果が有るのだ。また、蜂毒は蜂毒アレルギーを治すのにも用いられている。希釈した蜂毒を定期的に患者に接種すると、アレルギー反応が減少していくのである。

ミツバチは産卵管を刺針として蜂毒を敵に注入する。だから刺して来る蜂は全てメス蜂(働き蜂)である。ところで、働き蜂が刺針を敵に刺し込むとその針と内臓の一部を引き千切って自らは死んでしまう、というのは有名な話だ。が、実は刺し込まれた針は、その中に残っている蜂毒を全て注入しようと動き続けるのである。その為、ミツバチに刺されたら真っ先に針を引き抜くべきなのだ。

では針を抜いた後はどうすれば良いのだろうか? 一般的に有名なのは、傷口にアルカリ性の液体(アンモニアなど)を掛ける、という方法であるが、これは間違いである。以前は蜂毒は強酸成分で構成されているというのが定説だった為、これを中和するにはアルカリ性で、という事だったのだが、現在では蜂毒は強酸であるという説は否定されている為に、アルカリ性物質は何の意味も無いのである。

ちなみに産まれたばかりの働き蜂の体内には殆ど蜂毒が存在しない。その量は加齢と共に増えて行き、生後14日目で最大となる。働き蜂の寿命は約30日なので立派な“中年”の働き蜂が危険、という事になろうか。「ホルモン注射で年寄りになる働き蜂」で述べたように、蜂の巣の門番をしているのは中年のミツバチである。最も攻撃力を要求される仕事に、実際に蜂毒を豊富に持つ中年蜂が就いている、というのはやはり「超個体」だからこそ為せる社会構造であると言えるだろう。

以上より結論。

蜂に刺されたらまずは針を抜くべき。アンモニアを掛けるのは意味が無い。

以上で『蜂』シリーズは終了です。長い間、有難う御座いました。


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