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非行少年と携帯電話

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携帯電話は“危ない”のか?

警察庁は24日、中学生と高校生の携帯電話の使用状況についてまとめた。検挙されたことのある非行少年の方が、検挙されたことのない一般少年より、携帯電話の所持率や使用頻度が高かった。
携帯電話の所持率は、検挙されたことのある少年が72%、ない少年は57%だった。高校生の所持率は90%前後で差はなかったが、中学生では検挙されたことのある少年がない少年よりも男子で32ポイント、女子で26ポイント高かった。


この手のデータには数字のトリックが存在する。僕は2年前に「癌と診断されたら癌なのか?」というテキストを書いているが、非行少年の数が一般少年の数よりもかなり少ない以上、上記のデータはこれと似たような構造を持っているのである。検証してみよう。

ここに一般少年が100万人、非行少年が1万人居たとする。一般少年は携帯電話の所持率が57%なので、「携帯電話を持つ一般少年」は57万人、「携帯電話を持たない一般少年」は43万人である。また、非行少年は携帯電話の所有率は72%なので、「携帯電話を持つ非行少年は7200人、「携帯電話を持たない非行少年は2800人である。

以上を表にまとめると、こうなる。

× 携帯電話所有 携帯電話非所有
一般少年 57万 43万 100万
非行少年 7200 2800 1万
57万7200 43万2800 101万

これによれば、携帯電話を所有している少年は57万7200人いるが、その中で非行少年の割合は1.2%である。一方、携帯電話を所有していない少年は43万2800人いるが、その中で非行少年の割合は0.6%である。確かに携帯電話を所有している少年の方が、非行少年の割合は多い。しかし、1.2%と0.6%というのは、有意的な差であると言えるだろうか?

携帯電話の所持率は、検挙されたことのある少年が72%、ない少年は57%だったと聞くと、それなりに差が有るように見えるかも知れないが、非行少年が一般少年よりもずっと少ない以上、上記のような数字のトリックは隠されているのである。

以上より結論。

携帯電話の所有・非所有に拠る少年の非行率の違いは、見掛けよりもずっと小さい。


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